バックナンバーバックナンバーをみる

これまでの放送 2015年9月26日(土)の放送

華やかさを追い続けて 高貴で華やかな音色を持ち、まさに金管楽器の花形的存在のトランペット!
かつては儀式や戦場でも大活躍!しかし、栄光の時代ばかりではなかった!?
華やかさを追い続けて
高貴で華やかな音色を持ち、まさに金管楽器の花形的存在のトランペット!
かつては儀式や戦場でも大活躍!しかし、栄光の時代ばかりではなかった!?

権威の象徴 
トランペット

1922年、エジプトでイギリスの考古学者が古代エジプトの王、ツタンカーメンの墓を発見しました。3000年以上前に使われていた装飾品の数々も発見されましたが、その中になんと2本のトランペットがあったのです。形は今のトランペットと大きく異なります。1939年にはそのトランペットの貴重な音がBBCラジオで流れました。とても長い歴史を持つことがわかったトランペットですが、その歴史をたどると意外な役割を担っていたことがわかりました。それは「合図」としての役割。儀式のほか、戦場でもトランペットは大活躍しました。軍隊を統率するために用いられ、また音そのものにも敵を威圧する効果がありました。次第にトランペットはその存在自体が徐々に特別なものとなり、王様たちはトランペットを「権力の象徴」として使い始めたのです。17世紀以降、各宮廷ではどれだけトランペット奏者を従えているか、その人数を競い合いました。まさにトランペットは文字通り花形的存在だったのです。

ナチュラル・トランペットに挑戦!

王様のもと、権威の象徴として華々しく活躍したトランペットが「ナチュラル・トランペット」と呼ばれるものです。主な特徴は、①管の長さが現在のものに比べ2倍で、②バルブ装置がなく、出る音に限りがあり、③音を正確に出すことが難しいということ。そんなナチュラル・トランペットを吹きこなすのがバッハ・コレギウム・ジャパンでも活躍するトランペット奏者の斎藤秀範さん。ナチュラル・トランペットは、吹く時の姿勢が特徴的で、左手は腰にやり、右手だけでトランペットを持ちます。その格好を見て司会の石田衣良さんは「まるで風呂上がりにコーヒー牛乳飲んでいる人のよう」とツッコミ。ただ、この長い管で音を出すのはとても難しい!トランペット経験者の茉奈さんもナチュラル・トランペットに挑戦してみましたが、低い音は数音は出たものの、高い音になるとギブアップ。先人たちがいかに高い技術を持って演奏していたかを茉奈さんは実感していました

守り抜け 伝統の音

18世紀後半の市民革命で王侯貴族が支配する社会が崩壊すると、これまで宮廷に抱えられていたトランペット奏者たちは失職。一方で宮廷からの解放は、宮廷時代には許されなかったトランペットの加工を可能にさせました。奏者たちは様々な音楽に対応できるように改良し始め、転調や半音階に対応できるようにしたものや、あらゆる音を出せるようにバルブという装置をつけたものなど、実に様々なトランペットを開発していきました。ただ、改良をしていく中でも伝統の音色を絶やさないために「管の長さ」は守り抜いてきました。しかし、この長い管は正しい音程を正確に吹くことが難しく、ナチュラル・トランペットの時代から奏者を悩ませてきました。そんな中、管の長さがトランペットのほぼ半分の楽器「コルネット」が登場すると、短い管にバルブを装着することで容易に正確な音程を奏でることができることから人気を呼び、トランペットはコルネットに金管楽器の花形の座を奪われてしまうのです。存亡の危機に直面したトランペットはようやく長い管を捨て、短い管を導入しました。短い管にはしたものの、作曲家らは華やかなトランペットの音色を求めていました。短管トランペットの登場以降、ラヴェルをはじめ、名だたる作曲家らがこの華やかな音色を生かし、数々の曲を世に送り出してきました。

ゲスト

ナチュラル・トランペットだからこそのニュアンス、色っぽさを感じました!

ナチュラル・トランペットだからこそのニュアンス、色っぽさを感じました!

三倉茉奈(女優) 三倉茉奈(女優)

三倉茉奈(女優)

profile

中学・高校時代に吹奏楽部で
トランペットを担当

楽曲情報

トランペット・ヴォランタリー
クラーク
斎藤秀範(トランペット)
水永牧子(チェンバロ)

Page Top