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これまでの放送 2015年2月14日(土)の放送

バレエになった恋物語 「ロメオとジュリエット」をバレエにリメイクした
ロシアの作曲家プロコフィエフ
初演を迎えるまでの険しい道のりを乗り越えた
作曲家の思いに迫ります!
バレエになった恋物語
「ロメオとジュリエット」をバレエにリメイクしたロシアの作曲家プロコフィエフ
初演を迎えるまでの険しい道のりを乗り越えた作曲家の思いに迫ります!

“聴かせる”バレエの誕生

1936年、ロシアの作曲家プロコフィエフが書いた「ロメオとジュリエット」の音楽は、それまでの一般的なバレエ音楽とは一線を画すほど革新的なものでした。それまでのバレエで使われてきた音楽の多くは、主役の「踊り」を引き立てるためのいわゆる「伴奏」のようなもので、音楽としての存在感は少なかったのです。それが「ロメオとジュリエット」の音楽は、シーンごとの個性がはっきりと際立ち、物語の進行だけでなく登場人物の内面までをもいきいきと描き出すことに成功しました。舞踊芸術である「バレエ」において「音楽」の存在感を極限まで高めた作品として、「ロメオとジュリエット」は20世紀に生まれた革新的なバレエ音楽といえるでしょう。

私は あきらめない

セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)は現在のウクライナ東部の知識階級の家に生まれた作曲家。1917年のロシア革命の後はアメリカに拠点を移し、ピアニストやオペラ作曲家として成功。その後フランスに渡り、前衛的なバレエ音楽などで知名度を上げました。当時のソ連は、そんなプロコフィエフを祖国に呼び戻したいと考え、教職の仕事や作曲の場を用意することを提示し、彼の復帰を画策します。このとき依頼したのが、新作バレエ「ロメオとジュリエット」の作曲でした。プロコフィエフは意欲的にこの音楽を書き上げましたが、ソ連国内の芸術に対する検閲が厳しさを増したことなどが原因で初演の話は次々とキャンセルに。そんな中、バレエ上演されず業を煮やしたプロコフィエフが「音楽だけでも発表したい」と願って書いたのが管弦楽の組曲の「ロメオとジュリエット」だったのです。この組曲は国内外でヒットし、そういったことも追い風となってバレエ「ロメオとジュリエット」は初演を迎えることができたのでした。

音が描く情景

組曲「ロメオとジュリエット」の1曲「モンタギュー家とキャピュレット家」には、「格式ばった旧家の威圧感」を感じさせる雰囲気が漂っています。そう感じる理由の一つは「低音の充実」と「印象的なリズム」。コントラバスやチューバなどの低音楽器の重厚な響きと「付点」を使った印象的なリズムによって、重々しい曲調となるのです。一方、中間部には一転して抒情的な場面が現れますが、じつはメロディーを構成している音は冒頭の威圧的な場面と全く同じ3つの音「シ・ミ・ソ」。同じ音を使いながらも、拍子や編成を大きく変えることでまったく異なる印象を与えるところはプロコフィエフの作曲の技。そんな工夫によって、“音楽を聴いているだけで情景が浮かんでくる”描写的な音楽になっているのです。

ゲスト

目をつぶって聴いていても情景が浮かんでくるような音楽だと思いました!

目をつぶって聴いていても情景が浮かんでくるような音楽だと思いました!

石田純一(俳優) 石田純一(俳優)

石田純一(俳優)

profile

恋をテーマにしたクラシックに興味あり
シェークスピア作品は舞台でロメオ役を演じたことも

楽曲情報

組曲「ロメオとジュリエット」から「モンタギュー家とキャピュレット家」
プロコフィエフ
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
円光寺雅彦(指揮)

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