これまでの放送 2017年5月26日(金)の放送
フランス近代の作曲家ラヴェルの代表作
「亡き王女のためのパヴァーヌ」。ほのかに憂いを
帯びた優雅なメロディーで人気を集めるこの曲。
その謎めいたタイトルとラヴェルの生い立ちを
ひもとくと、彼のかけがえのない思い出に
辿(たど)り着きます。また、ルネッサンス時代の
ダンス「パヴァーヌ」を音楽系お笑いトリオ・
ポカスカジャンが体験リポート。
ラヴェルがこの曲に込めた郷愁の秘密に迫ります。
ラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌ
フランス近代の作曲家ラヴェルの代表作「亡き王女のためのパヴァーヌ」。ほのかに憂いを帯びた優雅なメロディーで人気を集めるこの曲。その謎めいたタイトルとラヴェルの生い立ちをひもとくと、彼のかけがえのない思い出に辿(たど)り着きます。また、ルネッサンス時代のダンス「パヴァーヌ」を音楽系お笑いトリオ・ポカスカジャンが体験リポート。ラヴェルがこの曲に込めた郷愁の秘密に迫ります。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」。ほのかに憂いを
帯びた優雅なメロディーで人気を集めるこの曲。
その謎めいたタイトルとラヴェルの生い立ちを
ひもとくと、彼のかけがえのない思い出に
辿(たど)り着きます。また、ルネッサンス時代の
ダンス「パヴァーヌ」を音楽系お笑いトリオ・
ポカスカジャンが体験リポート。
ラヴェルがこの曲に込めた郷愁の秘密に迫ります。



母への思いを音にのせて


「亡き王女」のモデルと言われているのが、17世紀のスペイン王女マルガリータ。ラヴェルは、「スペイン狂詩曲」や代表曲「ボレロ」など、スペインを題材にした作品を数多く残しました。フランスの作曲家でありながら、自分の作品にスペインの要素をふんだんに盛り込んだ理由。それはラヴェルの母がスペイン人であったことが大きく影響しています。貧しかったラヴェルの幼少時代、母は苦しい生活にもめげず、いつもスペイン民謡を明るく口ずさんでいました。心の支えであった母を深く愛したラヴェル。24歳の頃に書き上げたこの曲は、古き良き時代を懐かしむかのような、感傷的な曲調の音楽となりました。ラヴェルは人前で、この曲を決して褒めませんでした。しかし晩年、交通事故で記憶障害となった彼は、たまたまこの曲を耳にし、「この素晴らしい曲は誰の曲だ?」と口にします。心の奥底で大切にし続けていた自らの魂とも言うべき曲。そこには、いにしえのスペイン、そして母への思いが込められているのかもしれません。
クラシック珍道中「体験!パヴァーヌ・レッスン」


タイトルにつけられた「パヴァーヌ」とは16世紀頃ヨーロッパの王侯貴族の間で流行したダンスの名前。ラヴェルはなぜこの曲のタイトルを「パヴァーヌ」としたのでしょうか?その秘密を探るべく音楽系お笑いトリオのポカスカジャンが体験レポート!王侯貴族が舞踏室へ入場するときの優雅で格調高いダンスが「パヴァーヌ」。レポーターの3人も踊ってみると、ダンスというよりも歩き方そのもののようなステップでした。そこで専門家から「パヴァーヌ」のステップでラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」を踊ってみようと提案が!ラヴェルはこの曲をダンスの伴奏として作っていないのにも関わらず、その優雅なステップは見事に曲とぴったり合いました。いしにえのヨーロッパに流れていた優雅な時の流れを今に伝えてくれるのが「パヴァーヌ」だったのです。
ノスタルジーを感じる音楽の秘密


解説 三浦友理枝(ピアニスト)
「亡き王女のためのパヴァーヌ」を聴くと、なぜ懐かしさを感じるでしょうか?その秘密を読み解くのは、ピアニストの三浦友理枝さん。ラヴェルのピアノ作品全曲演奏会も開いたラヴェルのスペシャリストです。懐かしさを紐解くキーワードは「調性」。音楽の性格を決めるともいうべき「調性」には、明るく楽しいイメージの「長調」と、物悲しく寂しいイメージの「短調」があります。実は「亡き王女のためのパヴァーヌ」は長調と短調が入り混じった、明るいのか暗いのか判別が難しい音楽。これは「調性」の概念が生まれるよりも前、教会で聖歌を歌っていた時代に用いられていた「教会旋法」という手法です。それが「亡き王女のためのパヴァーヌ」に用いられていることから、古い時代の音楽を思い起こさせ、どこか懐かしい響きになるのです。
ゲスト


平 岳大(俳優)
profile
舞台・ドラマで活躍
紀行・語学番組で何度もスペインを訪れる
楽曲情報
- 「亡き王女のためのパヴァーヌ」
- モーリス・ラヴェル
- 三浦友理枝(ピアノ)

思っていたよりもドラマチックな音楽!