これまでの放送 2018年10月19日(金)の放送
静かで美しいメロディが印象的なバッハの「ゴールトベルク変奏曲」。しかしこの作品、時には激しく、時には切なく、一音一音計算しつくされた作品なのです。今日は細部まで練り上げられたバッハの職人技が光る作品の真髄に迫ります。
バッハのゴールトベルク変奏曲
~天才が練りに練った音のアート~
静かで美しいメロディが印象的なバッハの「ゴールトベルク変奏曲」。しかしこの作品、時には激しく、時には切なく、一音一音計算しつくされた作品なのです。今日は細部まで練り上げられたバッハの職人技が光る作品の真髄に迫ります。
静かで美しいメロディが印象的なバッハの「ゴールトベルク変奏曲」。しかしこの作品、時には激しく、時には切なく、一音一音計算しつくされた作品なのです。今日は細部まで練り上げられたバッハの職人技が光る作品の真髄に迫ります。



不眠症を癒す!?壮大な変奏曲


この曲には、誕生にまつわる有名なエピソードが。「当時不眠症に悩んでいたカイザーリンク伯爵は、眠れない夜に聞くための曲をバッハに依頼しました。作品の素晴らしい出来栄えに、伯爵は毎晩お付きのチェンバロ奏者に演奏させました。」そのチェンバロ奏者の名前こそがゴールトベルク。こうして「ゴールトベルク変奏曲」の名がついたといいます。この逸話の真偽は疑わしいものの、眠れない人の心を慰めて長い夜をハッピーにしてくれる名曲であることには変わりありません。
愛妻家バッハのワーク・ライフ・バランスに学べ




この変奏曲の冒頭を飾る美しいアリアは、バッハが愛する妻にプレゼントしたノートにも書き記されています。バッハはソプラノ歌手だった妻アンナ・マグダレーナにチェンバロを教えていました。そして、アンナは気に入った曲があるとプレゼントされたノートに筆写し、繰り返し練習しました。ゴールドベルク変奏曲のアリアもその中の一つ。その丁寧な筆跡からはバッハへの深い愛情が伝わってきます。
高橋克典驚がく!人間業を超えたカノンの技


ゴールドベルク変奏曲は名の通り、変奏曲。変奏のポイントは曲の土台となる低音です。30に及ぶ変奏のすべてに、一つのシンプルなベースの音型が使われます。さらに、すべての変奏を一つの大きな作品にまとめる仕掛けは、3の倍数ごとに規則正しく現れる「カノン」。バッハが得意としたこの技法が縦横無尽に駆使されています。ゲストの鈴木さんによれば、バッハがここまで緻密に曲を構成したのは、神様に聴かれて恥ずかしくない曲を書きたかったから。まさに、バッハが本気で作り上げた究極の音宇宙なのです。
ゲスト


鈴木優人(チェンバロ奏者)
profile
バッハ・コレギウム・ジャパン主席指揮者
楽曲情報
- 「ゴールトベルク変奏曲」よりアリア、第21変奏、
第30変奏、アリア - バッハ
- 鈴木優人(チェンバロ)

宇宙というか、ユニバース・秩序を表現している