ライフスタイル
住まい・インテリア

“ほどほどが心地よい”
北欧の知恵で暮らしを楽しく

北欧ジャーナリスト森百合子さんの北欧デザインを部屋に取り入れるコツ。気軽に楽しめるおもてなし術とは。

公開日:2019年7月18日

北欧の食文化や雑貨、旅情報などを自ら取材、発信している北欧ジャーナリストの森百合子さん。
北欧の香りが漂う、築80年超の日本家屋で暮らしています。
台所は旧来の日本式ながらスウェーデンカラーの棚が設けられ、北欧デザインの調理道具などが点在。
魅力あふれる北欧デザインをさりげなく部屋に取り込むアイデアは、まねしたいものばかりです。
さらに、北欧の人の“ほどほどでよい”という感覚に共感し、
北欧流のおもてなしを実践している森さんのおもてなし術も紹介します。

気負ってしまいがちなホームパーティーも、北欧流を知れば、もっと気軽なものになりますよ!

北欧のエッセンスが散りばめられた室内

森さんは結婚して2年目に縁があって、古い一軒家を借りることに。入居当初は、壁や床が抜け、隙間風も吹き、人が住むにはあんまりな状態でした。
リフォームをおこない、北欧のデザインを楽しみながら取り入れているそう。
台所は、家の中で一番自分の成長を実感できる場所という森さん。「北欧の食器や、北欧式の気軽なおもてなしに出会って、この台所ともうまく付き合えるようになってきました」といいます。
台所で一番先に目が行くのは、シンク上の鮮やかな色の棚。スウェーデンの国旗の色、黄色と水色です。北欧の古いアパートのキッチンを参考に、棚の下を斜めにカットしたそう。

デザインの魅力にあふれた道具で、日々を楽しく

素朴でシンプルなものから、鮮やかな色のものまで、様々なデザインが楽しめる北欧の道具。
森さんのキッチンには、そんな北欧デザインの道具があちこちに。
デンマークのビールが好きで、かわいいパッケージの空き缶だけ残して飾っています。

フレキシブルな使い方で器を気軽に楽しむ

森さんは、北欧デザインの中でも、器の持つ力に感心させられるといいます。「料理自体が地味でも、器で華やぎます。食事を簡単にすませる時も、好きな器だと気分がいいんですよね」。

ソーサーは小皿として活用

通常、お揃いで使われるカップ&ソーサー。現地のレストランやカフェでは、ソーサーにお菓子などをのせて使っていることも。物を大事にするお国柄ということもあり、欠けたお皿を普通に使っている人も多いそう。デザインを楽しむ上でも、その気軽さがいいといいます。

現地の蚤の市やアンティークショップでも、カップだけ、ソーサーだけなど、半端なものは安く手に入るそう。
人気のデザインが数百円で買えることも。
森さんがよく朝食で使うモーニングプレート。本来は、カップつきだったものがプレートだけで売っていたそうです。
お皿だけで使ったり、ガラスの器を合わせたり。無地のプレートの方は、色んなマグカップを合わせて楽しんでいます。

北欧流の布づかいで部屋を彩る

寒さが厳しく、家の中で過ごすことが多い北欧では、植物や動物など自然をモチーフにしたテキスタイルが多く、布を使って、家の中を飾るのが上手だそう。

小さな布をアクセントとして使う

テーブルセンターなどの布類も、森さんがつい集めてしまうもののひとつ。
テーブルクロスは大きくてアイロンがけが大変なので、小さなものを敷いてアクセントに。

お気に入りの布を額装して

布を壁にかけたり、棚の目隠しにすることも。森さんは、お気に入りの布を額縁に入れて飾っています。

カーテンは季節感がある布を使って

窓辺のカーテンには、夏はさわやかさを感じさせる色と柄を、冬は温かみを感じさせる色合いの布を選んでいるそう。

布を使って、合理的だけどオシャレに

北欧でよく使われているトレーハンガー。
普通に使うトレーを飾りつつ、収納できるすぐれもの。

“頑張りすぎない”北欧流のおもてなし

森さんは、北欧に行き来する前から人を招くのは好きで、ホームパーティーはよくしていたそうですが、おもてなしに自信がなく、いろいろと気にしすぎてしまうことも多かったそう。
北欧に行って、そのおもてなしのシンプルさにびっくりしたそうです。「気軽に招いてくださるんですが、例えば、煮込み料理がひとつドーンと出てくるだけなんです。一緒に食事をしたり、楽しくおしゃべりすることがホームパーティーの目的だから、ホストが台所にこもりっきりで出てこない、ということもあまりないようです。“これでいいんだ”と、気づかされました」と森さん。

やりすぎないおもてなしが心地いい

友達を招いたホームパーティー。参加者が料理を持ち寄り、気軽なホームパーティーを楽しみます。この日、森さんが用意したメインディッシュは、スウェーデンの伝統料理「ヤンソンさんの誘惑」と呼ばれるじゃがいものグラタンです。
テーブルの上には、大きいままのチーズに半分にカットされたきゅうり、殻つきのゆで卵、皮つきのままのじゃがいもなどが並べられています。
これは、北欧の定番「オープンサンド」の具材。各自で好きな分だけ切ってのせて食べるそう。
セルフサービスなので、キレイに切って並べる必要がなく、手間もかかりません。

花を飾って、おもてなし

北欧の家では、花を飾る人が多いと森さん。
「ゴージャスな花でなくても、庭から摘んだ花などを気軽に飾っています。花と花瓶の色を合わせたり、飾り方も上手なんです」。

FIKA(フィーカ)で暮らしにメリハリを

北欧では、コーヒーを1日に何度も飲む人が多く、コーヒーと一緒に甘い菓子パンなどを食べて、リフレッシュする時間をスウェーデン語でFIKA(フィーカ)といいます。
自宅で仕事をすることの多い森さん夫妻もFIKAは欠かせないそう。
「FIKAで気分転換することで、集中力が戻ったり、効率がいいかなと思います」と森さん。

ポットにたっぷり“やかんコーヒー”

森さん宅に人が集まるときにいれるのは「やかんコーヒー」。これも北欧流のアイデア。北欧の人は週末など山の中に行き、たき火をしながら、この方法でコーヒーをいれて楽しむそう。

いれ方はとっても簡単。やかんにお湯を沸かして、そこに粗めにひいたコーヒー豆を入れ、かき混ぜて3分間ほど蒸らすだけ。
あとは、保温ポットにこしながら入れればでき上がりという手軽さ。
森さん愛用のやかんとポットは、ビンテージのものです。ポットは、TV(ティービー)ポットと呼ばれる50年代から60年代に流行したデザイン。
テレビが普及した時代に、ポットにたっぷりとコーヒーを入れておいて、テレビを見ながらコーヒーが飲めることから、そんな名前がついたという説も。
北欧を長年取材してきた森さん。「“それがこれぐらいあれば自分は幸せ”“自分にとってそれがちょうどいい”といったことが分かると、肩の力が抜けて、頑張りすぎなくていいのかな」といいます。

北欧の人々が持つ“ほどほどが心地よい”という感覚。それが、暮らしを楽しむための秘けつになっているのではないでしょうか。

教えてくれた人

森 百合子

  • 北欧ジャーナリスト

プロフィール

著作活動を中心に北欧の食とライフスタイル、旅情報を発信。北欧ヴィンテージの雑貨店も開いている。著書多数。