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若き天才 藤井聡太七段に挑む!
“超遅咲き男”今泉健司四段

戦後最年長41歳でプロになった苦労人 今泉健司四段!
将棋のNHK杯で、藤井聡太七段にどんな戦いを挑むのか?

公開日:2018年7月3日

これほど両極端の棋士も珍しい!
14歳でプロ棋士になり史上最年少で七段になった藤井聡太は、紛れもない天才!
二度プロ棋士への道を挫折し、戦後最年長41歳で棋士になった今泉健司は超遅咲き!
見た目も、藤井はさっそうとした好青年、かたや今泉はちょっと濃いめのおやじ風情・・・。
要は「プロ棋士」であることを除けば、ほとんど正反対の印象なのだ。
そんなわけで、この対局はNHK杯1回戦の好カードの一つと言える。

今泉四段は、「普通にやれば勝てるわけがない」と言うが、
そう簡単には行かないのが将棋という勝負の面白さだ。
人生経験の豊かさ、修羅場の数では今泉四段に分がある。実際
「戦いは駒のぶつかり合いだけではありません。僕自身が、諦めずに一手一手を気合いをもって指せれば、相手にプレッシャーを与えることもできる。僕もそれだけの人生経験を積んできていますから、考えられるあらゆる手を使って勝ちにいきます」
と言う。そして、二度の挫折、介護の仕事で知り合った応援してくれる人々の思いにも応えたいと話す。
しかも、舞台は全国に放送されるNHK杯。モチベーションは高い!

周りの下馬評を覆して、今泉四段が、藤井七段をくだせば、新たな今泉伝説の始まりとなる。二度の挫折を乗り越え、夢を達成した「超遅咲きの棋士」今泉四段は、藤井七段相手にどんな戦いを見せるのか?

この記事を読めば、このNHK杯1回戦の好カードが、がぜん楽しくなること請け合いです。

元介護施設職員! 今泉健司四段とは?

二度の挫折をへて・・・夢を実現!

広島県出身。14歳でプロの登竜門「奨励会」に入る。しかし、26歳の年齢制限で退会。その後、チャンスを得て再度「奨励会」に入るも、35歳で再び挫折。一旦プロの夢を諦め、その後、飲食業、証券会社などさまざまな仕事をしながらアマチュア強豪として活躍。だが、プロ棋士への夢を捨てきれず、4年前、介護施設職員時代に、新しくできたプロ編入試験に挑戦、5人のプロ棋士相手に3勝し、晴れて41歳でプロ棋士に。足かけ27年の夢を実現させた“超遅咲き男”。当時「オールド・ルーキー」として評判になった。

挫折と再起

●26歳の挫折

14歳で奨励会に入る。奨励会では、26歳の誕生日までに四段にならないと退会する規定がある。
今泉は、幾度か四段昇段へのチャンスをつかんだ。だが、結局それを生かせず26歳の時、奨励会を去った。
「勝って当然、負ければ心外」と思う傲慢さ、一度負けると感情的になって平常心を失うなど人間的な弱さが、敗因だったと今泉は言う。そして、当時を、何もかも「あ・ま・い」と振り返る。

●35歳の挫折

32歳の時、奨励会に編入できる新制度ができ、それに今泉は見事合格。再びプロ棋士へのチャンスを得た。2年の間に四段に昇段できれば、念願のプロになれる。
だが、前回と同様に、平常心を失うこともしばしばで、またも心の弱さが露呈、またパチスロにはまり勉強をおろそかにする等・・・せっかくのチャンスを生かせず、再び奨励会を去ることに。
プロへの夢を諦めた瞬間だった。

介護施設で働く 当時の今泉さん

●そして、再び・・・そしてプロ棋士へ!

二度目の挫折後、証券会社勤務をへて地元に帰った今泉は介護施設で働き始める。未経験の世界に戸惑う今泉。
だが、懸命に仕事に慣れる努力をするうち、入居者の人々からたくさんの「ありがとう」の言葉をかけてもらう。将棋とは全く違う自分の“居場所”を見つけたのだ。それが心の安定をもたらし、様々な面での自信にもつながっていった。
そんな中、再びアマチュア大会に出るようになり、数々のタイトルを獲得。そして、2014年、新たな制度、プロ編入試験に挑戦! 見事、合格を果たしプロ棋士となった。当時のことを「介護の経験を得て、それに導かれるように、プロ棋士になったという感じだ」と今泉は振り返る。
介護の仕事で得た人の絆、感謝の気持ち、それが今泉を成長させ、再起へと導いたのだ。今泉は「今も介護の仕事は大好きだ」と言う。

自身が語る「今泉って、こんな男です!」 

やはり「脇役」が好き!

歴史小説が好きで、主人公に感情移入しやすいですね。もちろん、信長、家康などの主要人物もいいけど、やっぱり脇役に関心があり、親近感を覚えます。やはり、自分と重ね合わせているからだと思う。黒田官兵衛、竹中半兵衛、真田幸村などが好き。

敗者の気持ちが分かる!

野球観戦も大好き。タイガースファンです。
勝てない時期が続いた90、91年の情けない阪神。なかなか勝てない阪神に親近感を覚えたんだと思います。
自分も勝てずに挫折感を味わってきましたからね。 
「勝者のメンタリティ」よりも「敗者のメンタリティ」のほうがしっくりくるんです。

座右の銘 「思ったように人はなる」

奨励会を退会した頃の自分は、本当にくだらない人間だった。実際にくだらないこと、しょうもない事ばかりやってきた。だからその程度の人間になった。
それ以降、実社会に出て、いろいろな経験を積む中で「人生は楽しいな~」と思うようになると、その方向に向かい始めた。そんな中で、ある時、この言葉がひらめいた。突然降りてきた感じです。
本来は、「良い風にも悪い風にも、思ったように人はなる」。

自身の棋風(指し方の「特徴、スタイル」)

好きな駒は「金」。なぜなら、今泉将棋の特徴は、金・銀がぶつかる肉弾戦だからです。直接コマが盤上でぶつかり合う“相撲”のような戦いが好みなんです!

将棋界の天才 藤井聡太四段とは?

史上最年少『七段』 超特急・出世街道

藤井聡太がプロ棋士四段になったのは、2年前の10月。今年2月には、名人戦順位戦無敗で五段に、そして僅かその16日後に、朝日杯将棋オープン戦で初優勝して六段に昇段。さらに5月18日、竜王戦で5組から4組に昇級、竜王ランキング戦連続昇級により七段に昇段。五段から七段まで、僅か100日余りで駆け上がった。ちなみに、これまでの七段昇段の最年少記録は、あの加藤一二三さんの17歳3カ月。それよりも18か月も早い15歳9か月での七段昇段だった。まさに、超特急出世! 今期中に竜王などのタイトル奪取の可能性もある。ますます強さに拍車がかかっている。

「昇段を祝う催し」は 五,六,七段3つ一緒に!

6月10日、藤井聡太七段の「昇段を祝う催し」が名古屋市内のホテルで開かれた。東海地方の将棋関係者やファンを含む、およそ500人が参加。
実は、この会は、当初2月の五段を祝う予定だったのだが、昇段のあまりの早さで三段分の昇段を祝う催しになったとの事。いかにも希有の天才らしいエピソード。
藤井は、ファンの前で「みなさんの期待を上回る活躍ができれば」と意気込みを述べた。

史上最年少でタイトルを目指す!

藤井七段の今最大の目標はタイトル奪取!
将棋界には八大タイトル戦がある。竜王戦・名人戦・叡王戦・王位戦・王座戦・棋王戦・王将戦・棋聖戦。ちなみに、史上最年少でタイトルを獲得したのは屋敷伸之九段で、18歳6ヶ月で棋聖を獲得。まだ、15歳の藤井七段! この記録更新も夢ではないかもしれない。

棋風(指し方の「特徴、スタイル」)

「序盤・中盤・終盤」いずれも隙のない差し回しで、悪手の少なさを多くの棋士が絶賛。
チャンスとみれば一気に追い詰める終盤の”寄せ”にも定評。
今泉四段も、「飛車角桂が飛び交う派手な将棋。攻めも守りも強いが、とにかくミスが少なく、大崩れしない。15歳の指す将棋ではない。」と絶賛している!

NHK杯の見どころ!

将棋フォーカスMC 山崎隆之 NHK杯選手権者

好対照な二人の棋士

藤井聡太 vs. 今泉健司。将棋の神様はいたずら好きだと思う。
藤井聡太、最年少デビューからの活躍は棋界の枠を越え、知らない人はいない。プロレベルになると普通、薄皮一枚ずつ強くなると思っていたが、藤井は違った。2、3年前までは、“プロになれるかどうかの実力”、それが昨年、“トッププロしか勝てない”とまで言われ、今年、“その強さからトップを含め誰なら勝てる”と断言できない程の成長力だ。『詰将棋の能力』と『成長のスピード』は私の理解を超えている。
今泉健司、奨励会に入って、私が初めて練習で教わった先輩で、関西で一番強いと思って指したこともある。実力十分ながら年齢制限などで二度プロの道を断たれた。だが、その後アマチュアで活躍、特例制度の難関を突破しプロになった異色の棋士。NHK杯は早指しなので持ち時間も短い。そして、その「短い持ち時間」の対局は、アマチュア時代に鍛えあげられ、慣れている。しかも全国放送のNHK杯戦で、相手が藤井聡太。燃えないわけがない。盤上はもちろん、対照的な棋歴の二人がぶつかる画を楽しんでいただきたい。

藤井七段 恐怖の“チラ見”
     今泉四段 自然の“ため息”

対局中、独特の仕草を見せる棋士はたくさんいる。
藤井聡太七段は「チラ見」! 未だあどけなさの残る藤井七段が対局中に見せる「チラ見」が出ると、自分が優勢と判断している印と言われている。
当時、藤井四段の連勝記録を止めた佐々木勇気五段は、「藤井の瞳に(自分の)姿が映ると負ける」と呟いたとか。恐るべし! 藤井四段のチラ見!
一方、今泉四段は、気持ちが、すぐに顔に出やすいタイプと自己認識。実際、対局中“よく溜息をつく”と相手から指摘されるとか。そこで、今泉四段から観戦の楽しみ方として、次のようなアドバイスが、
「自分では意識していないが、戦況が悪くなるとため息が自然と出ているのだと思います。ですからNHK杯をみている人は、今泉の表情、ため息、体勢をみていれば、戦況が明らかになると思います(笑)。」
皆さんも、是非、今泉四段を注視してくださいね。