これまでの放送 2016年7月16日(土)の放送

神奈川県秦野市で行われた公開収録の模様をお伝えする、
2回シリーズの1回目。ふだんは同席しない番組MCと
オーケストラがステージ上で対面、視聴者から寄せられた疑問を、
実際に音にして『実験』しながら検証した。
大好き!オーケストラ(1)
~オーケストラ実験室~
神奈川県秦野市で行われた公開収録の模様をお伝えする、2回シリーズの1回目。
ふだんは同席しない番組MCとオーケストラがステージ上で対面、視聴者から寄せられた疑問を、実際に音にして『実験』しながら検証した。


なぜバイオリンだけ人数が多い?
なぜバイオリンだけ人数が多い?


5つのパートに分かれるオーケストラの弦楽器。高い音が出る楽器ほど人数を多くするのが一般的です。では、全パートを同じ人数で演奏してみたらどう聞こえるのか?さっそく実験です。
バイオリンが流麗に鳴り響く、ブラームスの交響曲第1番の有名なメロディーを、通常のバランスと全パート同じ人数の演奏で聴き比べました。その結果・・・違いは微妙~なもの。もしかしたらテレビのスピーカーからでは違いが分かりにくいかも知れませんが、会場のお客さんの半数以上が「違いが分かった」と手を挙げてくれました。
実際に、どう違って聞こえたかというと・・・。ゲストのクリス松村さんは「全パート同じ人数の方が低音が効いていて好き」、三倉茉奈さんは「通常のバランスの方がメロディーがよく聞こえる」といいます。東京フィルのコンサートマスター・三浦章宏さんによると「これぐらいの人数の割合だといちばんメロディーが美しく響くと、先人たちの試行錯誤でこうなったのだろう」ということです。
クリスさんが「調味料に例えたらいいんじゃないか」と言うように、ちょっとした塩加減、一さじを入れるかどうかという繊細なバランス感覚で、オーケストラの弦楽器は成り立っているんですね。
クラリネット奏者の足元に予備の楽器?
クラリネット奏者の足元に予備の楽器?


クラリネット奏者の足元にはたいてい、今吹いているのと別にもう1本か2本クラリネットが置いてあります。どうしてクラリネットだけ予備の楽器を置いているの?視聴者から寄せられたこの疑問を、吹奏楽経験のある三倉茉奈さんが、クラリネット奏者の黒尾文恵さんに聞いてみました。
その答えは「予備の楽器ではなく、長さの違う別の楽器」。よく見てみると、確かにほんの数センチ、長さが違います。曲によって「調(音階)」が違うので、それぞれ吹きやすい楽器が違い、クラリネット奏者は曲と曲の間や、時には曲の中で持ち替えているのだそうです。
その時、音をつくる「リード」と呼ばれる部品がついたマウスピースは取り外し、同じものを使い続けます。リードは繊細な部品で乾燥すると音が出なくなってしまうことと、楽器を持ち替えても音色を統一する必要から、マウスピースは同じものを付け替えて使うのだとか。
音色が多彩に変化する、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲の一部を演奏してもらい、クラリネットを持ち替えたりマウスピースを付け替えたりする様子を観察しました。
指揮者は本当に必要?

「指揮の動きの意味が分かりません、指揮者は必要ですか?」という質問を、本日の指揮者・川瀬賢太郎さんにズバリ聞いてみました。答えは意外にも「グレーゾーン」。ただ演奏するだけなら指揮者なしでも出来ますが、どんな演奏にするのか方向性や味付けをまとめるのが指揮者の役割。演奏会の前のリハーサルが、指揮者の仕事の8~9割なんだとか。
とはいえ、指揮者がしっかり合図を出さないとアンサンブルしづらい曲もあります。例えば有名なベートーベンの「運命」。冒頭の「ジャジャジャジャーン」は、プロの指揮者でも毎回苦戦すると聞いたクリス松村さん、「いちばん簡単そうですけど、ちがうの?」。そこで、指揮台に立ってジャジャジャジャーンの指揮に挑戦してもらいました。
超個性的な指揮ぶりから出てきた音楽は、やはり個性的。クリスさんの人柄そのままの楽しげな音に、客席からは爆笑が沸きおこりました。その後では、プロの指揮者・川瀬さんによる演奏もしっかり楽しみました。
番組の最後は、楽器の風変わりな使い方が特徴の、ベルリオーズ「幻想交響曲」の第5楽章を聴きました。弦楽器を、弓の毛の部分ではなく木の部分で叩いて音を出したり、大太鼓を寝かせ2本のバチで連打したりと、奇想天外な奏法でオーケストラの歴史を変えた名曲。「聴きどころ」というより「見どころ」たっぷりの作品に、会場は大きな拍手に包まれました。
ゲスト

三倉 茉奈(女優)
profile
中学・高校と吹奏楽部で
トランペットを演奏
クリス松村(タレント)
profile
オランダ生まれの国際派
大の音楽好きとしても知られる

三倉 茉奈(女優)
profile
中学・高校と吹奏楽部で
トランペットを演奏
クリス松村(タレント)
profile
オランダ生まれの国際派
大の音楽好きとしても知られる
楽曲情報
- 歌劇「フィガロの結婚」序曲
- モーツァルト
- 交響曲第1番 第4楽章 から
- ブラームス
- 組曲「くるみ割り人形」から
“トレパーク”“アラビアの踊り(抜粋)” - チャイコフスキー
- 交響曲第5番「運命」 第1楽章 から
- ベートーベン
- 「幻想交響曲」 第5楽章 から
- ベルリオーズ
-
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
川瀬賢太郎(指揮)
楽曲情報
- 歌劇「フィガロの結婚」序曲
- モーツァルト
- 交響曲第1番 第4楽章 から
- ブラームス
- 組曲「くるみ割り人形」から
“トレパーク”“アラビアの踊り(抜粋)” - チャイコフスキー
- 交響曲第5番「運命」 第1楽章 から
- ベートーベン
- 「幻想交響曲」 第5楽章 から
- ベルリオーズ
-
東京フィルハーモニー交響楽団
(管弦楽)
川瀬賢太郎(指揮)
ジャズのテイストが入ったオペラって新しい…(三倉 茉奈)/何も知らないでいつも(音楽を)楽しんでいるんだけど、一つひとつ分かっていくと、楽しい(クリス松村)