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これまでの放送 2019年2月15日(金)の放送

タンゴの真実~その歴史からピアソラまで~
ブエノスアイレスの場末で生まれたダンスミュージックから世界に誇る音楽芸術として認められるようになったタンゴ。アルゼンチンを代表する音楽でありながら、主役の楽器はドイツ生まれ、音楽そのもののルーツはキューバやアフリカにも!?今日は、知ってるようで知らないタンゴの真実を、世界的バンドネオン奏者の小松亮太さんと解き明かします!
タンゴの真実~
その歴史からピアソラまで~
ブエノスアイレスの場末で生まれたダンスミュージックから世界に誇る音楽芸術として認められるようになったタンゴ。アルゼンチンを代表する音楽でありながら、主役の楽器はドイツ生まれ、音楽そのもののルーツはキューバやアフリカにも!?今日は、知ってるようで知らないタンゴの真実を、世界的バンドネオン奏者の小松亮太さんと解き明かします!

移民たちのごちゃまぜ文化

タンゴが生まれたのは今から150年ほど前のブエノスアイレス。スペインからの独立後、移民奨励政策を打ち出していたアルゼンチンにはたくさんの移民がやってきました。世界中から集った貧しい移民たちが最後に流れ着いたブエノスアイレスのラ・ボカ地区。そこにはかつて酒場や売春宿がいくつもあり、タンゴは男女の出会いを演出するダンス・ミュージックとして始まりました。タンゴにはさまざまなルーツがあります。もともとアフリカから来た宗教儀式のリズム「カンドンベ」や、かつてキューバで流行した「ハバネラ」、草原に住むガウチョが親しんだ音楽「ミロンガ」、さらにはヨーロッパ全土で大流行したポルカやワルツまでもが影響し、ごちゃまぜになった音楽がタンゴなのです。

音楽解説 タンゴって何だ?

独特な演奏法を持つタンゴ。その中でも打楽器でない楽器による打楽器的な奏法「カンジェンゲ(下町・場末奏法)」は特徴的です。コントラバスが弓で弦をワイルドに叩く「ストラパタ」(打弦奏法)や、バイオリンがコマの内側でリズムを刻むチチャーラ(セミ奏法)などがあります。クラシックともジャズともサルサとも違う独自の新しい音楽ジャンルを生み出すために、パーカッションをあえて入れずに独特の奏法を生み出したのがタンゴのおもしろい所だと小松亮太さんは言います。
さらにタンゴの特徴は豊富なリズムパターンにあります。4拍子の基本「フォービート」やそれにアクセントを加えた「ジュンバ」、オペラ「カルメン」でお馴染みの「ハバネラ」、クラシック音楽ではシンコペーションの名で知られる「シンコパ」など。さまざまなリズムパターンの組み合わせ方次第でタンゴが格好良くなったり悪くなったり、まさにタンゴの肝はリズムにあるともいえるでしょう。

踊りの伴奏から音楽芸術へ!タンゴの巨匠たち

もともと踊りの伴奏として始まり、音楽としては軽く見られていたタンゴでしたが、次第にクラシックやジャズと並んで世界的に認められる音楽ジャンルとなりました。その影には様々なタンゴの音楽たちの挑戦がありました。個性的なソロを回すアレンジを考案したフリオ・デ・カロ、小編成で密なアンサンブルに磨きをかけたオラシオ・サルガン、そしてタンゴにロックやジャズ、クラシックを融合させたアストル・ピアソラ。そんなタンゴの巨匠たちの努力によって、タンゴはついに大きなコンサートホールでも演奏される芸術音楽の仲間入りを果たしたのです。

ゲスト

小松亮太(バンドネオン奏者) 小松亮太(バンドネオン奏者)

小松亮太(バンドネオン奏者)

profile

1973年生まれ。14歳よりバンドネオンを独学で始め、カーネギーホールやアルゼンチン・ブエノスアイレスなどで、タンゴ界における記念碑的な公演を実現している。

楽曲情報

「ブエノスアイレスの冬」
ピアソラ
小松亮太五重奏団
バンドネオン:小松亮太、
バイオリン:近藤久美子、
コントラバス:田中伸司、
ピアノ:鈴木厚志、
ギター:鬼怒無月

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