ライフスタイル
健康寿命を延ばすヒント3
運動より「読書」!?
AI(人工知能)の分析から導きだされた、いつまでも元気に暮らす秘密。
「読書」すればピンピンコロリできる!?
公開日:2018年10月13日
「健康寿命」とは、日常生活に制限なく、自立して、健康で何歳まで生きられるかを示す値です。
最新データでは、男性では72.14歳、女性は74.79歳。
しかし「平均寿命」との差は男性が約9歳、女性は約12歳もあり、
その間は寝たきりや要介護などの状態で暮らしていることになります。
ということは、「健康寿命」と「平均寿命」との差が短ければ短いほど、
死ぬ間際まで元気な「ピンピンコロリ」の人生を送ることができるのです!
そこで、NHKが開発した人工知能の「AIひろし」が、
65歳以上、のべ41万人の膨大な生活習慣や行動のデータを徹底的に学習。
そこから見えてきた、健康寿命と平均寿命の差を短くするキーワードは「本や雑誌を読む」でした。
なぜ「読書」をすると元気に生きられる?「読書」と「健康寿命」の意外な関係に迫ります。
都道府県 どこが健康で長生き?

都道府県ごとに、どこが健康で長生きしているのかを調べてみました。健康寿命を縦軸に、平均寿命を横軸にすると、「健康で長生き」「健康で短命」「不健康で短命」「不健康で長生き」という4つのゾーンに分けることができます。
「健康で長生き」とは、平均寿命が全国平均より長く、健康寿命も全国平均より長いので、寝たきりや介護の世話にならない健康で長生きの人の割合が多い、ということになります。
この中で、健康寿命が最も長く、平均寿命も全国平均より長いのが山梨県。
一方、長寿県として有名な長野県は、平均寿命は一番長いですが、健康寿命はほぼ平均となっています。
ということは、平均寿命が長い理由と、健康寿命が長い理由は違うところにあるのではないでしょうか?
「健康で長生き」とは、平均寿命が全国平均より長く、健康寿命も全国平均より長いので、寝たきりや介護の世話にならない健康で長生きの人の割合が多い、ということになります。
この中で、健康寿命が最も長く、平均寿命も全国平均より長いのが山梨県。
一方、長寿県として有名な長野県は、平均寿命は一番長いですが、健康寿命はほぼ平均となっています。
ということは、平均寿命が長い理由と、健康寿命が長い理由は違うところにあるのではないでしょうか?
AIひろしは何を分析した?

アンケートの質問は600問以上。10年以上にわたって追跡調査を行った膨大なデータです。
(基になったデータは、研究者などで構成するJAGES[日本老年学的評価研究機構]が調査)


ベイジアンネットワークなど複数の機械学習を組み合わせて使用
この分析の結果、AIひろしが生み出したのが、複雑にからみあったネットワーク。
赤色は健康要素、そして青色が不健康要素となります。

本や雑誌を読む人は「ヨガや散歩のグループに参加」「外出はほぼ毎日」「友人とよく笑う」など非常に多くの健康要素にとつながっていたのです。
しかも、不健康要素とのつながりが見当たらない、という驚きの結果でした。
(AIはつながりを示すだけです。因果関係は人間が読み解いていきます。)
読書と健康の謎を探りに山梨へ

ところが運動やスポーツの実施率では、なんと全国最下位。にもかかわらずなぜ健康寿命が長いのでしょうか? 実は人口に対する図書館の数がダントツの全国1位。
山梨県立図書館を訪ね、本好きのお年寄りに読書と健康の関係を聞いてみました。すると…

という声の一方で、頻繁に図書館にバスで来る人、手芸に関心を持つ人、手すりなしでスイスイと階段を昇る人など、AIひろしが示した健康要素のつながりと一致する人たちに出会えたのです。

読みたい本を探して歩き回るので、いい運動になっているようです。また、歴史や俳句、旅行などさまざまなジャンルの本を借りることで、知的な刺激を受け、それが大事だと感じているそう。しかも、旅のガイドブックを読むと過去の記憶が呼び覚まされ、そのおかげか物忘れも少ない、と言います。
なぜ読書は健康寿命を延ばす?

また、医学や高齢者福祉などのエキスパートが集まるJAGES(日本老年学的評価研究機構)が現在調査中の研究では、「図書館が近くにある人は要介護リスクが低い」というデータもあると言います。


低コストで健康寿命を延ばすには読書がカギに

また2017年には、「初等教育をしっかり受けると認知症を減らす効果がありそうだ」という論文が国際的な医学雑誌で発表されました。(Livingston, G. et al.(2017) “Dementia prevention, intervention, and care.”)
こうした研究も、AIひろしの分析に通じているようにみえます。

これからは健康長寿を伸ばすために、「本や雑誌を読む」ことや「図書館」の存在が、大きなカギとなっていくのではないでしょうか。