園芸・グリーン

冬を彩り、万人に愛されてきたツバキ

ツバキは花の少ない冬に、美しい花を長く楽しませてくれます。
品種が多いのも魅力。

公開日:2019年1月18日

日本の気候風土に適したツバキは、
昔から武家や公家をはじめ庶民のあいだでも親しまれてきました。
花の色や形も数多くあり、庭木だけでなく鉢植えとしても楽しめます。

ツバキ(椿)

ツバキの仲間は、東アジアから東南アジアの温帯から亜熱帯の、雨の多い地域に分布しています。日本の気候風土に適したものが多く、夏の多湿にも順応し、暑さや寒さにも比較的強いので、育てやすい植物です。
11月〜4月ごろまで、長く花を咲かせるところも魅力のひとつ。鉢植えでも育てられるので、玄関まわりやベランダでも楽しむことができます。

栽培環境&水やり

鉢植えは、日当たりのよい場所で育て、土の表面が乾いたら水をたっぷり与えましょう。

日本各地のツバキ

江戸時代にツバキブームは地方にも広がりました。それぞれの地域で独自に発達した、特色のあるツバキがたくさんあります。

尾張のツバキ

江戸時代より尾張(現在の愛知西部)を中心にたくさんの品種が育成されました。
名古屋城や熱田神宮に由来する品種、茶の湯文化が栄えた土地らしく、一重・筒咲き・小〜中輪といった茶花向きのわびさびを感じさせるものもあります。加えて、名古屋人好みの豊満で艶やかな品種もあります。
写真は‘大城冠(だいじょうかん)’

北陸のツバキ

北陸や東北地方海側の雪が多い地帯に自生するユキツバキ由来の品種が多く、花形、花色など変異に富んでいます。
昆布をはじめ、さまざまな物資が日本海側ルートで京都に運ばれた際の中継地だった北陸地方。ツバキも京都に運ばれることが多かったことから、その園芸化に大きな役割を果たしました。
写真は‘大日の曙(だいにちのあけぼの)’

肥後のツバキ

江戸時代、肥後(現在の熊本)の園芸は独自に発展しました。現在も肥後六花といわれる6つの植物が愛されていますが、ツバキはその1つです。
庭植えの花木とは別に、鉢植えとして楽しむツバキが流行しました。「梅心一重大輪」という、一重の大きな花が咲き、ウメを思わせる独特の花形の品種群です。
写真は‘王冠(おうかん)’

京都のツバキ

山に囲まれた盆地にある京都は、湿度が高く、本来ツバキの育成に適したところ。
神社仏閣の庭には銘椿が多く、ツバキ文化発祥の地となっています。平安時代から中世まで、日本の政治、経済、文化の中心であり、その時代の人々の高度な美意識で育まれた品種が多く見られます。
写真は‘五色八重散椿(ごしきやえちりつばき)’
  • ツバキの写真は、その地域の花の一例です

品種の多さも魅力

日本にはヤブツバキやユキツバキなど、園芸品種の親となった原種がいくつかあり、古くからたくさんの品種が生まれてきました。
近年では、中国や東南アジアから新たな原種が導入されて、日本のツバキとの交配も試みられ、これまでになかった斬新な品種も期待されています。

監修

小笠原誓

  • 園芸研究家

プロフィール

名古屋市内で園芸店を経営。 植物全般の知識はもとより、江戸時代の園芸に造詣が深く、父・小笠原左衛門尉亮軒氏とともに、資料収集・研究も行っている。