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これまでの放送 2016年9月3日(土)の放送

ユーモアが生んだイギリスの誇り~エルガーの変奏曲「謎」~
イギリスを代表する作曲家エルガーの出世作、変奏曲「謎」。
エルガーがこの曲に隠した「小さな謎」と「大きな謎」とは?
「謎」をひもとくカギは、エルガーの妻、そして、エルガーにとって
大切な人物の存在にありました。
イギリスの人々が誇りとする名曲に秘められた謎に迫ります。
ユーモアが生んだイギリスの誇り~エルガーの変奏曲「謎」~
イギリスを代表する作曲家エルガーの出世作、変奏曲「謎」。
エルガーがこの曲に隠した「小さな謎」と「大きな謎」とは?「謎」をひもとくカギは、エルガーの妻、そして、エルガーにとって大切な人物の存在にありました。
イギリスの人々が誇りとする名曲に秘められた謎に迫ります。

「謎」はこうして生まれた

ある秋の夜、エルガーが奏でたメロディーを妻アリスが「ステキね」と褒めた事で、彼はちょっとした遊びを思いつきました。そのメロディーを即興で変奏して、「これ、誰の事だと思う?」と、謎かけを始めたのです。これが変奏曲「謎」誕生のきっかけ。個性豊かな友人たちの特徴をおもしろおかしく音楽で表現した「音楽による肖像画」が、変奏曲「謎」なのです。
エルガー自身この曲について、「小さな謎」と「大きな謎が」あると説明していて、「小さな謎」は、この「音楽によるなぞなぞ」。それぞれの変奏曲には、友人たちのイニシャルやあだ名がつけられ、すぐに答えは判明。しかし、「曲全体を通しての主題があるが演奏されない」と言った「大きな謎」については、いまだに決定的な答えは出ていません。この「大きな謎」については、エルガーと妻のアリス、そして、エルガーのとても親しい人物の3人だけが知っていて、3人とも何も語らないまま、この世を去りました。エルガーは、「永遠の謎」をこの曲に残したのです。

謎を知る男

イギリスの地方都市で、「一流の作曲家」を目指していたエルガー。なかなか成功を収めることが出来ない中、彼の才能を認める男が現れます。楽譜出版社の社員イェーガー。
意気投合した二人は、ベートーベンやブラームスについて語り合い、時にイェーガーはエルガーの作品を厳しく批評し、的確なアドバイスをしたのです。このイェーガーこそが、「大きな謎」を知る男。そして、変奏曲「謎」作曲時には、エンディングを作り直すよう指示。エルガーは、100小節も書き足し、その結果、変奏曲「謎」は大成功。エルガーは42歳にして、ついに、一流の作曲家の仲間入りを果たすのです。
成功を導いた立役者イェーガーは、変奏曲「謎」の第9変奏ニムロッドで描かれています。大切な友への感謝に満ちたこの曲は、今では、イギリスでの要人や戦没者の追悼など、慰霊を目的とした式典には欠かせない曲です。イギリスの人々の心を癒やし、安らぎをもたらすこの曲は、エルガーとイェーガー、二人の出会いがあったからこそ、生まれたのです。

友への思いはやすらぎと共に

友への思いはやすらぎと共に

エルガーが大切な友イェーガーの事を思い作曲した、変奏曲「謎」第9変奏ニムロッド。
この曲は、二人が大好きだった、ベートーベンのピアノ・ソナタ「悲そう」第2楽章が 下敷きになっていると言われています。それは、曲の冒頭部分に秘かに隠されていました。
また、この曲の最大のポイントは「癒やし」。これもまた曲が始まってすぐに、その効果 を生む仕掛けがあったのです。エルガーのちょっとした遊び心のある作曲の技を紹介。

ゲスト

出来事をありのままに受け入れましょう、というニュートラルな強さを感じました

出来事をありのままに受け入れましょう、というニュートラルな強さを感じました

佐野史郎(俳優) 佐野史郎(俳優)

佐野史郎(俳優)

profile

1975年「シェイクスピア・シアター」に創設メンバーとして参加
学生時代よりバンド活動も行う

楽曲情報

変奏曲「謎」
エルガー
大井剛史 (指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団 (管弦楽)

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