これまでの放送 2016年9月10日(土)の放送
不屈の精神で交響曲に挑んだブルックナーの50代の出世作。
難解、長いなどと敬遠されがちなブルックナーの魅力にせまります。
鳴り響く音の大聖堂
~ブルックナーの交響曲「ロマンチック」~
不屈の精神で交響曲に挑んだブルックナーの50代の出世作。難解、長いなどと敬遠されがちなブルックナーの魅力にせまります。
難解、長いなどと敬遠されがちなブルックナーの魅力にせまります。



音の大聖堂へようこそ

音楽誌の読者投票ではなぜか「嫌いな作曲家ナンバー1」に選ばれてしまうブルックナー。
しかし熱烈なファンがとても多いことでも有名です。ファンによって名づけられたブルックナーの特徴を「ロマンチック」を題材に紹介。冒頭のかすかな弦楽器のトレモロは、『原始霧』と呼ばれるブルックナーならではの表現手法。2つの音と3連符という独特のリズムは『ブルックナーリズム』。そして、金管楽器と打楽器が大音量で鳴り響く圧巻のクライマックス『ブルックナー終止』。神や自然を尊ぶ中世の時代への憧れを描いた「ロマンチック」は、そんなブルックナーらしい表現がつまっています。
不器用な天才がつかんだ夢

修道院の聖歌隊で音楽を学び、オルガン奏者として認められるようになったブルックナー。
しかし一方で、ベートーベンやシューベルトのような交響曲を書きたいという夢がありました。44歳にしてウィーンに上京。交響曲を書き続けるも、鳴かず飛ばずの日々が過ぎ、ブルックナーは50歳に。そんな中で取り組んだのが交響曲「ロマンチック」でした。音楽家や批評家にアドバイスを受け、ブルックナーは1つ1つ検討・修正していきました。6年かけて完成したこの曲は、翌年ウィーンフィルによって初演。大成功を収めました。ブルックナーは57歳にして、ついに交響曲の作曲家になる夢をかなえたのです。
ブルックナーサウンドの秘密

難解、よくわからないなどと言われるブルックナーですが、実は1つ1つのメロディーに注目すると、びっくりするほど単純です。オーケストラ全体をたった二つのパートに分け、それぞれが単純なメロディーを繰り返し続けるという手法もよく見られます。パーツは単純で、それを建築物のようにして音楽を組み立ててゆく。そこに、ブルックナーならではのやみつきになる秘密があるのです。
ゲスト


茂木健一郎(脳科学者)
profile
幼い頃から大のクラシックファン
脳とクラシック音楽についての本も多数執筆
楽曲情報
- 交響曲第4番「ロマンチック」第1楽章
- ブルックナー
- 円光寺雅彦(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
ブルックナーはまっすぐで不器用 役者でいうと高倉健!