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これまでの放送 2017年9月15日(金)の放送

30分オペラまるわかり ビゼーの「カルメン」
~自由な女と純真な男の悲劇~ オペラって長いし、外国語で歌っているから難しそう…。
そんな想いを抱いているオペラ初心者に「これさえわかれば大丈夫!」
という鑑賞のコツをご紹介するシリーズ、「30分オペラまるわかり」の第2弾。
世界一愛されているともいわれる悲劇のオペラ「カルメン」ご紹介します。
30分オペラまるわかり ビゼーの「カルメン」
~自由な女と純真な男の悲劇~
オペラって長いし、外国語で歌っているから難しそう…。そんな想いを抱いているオペラ初心者に「これさえわかれば大丈夫!」という鑑賞のコツをご紹介するシリーズ、「30分オペラまるわかり」の第2弾。
世界一愛されているともいわれる悲劇のオペラ「カルメン」ご紹介します。

オペラを知らない方にもおすすめしたい作品ナンバーワン

自由に恋することを信条とする女性カルメンと、純朴な青年兵士ホセの恋と破滅を描いた『カルメン』。
そのビゼーの名作オペラをナビゲートするのは、舞台の第一線で活躍するオペラ歌手の錦織健さん。
「オペラとは歌が織りなすドラマ」と語る錦織さんにとって『カルメン』という作品は「これからオペラにチャレンジする人にお薦めしたい作品ナンバーワン」。
その理由は、シンプルで分かりやすいストーリーと、ちょうどよい上演時間の長さ、そして誰でもどこかで耳にしたことがあるような名曲が随所に散りばめられていること。
原作はフランス人作家のメリメが、スペインで実際にあった事件をモデルにして書かれたといわれる小説です。実際にあったことだから、内容もリアルで身近に感じられ、観る人が入りこみやすいのかも…。

ららら的オペラグラス 主人公たちの2つの顔

主人公のカルメンは、自分に合わないとすぐ次の男に心移りしてしまう恋多き女性。そして男はその性格に翻弄されて人生を破滅させてしまう…。そんなカルメンは長い間「悪女」と見られてきました。
しかし時代が下るにつれて、カルメンという女性は、男性の言いなりにはならず、自分の意志や想いをはっきりと主張して生きる「自立した大人の女性」として捉えられるようにもなっていきます。
つまり、カルメンという女性は、時代や社会によって様々な見方ができる奥深い人物なんです。
そんなカルメンの性格を紹介するようなアリアがあります。登場シーンでカルメン自身によって「私に好かれたらご用心!」と歌われる『ハバネラ 恋は野の鳥』。オペラでは、主要人物が登場シーンで自分のプロフィールを歌で語ることが多く、一つのお約束のようになっています。それを意識して観てみるのもオペラ鑑賞の一つのコツです。

カルメンに人生を振り回される、もう一人の主人公ホセ

このオペラのもう一人の主人公がドン・ホセ。田舎出身で純朴、そして真面目な性格のホセが、カルメンとの恋に落ち、捨てられ、最後はカルメンをストーカーのように追い、刺し殺してしまうというのが、このオペラのアウトライン。ホセをストーカー的な男性と見るか、女性に振り回される一途で純朴な男性と見るかで、作品の見方が変わるのが『カルメン』の面白さでもあります。

そんなホセの歌の中でも錦織さんのお薦めのアリアが『花の歌 おまえが投げたこの花は』。カルメンに冷たくされたホセが、葛藤を抱えながらも、やはり自分はカルメンのことが好きだと切々と歌い上げる名アリアです。

オペラ屈指のエンディング

『カルメン』の終幕は闘牛場の前で行われる殺人劇です。闘牛場の中では、カルメンの新たな恋人の花形闘牛士・エスカミーリョの闘牛が行われています。観客の歓声と彼を讃える歌声が響く中、場外の広場では、ホセとカルメンが対峙し、ドメスティックな殺人劇が繰り広げられます。その明暗のコントラストが主人公たちの歌と合唱によって高められていくラストシーンは、オペラ屈指の名場面として知られています。

普遍的ともいえる男女の愛のすれ違いが、名曲によって彩られながらドラマティックに描かれる。それが『カルメン』を時代が変わっても愛され続けるオペラにしているのかもしれません。

ゲスト

錦織 健(オペラ歌手) 錦織 健(オペラ歌手)

錦織 健(オペラ歌手)

第一線で活躍を続けるテノール
豊富な舞台経験をもとに、オペラの楽しさを伝えるための活動も精力的に行っている

楽曲情報

歌劇「カルメン」から抜粋
「ハバネラ 恋は野の鳥」「闘牛士の歌 諸君の乾杯を喜んで受けよう」「花の歌 おまえが投げたこの花は」
ビゼー
エカテリーナ・セメンチュク(カルメン)  ヘンリク・ナナシ(指揮)
カルロ・ヴェントレ(ドン・ホセ)     ヴェローナ野外劇場管弦楽団(管弦楽)
エスカミーリョ(カルロス・アルバレス)  ヴェローナ野外劇場合唱団(合唱)
エカテリーナ・セメンチュク(カルメン)、ヘンリク・ナナシ(指揮)、カルロ・ヴェントレ(ドン・ホセ)、ヴェローナ野外劇場管弦楽団(管弦楽)、エスカミーリョ(カルロス・アルバレス)、ヴェローナ野外劇場合唱団(合唱)

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