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長野原町 コロナ禍のへき地診療所 地域医療と笑顔支える医師

  • 2022年08月02日

ほっとぐんま630でお伝えしている「菅原が行く、中谷が行く」。今回、中谷が行ってきたのは「へき地診療所」です。そこは、地域の医療拠点となっている県内9か所のへき地診療所のうちの1つ。ここでも新型コロナの第7波への対応に追われていました。

(前橋放送局キャスター 中谷実夏/2022年7月取材)

地域医療を支える

へき地診療所は一定の人口があるのに医療機関がない地区に設けられています。

私は長野原町の応桑(おうくわ)・北軽井沢地区の診療所に向かいました。

7年前からこの診療所の所長を務めている医師の金子稔さんです。前橋市出身で、地域医療に携わる医師を育成する自治医科大学に進学。卒業後、病院勤務を経てこの診療所で働き始めました。

長野原町 へき地診療所 医師 金子稔さん
「地域医療の課題については人が少ない。医療の質や安全性、その辺を落とさないようにどうやって少ない人員で効率的に頑張っていけるか(が大事)」

長野原町の“大先生”

金子さんの元にはさまざまな症状の患者がやってきます。

こちらの男性は、おでこの湿疹が心配だと訴えました。

金子医師

「おでこに”ぶつぶつ”ができたのは、きのうの夜から?…なんか虫ですね、これね」

地域住民の健康管理も重要な仕事です。

患者

「健診結果を持ってきました」

女性患者
「小さなことでも、いろいろと考えてお答えしてくれる長野原町の本当に大先生です」

コロナ禍でも 平時の医療を大切に

取材中、緊迫した場面にも遭遇しました。

発熱した患者は診療所横に設置したプレハブに案内。

診察や検体の採取をしています。この診療所で新型コロナの陽性が確認された人のうち、およそ4割が7月に入ってから。第7波の対応に追われていたのです。

医師 金子稔さん
「これからコロナがどうなっていくのかを不安に思っている方が多いですね。その不安に対して、ここの診療所では熱が出た時にしっかり抗原検査もできるし、PCR検査もできる。そういう設備も整えながら、ただ大事なことはやっぱり通常のことですよね。一般の外来や、訪問診療など、平時にやっている医療を僕はそのまま行いたいと思っています」

長野原のお年寄りが笑顔でいられるように

町民から金子さんに寄せられた手紙があります。

診療所の利用者は。金子さんの着任前は年間5000人程度。

それが、去年は7189人にのぼりました。金子さんを慕って訪れる人が多いことを表しています。

長野原町 へき地診療所 医師 金子稔さん
「長野原が好きなんです。これからもずっと元気で笑って暮らせる高齢の方が増えていくような社会を作れるように、長野原町で何か取り組みができたらいいなという風に考えています」

患者より低い“いす”に現れる人柄

今回の取材で「すてきだなぁ」と感じたことがありました。それは診察室でのこと。金子さんのいすが患者のいすよりも低くなっていたんです。

金子さんは、患者さんが医師から“見下ろされている”ように感じると、話しにくいのではないかと考えてそうしたそうです。そこに、地域の人に寄り添おうとしている人柄を感じました。

  • 中谷実夏

    前橋放送局キャスター

    中谷実夏

    今年度からキャスター。夕方のニュース番組「ほっとぐんま630」を担当。群馬県に住むのは初めて。「楽しそう」、「気になる」場所に積極的に足を運ぶ

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