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高崎 夏本番前に"涼"を求めて 山田徳蔵建設の洞窟観音へ

  • 2022年07月22日

「ほっとぐんま630」でお伝えしている「菅原が行く、中谷が行く」。今回は、夏本番を前に菅原が行ってきた、暑いときにはぴったりな「涼」を感じられる「和」なスポットをご紹介します。

(前橋放送局キャスター 菅原成美/2022年7月取材)

洞窟観音 50年かけてできた

じりじりとした日ざしの中、涼を求めてやって来たのは高崎市の洞窟観音です。入り口に立つと、冷気がすでに感じられるんです。中に入っていくと、ああ、涼しい!。

中の温度計をみると、なんと17度!

洞窟観音は、高崎の豪商・山田徳蔵が「観光参拝場」として大正8年から50年かけて建設しました。全長は450メートルあり、作業は、つるはしやスコップなどすべて人力で行われたといいます。

名工、高橋楽山の作品

現在、洞窟を管理している4代目の山田徳蔵さんです。

菅原キャスター

「洞窟内はいつもこんなに涼しいんですか?」

4代目 山田徳蔵さん

「年間を通じて20度以下に自然に保たれているので、夏の日中も涼しく参拝できるんです」

さっそく案内して頂くと…。

4代目 山田徳蔵さん

「円光観音になりますね。細かい細工がされています。そして透かし彫りがされているという、大変、繊細な作品になってるのが特徴です」

洞窟内には、39体の観音像が設置され、そのすべてが、新潟県出身の名工、高橋楽山の作品です。

神秘的な世界

中でも一番の見どころは…。

菅原キャスター

「これは、空間全体が作品なんですね。上の方に7体、観音様が設置されているんですね」

4代目 山田徳蔵さん

「石だけで作った、いわば観音、浄土庭園になるわけですね。一番奥に滝があって、そこから流れ出る水が砂の波紋で表されている。地中の枯山水庭園になるわけです」

まるで仏教画の1シーンのような神秘的な世界に入り込むことができます。そんな洞窟観音、中には歴史を感じさせる遺構も。

4代目 山田徳蔵さん

「これは、防空ごう物資庫です。中には20畳以上の大きな部屋があるんですけど、井戸が掘ってあります」

戦時中には、4000人の高崎市民が避難できる防空ごうとしての価値が認められ、陸軍の配給の元、建設が続けられました。

4代目 山田徳蔵さん

「今後皆さんに、ご紹介できればいいなと思っていて、これから整備をしたいと思っている場所です」

まだあります “涼”

さらに、涼を感じられるスポットがもうひとつ。

4代目 山田徳蔵さん

「こけ庭でございます」

見た目にも涼しげなこけ庭。乾燥を防ぐミストに美しい緑色のこけがよく映えます。

今でこそ美しい自慢の庭園ですが、山田さんが受けついだ当時は、集客が望める状態ではなかったといいます。

4代目 山田徳蔵さん
「受け継いだ当時は、1人も来ないなんて日もあって…。少しずつ整備を重ねて、最近はなんとか、お客さんが来てくれるようになりました。繰り返し来ていただくことは、とても光栄なことです。やっぱりその思いや期待を裏切らないようにしたいですね。きちんと手入れして、準備するということが大事かなと思ってます」

この美しい庭と洞窟。曽祖父の精神を受け継ぎこれからも進化し続けます。

  • 菅原成美

    前橋放送局キャスター

    菅原成美

    2019年からキャスター。夕方のニュース番組「ほっとぐんま630」の担当3年目に突入。群馬の「気になる!」を体当たりで取材中

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