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これまでの放送 2017年6月16日(金)の放送

バルトークの管弦楽のための協奏曲
20世紀最高の管弦楽といわれるバルトークの
「管弦楽のための協奏曲」。ハンガリー出身の
バルトークが第二次世界大戦中にナチスを逃れて
ニューヨークに渡り、そこで病と闘いながら
書き上げた名曲です。
感情をゆさぶるメロディには、戦争への皮肉と
故郷への複雑な思いが込められています。
名曲誕生のドラマと、ジャズやロックにまで
影響を与えた作曲家バルトークの魅力に
迫ります。
バルトーク
バルトークの
管弦楽のための協奏曲
20世紀最高の管弦楽といわれるバルトークの「管弦楽のための協奏曲」。ハンガリー出身のバルトークが第二次世界大戦中にナチスを逃れてニューヨークに渡り、そこで病と闘いながら書き上げた名曲です。感情をゆさぶるメロディには、戦争への皮肉と故郷への複雑な思いが込められています。名曲誕生のドラマと、ジャズやロックにまで影響を与えた作曲家バルトークの魅力に迫ります。
バルトーク

友人たちが贈った最後の一花

1940年にハンガリーからニューヨークに渡ったバルトークは、新しい生活になじめませんでした。渡米後の3年間は1曲も作曲できず、収入も激減し、心身の不調をきたします。のちにわかったことですが、バルトークは白血病にかかっていました。体重も40キロほどに!彼の衰弱ぶりに驚いたのが、一足早くアメリカで活躍していたハンガリー出身の音楽仲間たち。せめて生活費だけでも援助したいと申し出ますが、バルトークはいわれのないお金は受け取れないと拒否。そこで友人たちはアメリカ音楽界で大きな影響力をもっていたロシア出身の大指揮者クーセヴィツキーをたよります。バルトークの友人たちの訴えを聞き、クーセヴィツキーは、オーケストラの曲を千ドルで作ってほしいとバルトークに手紙を送ります。単なる援助ではなく作曲家としての実力を認めてもらえたことに感激したバルトークは、意を決すると「管弦楽のための協奏曲」を一気に書き上げます。亡くなる2年前のことでした。
写真:バルトーク(左)と同郷の友人ライナー

作曲家 吉松隆が見たバルトーク流・遊び心!

マイルス・デイビスも、キング・クリムゾンのロバート・フリップも心酔!生真面目な“理系オタク”バルトークが生み出した「遊び心」に満ちた音楽を、作曲家・吉松隆と徹底的に読み解く!

作曲家 吉松隆・・・大河ドラマ「平清盛」の音楽を担当。協奏曲もたくさん作曲!

① ころころ変わる拍子
第4楽章には 2拍子と5拍子のコロコロ変わるリズムが登場。昆虫採集や民俗音楽収集に子どものような遊び心をもって取り組んだバルトークだったが、このリズムも民俗音楽収集の旅の中で出会ったもの。後にジャズにも影響を与えた。

② ロックなフレーズ
第5楽章に現れるロックなフレーズを聞いてみよう。バルトークは「フーガ」(同じ音型を次々と重ねていく作曲の技法)にしているが、古典的な感じよりむしろ「ロック」に通じる何かを感じるだろうか?

失われた故郷への愛

20世紀の音楽に大きな影響を与えたバルトーク。彼が死の2年前に書いた「管弦楽のための協奏曲」には様々なメッセージが隠されています。なかでも大きな意味を持つのが「戦争への皮肉」と「ふるさとへの愛」。第4楽章に現れる印象的なメロディに、そのメッセージを読み解いていきます。

ゲスト

ハンガリーを旅して感じたのは「正義」。バルトークの音楽はあの空気を思い出させてくれる!

ハンガリーを旅して感じたのは「正義」。バルトークの音楽はあの空気を思い出させてくれる!

関口 知宏(俳優・ミュージシャン・画家・旅人) 関口 知宏(俳優・ミュージシャン・画家・旅人)

関口 知宏(俳優・ミュージシャン・画家・旅人)

profile

鉄道で世界各地を巡る旅人としてもおなじみ。
ハンガリーにも滞在し独特の文化や音楽にも親しんだ。

楽曲情報

「管弦楽のための協奏曲」
第4楽章「中断された間奏曲」・
第5楽章「終曲」より抜粋
バルトーク
バーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
NHK交響楽団(管弦楽)

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