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群馬に暮らす中国ルーツの人々 留学経て感じた互い知る大切さ

  • 2022年08月09日

群馬県は、総人口に占める外国籍住民の割合が、東京都・愛知県に次いで全国で3番目に高くなっています。NHK前橋放送局は今年度、県内に住む外国人の素顔を伝えていくことで相手を知るきっかけにしてもらい、理解し笑い合える社会を作ることを目指すキャンペーン、「ハロー!ネイバーズ」を展開しています。
その第1弾は、中国に留学経験がある私が、県内で暮らす「中国ルーツ」の方を取材しました。

(前橋放送局キャスター 阿部千明/2022年6月取材)

中国出身者集まる 物産店訪問!

訪れたのは高崎市の住宅街です。

中国の食材を集めた店があって、中国出身者も多く利用しているという話を聞いて探すと、通りから入った駐車場の奥に店がありました。

店内には、中国から輸入した食品や調味料などが所狭しと並んでいました。

私が中国に留学していたときによく食べていたお菓子や、即席麺なども発見。

うれしくなりました。この店がオープンしたのは半年前だそう。どんな人が利用しているのか、オーナーの李密密さんに尋ねると…。

李 密密さん
「お客さんは、99パーセント中国人です」

群馬県で暮らしている中国人はおよそ6600人。ブラジル、ベトナム、フィリピンに次いで4番目に多くなっています。

買い物客に声をかけてみると、中国・吉林省出身の王宝強さんが答えてくれました。毎週、この店に買い物に来ているそうです。

この日買っていたのは、魚料理に使うという調味料。

どう使うのか見せてもらえないかなあと思っていたら、なんと!自宅に招待してくれました。ありがとうございます。

留学がきっかけで群馬県に暮らすようになったという王さん。現在は中国・四川省出身の妻、高校3年の長男、高校1年の長女、そして3歳の次男の5人で暮らしています。
訪れたのは6月の「父の日」。家族で食事を楽しもうと、いつもより多くのメニューを準備していたそうで、先ほど購入した調味料も登場。数々の中国料理が並びました。

王 宝強さん
「中国料理って、特有の調味料があるんです。これがないと本場の味が出ないんですよ。これは“蒸魚鼓油”(ジェンユーチーヨウ)=蒸し魚専用の合わせじょうゆです」

魅力的な料理 いただきました

こちらは、“地三鮮”=ナスとジャガイモとピーマンの炒めもの。

これは、“蕃茄丸子湯”=トマトと肉団子のスープ。

そして、“京醤肉絲”=細切り肉の甘辛炒め。

さっそくいただきます!。楽しく会食していると、私が以前留学していた中国・北京の話題に。そのとき、“京醤肉絲(ジンジャンロウス)”について教えてもらいました。

妻の王 龍燕さん
「北京にいるとき、北京ダックを食べたでしょ。京醤肉絲も北京料理なんですよ。ジンは北京(ベイジン)のジンです」

京醤肉絲は、北京ダックが由来なんだそう。私は初めて食べた味ですが、甜麺醤(テンメンジャン)を使った、北京ダックに似た甘辛い味付けが食欲をそそり、どこか懐かしさを感じました。初めて食べる味から、留学時代を思い出させる懐かしい料理まで、どれもとってもおいしかったです!。そんな王さん、実は中国料理店の店主なんです。

地域の人たちに中国文化を伝えたい

王さんが経営しているのは四川料理店。高崎市内にあります。

この日は、職場体験学習として地元の中学生3人が訪れていました。地域の若者に中国の文化をより身近に感じて欲しいと、ことし初めて学校側からの要請を受け入れたそうです。生徒たちに料理についてや仕事のことについて丁寧に説明していました。

職場体験に来た中学生
「すごく優しくて、緊張感もほぐれて、少し楽にできたかと思います」

今は群馬での暮らしが気に入っていると話す王さん。
心がけていることがあるそうです。

王 宝強さん
「少なくとも20何年日本にいて、日本の人との間で一度も嫌な思いがなかったので、本当に日本が大好きです。いつも心がけているのは、外国人として素直に日本の文化と習慣を受け入れてつきあえば、大体の人は受け入れてくれると思う。うまくいきます」

中国留学で感じた 「互いを知ろう」の気持ち

私自身、高校時代に中国語を勉強し始めたことがきっかけで、17歳のとき初めて中国を訪問しました。当時は中国国内で反日デモが起き、日本国内の対中感情も悪化している時期で行く前は不安でした。でも、実際に中国を訪れて現地の人と直接話をしてみると、日本のことに興味を持ってくれたり好感を示してくれたりすることが多くありました。そのことがきっかけで、大学時代は北京で1年間留学も経験し、そのとき知り合った人とは今でもやりとりをする親しい間柄になっています。

お互い相手を知ろうという気持ちで接することが大切なんだなと改めて感じました。今後も県内で暮らす外国出身の方の暮らしや素顔を、うかがってきます。引き続き、どうぞご覧ください。

  • 阿部千明

    前橋放送局キャスター

    阿部千明

    群馬のお隣、埼玉・上里町出身。山形局キャスターを経て、2022年度から前橋局キャスター。中国留学経験を生かした取材やリポート制作に積極的に取り組んでいきます!

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