これまでの放送 2018年9月21日(金)の放送
音楽と人をこよなく愛し、生涯かけてそのすばらしさを多くの人に伝えようとした男、レナード・バーンスタイン。指揮者・作曲家・ピアニスト・テレビ司会者・著述家などその幅広い活躍は世界中の音楽家に大きな影響を与えています。今回は彼に直接指導を受けた指揮者や彼の娘から語られる彼の知られざる素顔から、強烈なカリスマ性を放ったその魅力に迫ります。
解剖!伝説の名演奏家
生誕100年 バーンスタイン
音楽と人をこよなく愛し、生涯かけてそのすばらしさを多くの人に伝えようとした男、レナード・バーンスタイン。指揮者・作曲家・ピアニスト・テレビ司会者・著述家などその幅広い活躍は世界中の音楽家に大きな影響を与えています。今回は彼に直接指導を受けた指揮者や彼の娘から語られる彼の知られざる素顔から、強烈なカリスマ性を放ったその魅力に迫ります。



指揮界のプレスリー 成功とその裏で


表情豊かで、ダイナミックな指揮振りから、「指揮界のプレスリー」と呼ばれることもあったバーンスタイン。25歳の彼は、ブルーノ・ワルターの代役を引き受けて望んだぶっつけ本番の演奏会で大成功を収め、指揮者として注目を浴びました。その後若くして名門ニューヨーク・フィルの音楽監督にアメリカ人として初めて就任しました。一躍スターとなった指揮者・バーンスタイン、しかし彼の本心にはもっと作曲に時間を割きたいという葛藤がありました。悩み続ける中でたどり着いた彼の答えは、「どれかを選ぶなんて何の意味も無い、私は音楽のために生きている」というものでした。
現役指揮者が語る巨匠の素顔




バーンスタインは、多くの音楽家にとっての憧れ。バーンスタインの最後の愛弟子、佐渡裕さんは「指揮台では何をしてもいい。それが音楽のためなら」という言葉を、パーヴォ・ヤルヴィは、レッスンの終了を促したスタッフにかけた「僕は今教えているんじゃない、人生を変えているんだ!」という言葉を、大野和士さんはレッスンを通して感じた「バーンスタインは人間愛の人だ」という思いを、回顧します。ゲストの広上さんも、バースタインのアシスタントとして1ヶ月ほど一緒にすごす中で、彼のありあまる才能、そして人間性に度々圧倒されたといいます。
若者たちに音楽を伝えわかちあう




バーンスタインが晩年情熱を燃やしたのが若者たちへの教育でした。1990年に札幌で始まった「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)」はバーンスタインが立ち上げた国際教育音楽祭。将来が期待される音楽家をオーディションで選び、ひと夏かけて行う教育プログラムです。当時すでにガンに侵されながら、残りの人生を若者たちへの教育に捧げようと、自ら指揮をし、音楽を奏でる喜びを若者たちと分かち合いました。バーンスタイン亡き後も、その思いは今もしっかりと受け継がれ、音楽祭は続いています。
ゲスト


広上淳一(指揮者)
profile
現在、京都市交響楽団常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー、札幌交響楽団友情客演指揮者。 多忙な指揮活動と平行して、母校東京音楽大学教授としても後進の育成に情熱を注いでいる。
楽曲情報
- 「交響曲 第2番 ハ長調 作品61 第4楽章から」
- シューマン
- レナード・バーンスタイン(指揮)
PMFオーケストラ(管弦楽)

彼は、音楽は心から出るものだと。スコアの奥にあるものは人間によって違う。だから人間を鍛えるしかない。