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これまでの放送 2019年3月22日(金)の放送

フォーレの「レクイエム」
著名人の葬儀でも流れることの多い、フォーレの「レクイエム」。その美しさゆえにフォーレの全作品の中でももっとも演奏頻度が高い作品の一つです。しかし、この曲、ただ美しいだけではありません。当時主流だった音楽への反骨精神が込められた曲だったのです。
今日は、静かなる反骨の曲、フォーレの「レクイエム」に迫ります!
フォーレの「レクイエム」
著名人の葬儀でも流れることの多い、フォーレの「レクイエム」。その美しさゆえにフォーレの全作品の中でももっとも演奏頻度が高い作品の一つです。しかし、この曲、ただ美しいだけではありません。当時主流だった音楽への反骨精神が込められた曲だったのです。
今日は、静かなる反骨の曲、フォーレの「レクイエム」に迫ります!

おきて破りのレクイエム

キリスト教の葬儀で演奏される曲として、作曲され続けているレクイエム。「最後の審判」の場面を描く「怒りの日」は、この曲が作られた19世紀には劇的に表現されることが多く、聞き所の一つとなってきました。しかし、フォーレの「レクイエム」にはこの楽章がありません。それが、おきて破りといわれるゆえんです。どこまでも美しく、穏やかなフォーレの「レクイエム」はまさに、「死は苦しみではなく、永遠の至福と喜びに満ちた解放感に他ならない」とのフォーレ自身の言葉を表しています。

名曲を生んだ反骨精神

この曲はパリのマドレーヌ教会の葬儀で初演されます。すると、地獄の恐怖が描かれていない「レクイエム」は葬儀の場にふさわしくない、と司祭に言われます。それでもフォーレはあきらめません。教会の内外で演奏し、作品の魅力を伝え、初演から12年後、ついにフランスを代表する音楽としてパリ万博で演奏されました。
今では、モーツァルト、ヴェルディ、と並び「3大レクイエム」として世界中で親しまれています。

引き算で出来た音楽

フォーレが「レクイエム」を作曲した19世紀末といえばワーグナーやマラーらによる複雑で大規模な音楽が大流行。そんな中フォーレは、最小の音で最大の効果を上げる曲に仕上げました。吉松隆さんは、シンプルな和音の使い方、そして短いフレーズの反復に現代のジャズやポップス、そしてミニマル・ミュージックにも通じるといいます。

ゲスト

特殊な完成度だと思いますね

特殊な完成度だと思いますね

吉松隆(作曲家) 吉松隆(作曲家)

吉松隆(作曲家)

profile

1953年東京生まれ。慶應義塾大学工学部を中退後、独学で作曲を学ぶ。NHK大河ドラマ「平清盛」の
音楽を担当。クラシックというジャンルを越えた幅広いファンの支持を得ている。

楽曲情報

「レクイエム」から「われを許したまえ」「楽園にて」
フォーレ
三ツ橋敬子(指揮)
宮本益光(バリトン)
栗友会合唱団(合唱)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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