これまでの放送 2019年3月15日(金)の放送
解散から半世紀たっても色あせないビートルズの音楽。今回は、作曲家の宮川彬良、ビートルズの伝説的プロデューサー、ジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティン、音楽学者の田村和紀夫ら専門家がその音楽に独自の視点で迫ります!
宮川彬良のクラシック・スコープ~
ザ・ビートルズの魅力を探る
解散から半世紀たっても色あせないビートルズの音楽。今回は、作曲家の宮川彬良、ビートルズの伝説的プロデューサー、ジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティン、音楽学者の田村和紀夫ら専門家がその音楽に独自の視点で迫ります!


モーツァルトに通じる旋律


ビートルズの作品の中にはメロディーが非常にシンプルなものも多く、ピアノの白鍵ばかりで構成されるそれらのメロディーはモーツァルトにも通じると宮川彬良さんは指摘します。しかし、それだけではないのがビートルズ。メロディーラインの合いの手となる箇所では、ロック音楽を彷彿させる音符が連なります。
スタジオでは、宮川彬良さんの編曲で「抱きしめたい」が演奏されました。なんと途中にはモーツァルトの音楽が隠されていました。
バロック音楽の手法


フランス人女性ミッシェルへの恋心を歌い上げた楽曲「ミッシェル」。この作品では切なさを表現するのに、後に「クリシェ」と呼ばれる下声部の下降の用法が用いられています。この「クリシェ」は、実はもともとバロック音楽で「ラメント・バス(嘆きのバス)」と呼ばれていた手法でした。バロック時代の音楽家が悲しみを表現する際の常套手段だったのです。「ミッシェル」以降、ビートルズの数多くの楽曲で「クリシェ」が取り入れられただけではなく、他のロックバンドもこぞって使うようになりました。
クラシックならではの作曲法


ビートルズの音楽は、クラシック音楽でよく使われる作曲法である対位法とハーモニーを組み合わせて作曲されていました。多くの楽曲においてボーカルとベースはそれぞれ独自の旋律を持ち、それらの融合によって音楽は豊かになっていったのです。メロディーもあり、ハーモニーもあり、リズム感もある。このような音楽の三要素が全部網羅されているのが、ビートルズの対位法的な音楽だったのです。
ゲスト


宮川彬良(作曲家)
profile
最近では、連続テレビ小説「ひよっこ」の音楽を担当。テレビや舞台の音楽も数多く手がける。
音楽をわかりやすく伝える演奏会を各地で開催している。
楽曲情報
- 「抱きしめたい」
- レノン&マッカートニー
- 宮川彬良
- 宮川彬良&アンサンブル・ベガ
宮川彬良(ピアノ)、辻井 淳(第1バイオリン)、
日比浩一(第2バイオリン)、安藤裕子(ビオラ)、
近藤浩志(チェロ)、新 眞二(コントラバス)、
鈴木豊人(クラリネット)、星野則雄(ファゴット)、
池田重一(ホルン)

- 「P.S.アイ・ラヴ・ユー」
- レノン&マッカートニー
- 宮川彬良
- 宮川彬良&アンサンブル・ベガ
辻井 淳(第1バイオリン)、日比浩一(第2バイオリン)、
安藤裕子(ビオラ)、近藤浩志(チェロ)、
新 眞二(コントラバス)、鈴木豊人(クラリネット)、
星野則雄(ファゴット)、池田重一(ホルン)

クラシックになじむっていうのはビートルズ以外にない