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これまでの放送 2014年4月19日(土)の放送

森と湖と音楽と 北欧フィンランドの巨匠シベリウスが書いた「フィンランディア」
祖国の人々を勇気づけるため、シベリウスはこの作品に
あるヒミツを忍ばせていた…!
森と湖と音楽と
北欧フィンランドの巨匠シベリウスが書いた「フィンランディア」
祖国の人々を勇気づけるため、シベリウスはこの作品にあるヒミツを忍ばせていた…!

フィンランディア
フィンランディア

「森と湖の国」の波乱万丈

「森と湖の国」と謳われる美しい国、フィンランド。でも実は苦難の歴史を歩んだ国でもあります。19世紀、ロシアの支配下にあったフィンランドは、世紀末になると母国語や歴史教育まで禁止されるほど苦しい時代を迎えました。そこでロシアの圧政に抵抗しようと国内では「愛国独立運動」が起こります。人々の間に民族意識が高まったこの時期に生まれたのが「フィンランディア」でした。原曲はフィンランドの歴史を描いた舞台劇のための付随音楽でしたが、その後、単独の作品に改められました。フィンランドに真の平和が訪れるのは20世紀半ば。それまでは度重なるロシアからの侵略に脅かされるなど長い苦しみの中にありましたが、そんな時代に一貫して人々を勇気づけたのが「フィンランディア」だったのです。「フィンランディア」はその後、シベリウス自身の手によって合唱曲にも編曲され、今ではフィンランド「第二の国歌」と呼ばれ愛される曲になっています。

彼はカレワラが好き

管弦楽や合唱、室内楽など幅広いジャンルでおよそ350もの作品を残したフィンランドの大作曲家、ジャン・シベリウス(1865-1957)。彼が何より愛したのは、生まれ育ったフィンランドのゆたかな自然でした。彼は生涯を通じて自然にまつわる作品を非常に多く書いています。そしてもう一つ大事にしていたのがフィンランドに昔から伝わる民族芸能です。中でも特別な関心を寄せたのが、古い伝説や神話を歌うように語る「カレワラ」でした。「カレワラ」とは神話や英雄の一代記などをまとめた民族叙事詩で、シベリウスはこのカレワラの朗読会にたびたび足を運ぶなど熱心に学びました。そして「カレワラ」にちなんだ楽曲も数多く残しています。シベリウスの作曲活動を支えたのは、フィンランドの美しい自然と、カレワラに代表されるようなふるさとに古くから伝わる文化だったのです。

フィンランディアが描く苦難と歓喜

19世紀末の愛国独立運動の中で生まれた「フィンランディア」は、フィンランドが平和を勝ち取るまでの姿を描いた作品です。この曲を大きく3つの部分に分けて見ていきましょう。まず冒頭は、圧政に苦しむフィンランドの姿を表現しています。金管楽器が半音進行でぶつかり合う音は、強い緊張感と不気味な怖さを感じさせ、強烈なインパクトを与える出だしになっています。つづく中間部には、調和のとれたハーモニーで穏やかな場面が現れます。ここは、フィンランドの人たちが希望への祈りを込めて歌う合唱曲「フィンランディア賛歌」にもなっている部分です。賛歌の後のエンディングでは、自由を勝ち取って喜びに沸く祖国を表しており、ここには民族叙事詩「カレワラ」を思わせる音が登場します。フィンランド人らしさを自覚し、人々を勇気づけようとするこの曲にカレワラのモチーフが現れることには作曲者シベリウスの深い思いが込められているといえるでしょう。

ゲスト

いろいろなシーンが音楽によって現れてくる気がします。また新たな気持ちでフィンランドに行きたくなりました!

いろいろなシーンが音楽によって現れてくる気がします。
また新たな気持ちでフィンランドに行きたくなりました!

ルー大柴(タレント) ルー大柴(タレント)

ルー大柴(タレント)

小学校の音楽鑑賞の時の感動をもう一度!

profile

英語と日本語を混ぜた「ルー語」を使った独自のキャラクターで活躍。
10代の頃、北欧をヒッチハイクで回り、フィンランドの文化にも触れた。

楽曲情報

交響詩「フィンランディア」
シベリウス
尾高忠明(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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