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これまでの放送 2014年5月3日(土)の放送

悪魔の化身”と呼ばれた男 史上最高の名手と言われたバイオリニスト、パガニーニが満を持して初出版した作品「24の奇想曲」
そこには、恋に落ちたことをきっかけに編み出した、ユニークな奏法が盛り込まれていた…
“悪魔の化身”と呼ばれた男
史上最高の名手と言われたバイオリニスト、パガニーニが満を持して初出版した作品「24の奇想曲」
そこには、恋に落ちたことをきっかけに編み出した、ユニークな奏法が盛り込まれていた…

24の奇想曲
24の奇想曲

ベールを脱いだ悪魔

パガニーニの演奏会は入場料が3倍に跳ね上がっても完売。どの会場でも開演の1時間前には超満員。目にも止まらぬほどの速弾き、時には弦1本のみで演奏してみせるなど、見る者、聴く者を圧倒しました。一方、彼の演奏に対して、「技巧だけが先走りしている」とか「人を驚かせるだけの演奏だ」などの批判もありました。そんなパガニーニが満を持して初めて出版した作品が「24の奇想曲」。パガニーニがこの作品を出版したのは、その超人的なテクニックがテクニックのためのものではなく、自分の音楽を表現するために必要な手段であることを伝えたかったため、と考えられています。作品の中でも特に印象的な「第24番」は、ラフマニノフやショパン、ブラームスなど多くの作曲家たちに感銘を与え、彼らは競うようにこの曲から独自の編曲を作り出しました。

悪魔が骨抜きになるとき

パガニーニは7歳のとき父親からバイオリンの手ほどきを受けました。練習は1日10時間以上。少しでも熱意が感じられないと食事抜きという超スパルタ。そんな生活が続くこと10年以上。パガニーニは10代の終わりには各地の演奏会で大喝采をあびるほどに腕を上げていました。しかし正にこれからという時期に、彼はこつ然と姿を消します。空白の期間およそ3年。実はこの間、パガニーニは、ディダという名の貴婦人と恋に落ち、彼女に薦められたギターの演奏に没頭していました。数々のギターの曲も書き続ける中、彼は、「左手で押さえた弦を左手ではじく」というギターの奏法をバイオリンに取り入れることを思い付きます。通常バイオリンでは、弦を指ではじくピチカートという奏法を右手で行いますが、パガニーニはこれを左手にも応用したのです。それが「第24番」で聴かれる左手ピチカートです。

“悪魔の化身"のテクニック

「24の奇想曲」は“悪魔の化身"のテクニックが満載。変奏曲になっている最後の「第24番」について見ると…例えば、
1)第5変奏では、音がオクターブ上、オクターブ下と、激しく上下します。瞬間的に弦をまたぐので弓も激しく上下し、ギクシャクとした感じが表現されています。同じ音でオクターブの上下をなくすと、とてもなだらかな感じになります。
2)第9変奏では、パガニーニが考案した最も印象的な奏法の一つ、左手ピチカートが聴かれます。目にも止まらぬ速さで、右手の弓と左手とを使い分けて奏でるこのパートは、つつましやかな中にも、可憐さ繊細さが楽しめる聴きどころとなっています。

ゲスト

もうこの旋律は 当分離れない!

もうこの旋律は 当分離れない!

奥田瑛二(俳優・映画監督) 奥田瑛二(俳優・映画監督)

奥田瑛二(俳優・映画監督)

映画の構想を練るときなどに
クラシックが想像力をかきたてる

profile

映画やドラマに数多く出演
2001年からは映画監督としても活躍

楽曲情報

24の奇想曲
パガニーニ
山根 一仁(バイオリン)

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山根 一仁(バイオリン)

平成7年生まれ 第79回日本音楽コンクール バイオリン部門
第1位。国内外のさまざまなオーケストラとの共演を重ねる 

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