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前橋 外国人向けシェアハウス 支える男性のネイバーズへの思い

  • 2022年10月18日

群馬県在住の外国人(=ネイバーズ)たちの素顔を紹介していくキャンペーン「ハロー!ネイバーズ」。今回は、そのネイバーズを支えたいと取り組んでいる日本人に話を聞いてきました。交流経験がほとんどなかった日本人が外国人を応援しようと思ったきっかけとは?

(前橋放送局 閑野将也/2022年9月取材)

外国人向けのシェアハウス

3年前にオープンした前橋市内のシェアハウス。
現在はベトナム人留学生など8人が共同生活を送っています。

リビングやキッチンなどは共同

費用は光熱費込みで一人18000円、相場より低く設定されています。

佐藤 徹さん

オーナーを務める、佐藤徹さん。
運送会社で働く一方でシェアハウスを運営しています。
あるキッカケがあり、シェアハウスを作ることを決意しました。

閑野

「元々、外国の方と交流の機会が多かったのですか?」

佐藤徹さん

「いえ、全くありません。学生の時に遊びで韓国に1度行ったくらい(笑)」

「なぜ、外国人が多く住む、シェアハウスを始めたのですか?」

「勤めている会社で、外国人を雇用する機会がありました。いろいろとかかわっていく中で、彼らが一生懸命に頑張る姿を見たんです。本当に”生きるため”に来ているんだなというのを痛感しまして。『何かこの人たちの役に立てることはないか』とだんだん思うようになってきたんです」

空き家物件をリフォーム

リフォーム前の家屋

一生懸命に日本で頑張る外国人を見て、応援する事を決めた佐藤さん。
繋がりのある空き家を活用できないかと考え、シェアハウスにリフォームして経済的に豊かとはいえない外国人を金銭面を含めてフォローすることを思いつきます。
 

リフォームの様子

生活ルールの工夫

シェアハウスが完成したものの、スタートは順調ではなかったという佐藤さん。それでも、入居者が日本の生活に馴染めることを第一に考え、さまざまな工夫を取り入れました。

シェアハウス内のルール

「『国や文化が違っても守るべきこと』を考えて作りました。バックパッカーをしていて、海外生活や文化に詳しい知人からアドバイスをもらいました」

ゴミに関するルール

「ゴミの出し方、分別についてはトラブルにつながる可能性もあるので特に注意しました。ルール表には写真を付けて分かりやすくしたり、時にはゴミ出しの日には一緒に片づけたりもして、しっかりと学んでもらいました。その効果か、いまは近隣からのご指摘も受けていません」

入居者たちを支えようと、ご家族も力を貸してくれました。妻の清美さんは食材の差し入れや、手料理の振る舞い、時には入居者の相談にも乗ってきたそうです。

佐藤 清美さん

「もちろん入居している子たちのプライバシーはしっかり守りますけど、1人で外国から日本に来ていますからね。『日本の母さんだよ、なんでも頼ってね、寂しくなったり、日本で分からない事があれば何でも相談してきな』って伝えていますね」

このような努力と工夫の甲斐もあり、外国人コミュニティの中で口コミが広がり、入居者が集まり始めました。

佐藤さんに感謝 入居者の想い

入居者にも話を聞きました。

ズォン ティ ニャット レさん

レさんは1年ほど前にベトナムから来日。働きながら勉強し、経済を学べる日本の大学入学を目指しています。
佐藤さんは来日当初からとても気にかけてくれたと言います。

レさん

「佐藤さん、すごく優しいです。いろいろ日本のことを教えてくれました。
いつか、ベトナムの観光地を案内したいです。ベトナムで美味しいものも食べて欲しい」

佐藤さんは、1人で来日する入居者同士のコミュニケーションが深まることも心がけています。

グエン ダン ミンさん

自動車部品の工場で働くベトナム人のミンさん。シェアハウスの庭に畑を作りたいと考えました。
相談を受けた佐藤さんは、ベトナムでの生活に近づけば良いなと、シェアハウスでの畑づくりを許可しました。

ミンさん

「キュウリ、トマト、カボチャ、いろいろ収穫できるようになりました。ベトナムの野菜もありますよ」

収穫した野菜も使って、ミン君が調理したベトナム料理

収穫した野菜はみんなで食べるなど、コミュニケーションに繋がっています。さらに佐藤さんはパーティー用の食材を提供するなどして後押しします。

佐藤さん

「1人で日本に来て『寂しい思いをしているな』というのはちょっと感じていて、少しでもそう感じさせないような取り組みは、あってもいい、あるべきだと思います」

佐藤さん、いま思うこと 

シェアハウスを運営すること3年。佐藤さんは日本社会が失いつつある、古き良き文化を、改めて思い出したと言います。

NHK閑野

ほとんど外国人との交流が無いところからのスタートでした。
3年が経ったいま、ご自身の意識の変化など感じますか?

「私が子供の頃に今よりも強く感じていた近隣との付き合い、向こう三軒両隣というか、本当に隣の人も家族みたいな形だったことを思い出します。彼らはとてもフレンドリーで、自分自身『こんにちは』とより声かけするようになりました。逆に外国人だけじゃなくて、日本人にも積極的にコミュニケーションをとるようになったなと感じますね」

外国人の素顔と、応援する日本人を見て

留学や渡航の経験が少ない私は、「彼らは本当に頑張っている、生きるために来ている、応援したいと思った」と佐藤さんから聞いた時に、もし仮に、自分が日本語が通じない海外に行って頑張らなければならないとなれば、こんな風に言ってくれるくれる人がいたらどんなにありがたいかと思いました。実際に入居者から佐藤さんへの強い感謝をいろいろな部分で感じました。
偏見や先入観を持たずに等身大で物事をとらえ、純粋に「頑張っているから応援する」のように考えるという当たり前の大事さを学び直した気分です。今後も取材を続け、等身大の外国人=ネイバーズの姿を届けていきます。

  • 閑野将也

    前橋放送局

    閑野将也

    22年ぶりに出身地の地元・群馬県に戻り、初の番組制作業務に携わる。趣味は釣りやDIYなど

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