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これまでの放送 2018年11月16日(金)の放送

モルダウ
今年独立100年にわくチェコの人々の心の歌、それはスメタナの「モルダウ」です。
作曲の背景には、他国の支配下にある祖国チェコに寄せたスメタナの熱い思いがありました。今日は、チェコ共和国から親善大使に任命されたこともある歌手の岩崎宏美さんと「モルダウ」にこめたスメタナの思いに迫ります。
モルダウ
今年独立100年にわくチェコの人々の心の歌、それはスメタナの「モルダウ」です。
作曲の背景には、他国の支配下にある祖国チェコに寄せたスメタナの熱い思いがありました。今日は、チェコ共和国から親善大使に任命されたこともある歌手の岩崎宏美さんと「モルダウ」にこめたスメタナの思いに迫ります。

母なる川を描いた音楽

モルダウ川のまたの名は「チェコの母なる川」。国境の森を源流とし、首都のプラハを通って、エルベ川へと流れ込みます。チェコの大動脈として、文化をはぐくみ、繁栄をもたらしてきました。この作品はそのタイトル通りモルダウ川をテーマとしており、楽譜には具体的な場所や情景が描かれています。チェコの美しい自然と人々の暮らしが音楽で表現されています。

交響詩「モルダウ」誕生の背景

作曲家、指揮者として活躍していたスメタナに悲劇が起こったのは、スメタナが50歳の時。激しい耳鳴りに苦しみ、その後すべての聴力を失ってしまいます。スメタナは、当時オーストリアの支配下にあったチェコの人々のために新しい曲を作曲しました。祖国の風景や神話を一連の交響詩に作曲し、連作交響詩「わが祖国」を完成させます。「モルダウ」はその第2曲。この作品は特に人気を集め、チェコの人々の心の歌として愛され続けています。

チェコ民謡のメロディーを用いたスメタナの思い

「モルダウ」の最後を飾るメロディーはチェコの民謡「コチカレゼディーロウ」の引用です。チェコの人ならだれでも子供のころに歌ったことのある有名なこの民謡。今は雨の降るような苦しい状況にあっても、いつかは必ず晴れて明るい未来がやってくる、という民謡のメッセージをスメタナは「モルダウ」に込めたのです。この作品は、他国に支配されているチェコの人々に明るい未来を示し、その思いを誰も止めることのできない川の流れで表現しています。

ゲスト

チェコの人にとっては本当に大切な一曲

チェコの人にとっては本当に大切な一曲

岩崎宏美(歌手) 岩崎宏美(歌手)

岩崎宏美(歌手)

profile

2007年にチェコ・フィルハーモニー管弦楽団とコラボしたアルバム『PRAHA』をリリース。
2008年から2011年、チェコ共和国親善大使をつとめる。

チェコ文化に対する誇りを取り戻そうという芸術的使命感があったのだと思います

チェコ文化に対する誇りを取り戻そうという芸術的使命感があったのだと思います

野本由紀夫(音楽学者) 野本由紀夫(音楽学者)

野本由紀夫(音楽学者)

profile

玉川大学教授。交響詩「モルダウ」を研究し、音楽の教科書の執筆なども行う。

楽曲情報

交響詩「モルダウ」
スメタナ
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
川瀬賢太郎(指揮)

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