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これまでの放送 2014年11月29日(土)の放送

音で描いたスペイン イベリア半島の大部分を占めるスペイン。
そのスペインのさまざまな情景を描いた組曲が「イベリア」です。
今回は音楽でスペインを巡る旅にご案内します!
音で描いたスペイン
イベリア半島の大部分を占めるスペイン。そのスペインのさまざまな情景を描いた組曲が
「イベリア」です。今回は音楽でスペインを巡る旅にご案内します!

音楽でスペインめぐり

「イベリア」は全12曲からなるピアノの組曲。12曲にはそれぞれスペイン(特に南部のアンダルシア地方)各地の情景や舞曲の名前がタイトルになっています。いくつかご紹介しましょう。
第1曲「エボカシオン」…「エボカシオン」には「美しい思い出を呼び起こす」という意味があります。聴く人をスペインの旅の世界へといざなう1曲です。
第2曲「港」…この曲に登場する港は、大西洋を臨む港湾都市「カディス」の港のこと。物売りのかけ声や踊り子の踏むステップの音で活気づく港の様子を描写しています。
第7曲「アルバイシン」…「アルバイシン」はグラナダのアランブラ宮殿が見渡せる町。坂の多いこの地区にはロマの人々が多く暮らしています。
第4曲「ロンダ」…山岳地帯の町「ロンダ」に伝わる民族舞曲「ロンデーニャ」を主題にした曲で、2拍子と3拍子がかわるがわる現れるところが特徴。
第9曲「ラバピエス」…「ラバピエス」はスペインの首都マドリードの下町。陽気に踊る男性(チューロ)と粋な女性(マハ)の姿を描いています。

ピアノでスペインを
描きたい

イサーク・アルベニス(1860-1909)はスペイン北部の小さな町に生まれた作曲家。小さい時からピアノの腕前は見事なもので、10代の頃から一人で海外へ渡り演奏旅行をして回るほどでした。そんなアルベニスに転機が訪れたのは23歳の時です。“スペイン音楽の父"と謳われる音楽学者のペドレルから「スペインのすばらしい音楽を世界に通用するものにしなさい」と説かれたのでした。その言葉を受けて、アルベニスは天才ピアニストから一転、スペインの音楽をクラシック音楽の語法と楽器を使って表現する作曲家になったのでした。40代半ばで重い腎臓病に冒され余命いくばくも無いと感じた時、彼は今までよりさらにスペインらしさを強調した作品を書こうと思い立ち「イベリア」に着手します。その作曲はアルベニス自身も何度も断念したくなるほど過酷なものとなりましたが、書き終えた12の組曲は自身の最高傑作と認める出来になりました。そして「イベリア」完成の翌年、アルベニスは息を引き取ったのでした。

スペインの“粋"

「イベリア」第9曲「ラバピエス」では、マドリードの下町ラバピエスの酒場で陽気に踊る男女の姿が描かれています。アルベニス自身が「自由に陽気に演奏されるべき」としたこの曲には、スペインの“粋"がいっぱい詰まっています。2つをご紹介しましょう。
①「リズム」…ビゼー作曲「カルメン」で歌われる有名なアリア「恋は野の鳥」でもおなじみの「」というリズムが登場します。これは、多くのスペイン音楽に使われているリズム。「ラバピエス」にもこのリズムを使うことでスペインらしさを感じさせます。
②「遊び心」…曲の中間部にたびたび現れる跳躍の音型に注目。「イベリア」の校訂も手がけたピアニストの比石妃佐子さんは、特徴的なこの音を「酔った男性がヒクッとしゃっくりしているイメージ」と解釈し、アルベニスの遊び心と捉えて演奏されるそうです。

ゲスト

いろいろなタイルが集まってできるスペインのモザイク画のような音楽だと思いました!

いろいろなタイルが集まってできるスペインのモザイク画のような音楽だと思いました!

平 岳大(俳優) 平 岳大(俳優)

平 岳大(俳優)

profile

仕事を通じてフラメンコに出会って以来、趣味に。
現在は「テレビでスペイン語」(Eテレ)にも出演中

楽曲情報

「イベリア」から「ラバピエス」
アルベニス
比石妃佐子(ピアノ)

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比石妃佐子(ピアノ)

アルベニスやグラナドスなどスペインの作曲家の作品を得意とし「イベリア」は全曲演奏、楽譜校訂も手がける。現在バルセロナ在住。

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