川場村 田んぼアートを未来へ!活動11年の軌跡
- 2022年05月27日
川場村の夏の風物詩として、毎年、大勢の観光客を集める田んぼアート。地元を盛り上げようと、長年、活動を続けてきた保存会のメンバーにお話を伺いました。
(前橋放送局アナウンサー 原口雅臣/2022年5月取材)
村の夏の風物詩 田んぼアート
「ぐんまちゃん」に、村のマスコットキャラクター「かわたん」。
川場村の田んぼアートは、広さ15アールの水田をキャンバスに、毎年、さまざまなテーマで見る人を楽しませてきました。支えてきたのが、村の有志で結成された「川場村田んぼアート保存会縁人-enjin-(えんじん)」です。会長の宮田康明さん、相談役の小林仁志さんにインタビューしました。
“失敗”からのスタート
「皆さんが田んぼアートをやっている場所は、すぐ後ろに大きな橋があって近くには川場田園プラザという人気の道の駅があって、すごくいい場所ですね」
「そうですね。たまたまメンバーの中に地権者がいて、田んぼを借りることができたので、橋からよく見えるちょうどいい場所を確保することができました」
田んぼアートは、農村と都市との交流を目的に、川場村と東京・世田谷区が結んだ縁組協定が30周年を迎えたのを記念して2011年に始まりました。その年に初めて挑んだ田んぼアートは、文字がはっきりと浮かび上がらず、失敗に終わりました。
「本当に見よう見まねというか、やってみたという感じですね(笑)。最初は、普通の古代米とコシヒカリを使ったんですけど、ほとんど色が変わらなくて…」
「不完全燃焼っていうか、そんな感じでしたね」
失敗からの10年
「リベンジを果たしたい」
保存会のメンバーは、全国の田んぼアートを視察して回り、一からノウハウを学びました。2年目の2012年からは、デザインや文字がはっきりわかるよう黒米を取り入れ、完成度を上げていきました。
測量技術も向上させました。GPSを使った機器を導入することで、短い時間で、しかも、デザインに忠実に、田植えができるようになりました。
「この11年間、いろいろなデザインを田んぼアートで実現して来ましたけれども、テーマは誰がお決めになるんですか?」
「みんなでイラストを持ち寄って、どの誰が書いたイラストがいいかを話し合って毎年、決めています」
ワールドカップをモチーフにしたこともあります。川場村に大わらじという疫病退散のわらじがあるんですが、去年はそれを、こういうご時世なのでデザインに取り込んだりとか。毎年、その年なりの、川場なりのものを探してやっています。
新たな一歩を踏み出した田んぼアート
「ことし、11年やって来られて初めて、クラウドファンディングにチャレンジされていますが、なぜ、始めようと思われたんですか?」
「もともと、川場村と世田谷区の30周年記念イベントとして始まって、以来10年間は、村から予算をいただいて運営してきたんですけど、去年から行政を離れて、民間団体として新たにスタートしたので、じゃあ、資金的にどうするんだという話になって、挑戦することになりました」
「行政の力を借りず、自分たちの力で夏の風物詩を守りたい」
初めてのクラウドファンディングは大きな反響を呼びました。全国各地から出資の声が寄せられ、締め切りを待たずに、目標金額をクリアできたのです。
「資金集めとしてクラウドファンディングを始めたんですけど、コメントなどいろいろ見ていると、11年間やって来たことの通信簿みたいな…。これだけ評価されたり、期待されたりしていたんだと、今後のモチベーションになりました」
「『田んぼアートが好きです』とか『これからも応援しています』とか、そういううれしいコメントもいただいて、本当に11年やって来てよかったなと本当に感動しました」
見る人を楽しませ、地域を盛り上げてきた田んぼアート。
来年以降は、収穫した米を売った収益で活動を続けるということです。
小林仁志さん
「それだけ期待していただいて、支援していただいたからには、ちゃんとしたものを作って恩返しをしないといけないなとすごく思っています」
宮田康明さん
「田んぼアートが、川場村の夏の風物詩になっていますんで、10年、20年先も継続できるように頑張りたいと思います!」
2022年 ことしのテーマ
ことしの川場村の田んぼアートのデザインです。
村のシンボルの武尊山(ほたかやま)に、頭を垂れる稲穂と水田が描かれています。
田植えは6月初めに行われ、7月半ばには、田んぼにこの絵が浮かび上がることになっています。
ぜひ、見に行ってみてください!