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【京都】市バス「最年少」運転手デビュー【バス運転手不足・解消なるか】

京都局・竜田理史アナウンサーが取材!4/18(木)京いちにちで放送
  • 2024年04月23日

「バス運転手不足」が全国的な課題となる中、 
「京都市バス」では、ことし「19歳の運転手」が誕生しました。

「最年少」京都市内4路線を担当

中出丈(なかで・じょう)さん(20)。 
ことし、19歳でデビューした「京都市バスの最年少運転手」です。

中出さん

バス運転手がずっと夢でした。 
安全に定刻で走れた時は、よっしゃーとはなりますね。

「最年少」ながら、運転技術は「しっかり」しています。 
「バスの周囲の安全確認」は、もちろんミラーだけでなく目視も。 
運転は常に焦らず、ゆとりをもって「定時運行」。 
「ブレーキ操作」は丁寧にやさしく。 
そしてアナウンスも・・・

中出さん「ご乗車ありがとうございます。発車いたします。」

運転の基本を習得した上で、京都市内4路線の運行を任されています。 
「最年少の運転手」だと知った乗客の反応は・・・

乗客「えーっ。若いですね。乗り心地良かったです。」

素質有!人手不足の救世主!?

運転手が不足しているバス業界にとっても、ありがたい存在です。 
中出さんが所属する営業所の加藤勝久(かとう・かつひさ)所長は。

人不足で、50代後半・60代前半の方々等が退職されるのに対して、 
若い人がその後入ってくるかといえばなかなか難しいのが現状。 
その中で、一生懸命な心そして運転がまず好きというところがあることで 
ここまでのみこみが早いものなのかとすごくびっくりしている。

さらなる「スキルアップ」を目指して

そんな期待を一身に受ける中出さん。スキルアップ研修も欠かしません。 
この日は、キャリア30年の運転手・池内仁(いけうち・ひとし)さんによるマンツーマンの訓練。 
回送のバス車両を使い、車庫周辺の道路で行います。

研修中の池内教官(画像左)と中出さん

中出さん。いまの運転の課題は、いかに乗客の負担を減らせるかという点。 
例えば「バス停に止める」際。 
バス停で取材していた私の「目の前」に「バスの扉」! 
私の目には「まったく問題ない止め方」に見えました。 
が!キャリア30年・池内教官の目にはそうは映らなかったようです。

池内教官「ずれている。もうちょい」

たしかに、よく見ると、 
乗車口の目印となる「バス停の点字ブロックの位置」と 
「バスの扉の位置」とが、30センチほど、ずれていました。

「ずれている」と何がだめなのか。 
点字ブロックを頼りにバスを待つ視覚障害者などは、「そのまま前進して」バスに乗車します。 
そのため、バスの扉と点字ブロックとが「ずれている」と「車体にぶつかる」など事故につながりかねない。お客様を大切に思うからこその、池内教官の厳しい指導なのです。

池内教官

お客様がスムーズに乗れる歩幅とか、 
点字(ブロック)の位置とかっていうのを常に心がけておくように。

中出さん

ご高齢の方が乗ってこられるので、 
(点字ブロックに)近ければ近いほど、楽なのかなと思います。

そんなベテランの運転を間近で見られるのも、スキルアップ研修の醍醐味。 
運転席についた池内さん、 
「点字ブロックの前にぴたりとバスの扉をあわせて停車」。

乗客のことを思いやった「やさしい運転操作」に、中出さんは。

中出さん

無駄がない運転だった。いつかは池内教官のようになりたいですね。

2時間のスキルアップ研修で、中出さん、教わったことを何度も練習し、 
自分の課題を克服していきます。そんな中出さんに、池内さんは。

池内教官 
 

ちょっとずつですけど、よくなってきています。 
自信もってね、安全運行に努めてください。

中出さん

はい、ありがとうございます。

乗客にとって、安全かつ快適な運転技術を早く身につける。 
中出さんは、人手不足に悩むバス業界の力になりたいと考えています。

僕くらいの年齢の方々が『自分もできるかな』って思いを持ってもらって 
このバス業界をもっと盛り上げていけたらなと思います。

背景には「2024年問題」

中出さんに注目が集まる背景には、「バス業界の人手不足」の深刻化があります。 
いわゆる「2024年問題」です。慢性的に人手不足な上、さらに4月から「運転手の労働時間」の規制が強化されました。

それを補おうとすると、もっと運転手が必要になります。 
「京都市バス」も例外ではありません。 
京都市交通局によると、直営している4つの営業所では、運転手は現在およそ60人不足。 
それをカバーしているのは、今いる運転手の皆さん。 
時間外勤務や休日出勤などでしのいでいるとのことです。

まさに対策は急務です。 
路線バスなどの運転に必要な「大型2種免許」の取得条件が緩和されたことをうけ、京都市バスに中出さんのような10代運転手が誕生しました。 
京都市交通局では、このほか「パートタイム運転手」や「女性運転手」の採用にも力を入れ、人手不足の解消につなげようとしています。

市民そして観光客の足を守るべく、さまざまな取り組みが今まさに進んでいます。 
中出さんの今後にも注目です。 
 

  • 竜田理史

    NHK京都放送局 アナウンサー

    竜田理史

    乗り鉄。初任地沖縄!ゆいレールを乗り倒し、満を持して京都で乗り物取材中

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