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これまでの放送 2016年2月27日(土)の放送

リスト特集~“魔術師”の真実~ “ピアノの魔術師”と呼ばれるほどの腕前を持つリスト
実はそれだけではない、スーパーマルチな男だった!
"リスト特集~“魔術師”の真実~
“ピアノの魔術師”と呼ばれるほどの腕前を持つリスト 実はそれだけではない、スーパーマルチな男だった!

なんでもピアノで 名アレンジャー

なんでもピアノで 名アレンジャー

「ピアノの魔術師」という異名をもつほどのリスト。生涯で作ったピアノ作品は700曲にも上ります。実はその中には、他の作曲家の作品を、ピアノ曲にアレンジしたものがたくさんあるんです。古い時代から同時代に活躍した作曲家の作品まで。しかも、歌曲やオーケストラ曲、オペラに至るまで、なんでもピアノ曲にアレンジしているんです。リストは元の曲を単にピアノに置き換えるのではなく、全く別次元のダイナミックな音楽として作り上げています。その上、当時はCDもレコードもない時代。遠くの演奏会に足を運べない人々にも音楽の魅力を広めたい、ピアノ一台さえあれば世界に広めることができる、リストはそんな思いを持って編曲していったのです。

新しい音楽を切り開け!敏腕プロデューサー

新しい音楽を切り開け!敏腕プロデューサー

30代なかばを迎え、リストは作曲活動に専念することにします。ドイツのワイマールから宮廷楽長のポストに招かれ、お抱えのオーケストラを取り仕切り、演奏会の企画を任されることになったのです。宮廷楽長とは、宮廷につかえる音楽家で、今でいう音楽監督や音楽プロデューサーの事。自分の楽団を持ち、自由な音楽に挑戦できることは、まさに理想的な環境でした。リストはここで指揮者として作曲家として充実した日々を過ごします。当時、音楽は文学や美術に比べ、芸術的な価値は低く見られていました。しかしリストは、「音楽こそ最高峰の芸術である」として新しい音楽表現を試みるのです。文学や美術、思想といった音楽以外の具体的なテーマやストーリーを、オーケストラで表現しようとしたのです。そして、それを「交響詩」と名付けました。リストは13曲もの「交響詩」を作り、そしてこの新たな音楽スタイルは、のちの作曲家たちに大きな影響を与えることとなっていきます。

光を求めて 神の道へ

ピアニストとして作曲家として、順風満帆な音楽人生を歩んできたリストですが、50歳をこえた頃から、逆風が吹き荒れます。20代の頃に出会った恋人マリーとの間に生まれた子供を、次々に亡くすという不幸。さらに、最大の理解者と言われたカロリーネとの別れ。そればかりか、彼の作る新しい音楽を理解できないという者から非難を受け、ついには宮廷楽長の地位まで追われてしまいます。絶望の淵に立ったリストは、精神的安らぎを求め、新たな道を模索し始めます。そして53歳の時に、ローマにある礼拝堂での儀式を経て、聖職者となるのです。それ以降、つねに黒い僧衣を身にまとい、宗教音楽にも取り組み始めます。そして57歳の時にローマにあるエステ荘で新たな暮らしを始めます。糸杉と噴水が有名なこの地で、リストは「神」や「死」を意識した宗教色の強い音楽を生み出しています。その中のひとつが、7曲からなるピアノ曲集「巡礼の年第3年」です。深い悲しみをたたえた曲集の中、リストは1つだけ、希望の光を感じさせるような作品を組みこんでいます。それが「エステ荘の噴水」。噴水をみている間だけは、世界のつらさから逃れることができる、そんな“救い"を、リストはこの曲に求めたのかもしれません。

こぼれ話

一見、自分の事は何にもしないように見えるリスト。しかし意外にも地味な事務処理もテキパキと自分でこなしていたそう。中でも手紙の返事など書くスピードまで速かったとか。事務処理まで超絶技巧だった!?というお話。

ゲスト

これだけ兼ね備えていて、先見の明まであったなんて!

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中川翔子(歌手・タレント) 中川翔子(歌手・タレント)

中川翔子(歌手・タレント)

profile

アニメソングを多数カバー
女優・声優としても幅広く活躍

楽曲情報

歌劇「タンホイザー」序曲(ワーグナー作曲/リスト編曲)
交響詩「レ・プレリュード」
「巡礼の年第3年」から「エステ荘の噴水」
リスト

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