行政が積極支援 農家の収入アップを!

皆さん、合志市ってどういうイメージですか?
熊本市のベッドタウンで、人口増加が進む自治体という印象をもたれる人も多いと思いますが、実は農地も多く、農業が基幹産業となっています。
合志市では「地元の農業を盛り上げて、農家の収入増を目指したい」と考えていますが、市の予算は限られているのが現状です。 そこで市が民間企業と協力することで、新たな財源をうみ出し農業活性化につなげようというプロジェクトを立ち上げたのです。 その取り組みを取材しました。
(NHK熊本・三浦太一)

野菜廃棄の現実・・・農家の収入増への願い

合志市の野菜農家、山本智衣さんの畑を訪れました。 山本さんは、トマトやにんじんなどを生産して出荷しています。 悩みは、形や大きさなど市場の求める規格とあわず、
毎年、大量の野菜を廃棄していることでした。
山本さんは「一生懸命野菜をつくっているのに、市場に出せず廃棄するだけってのはとてももったいない思い」と語ります。
このように、生産効率を上げ収入をアップすることは、合志市内の多くの農家の課題になっています。

市が発電事業に参画、自主財源を生み出せ

こうした農家の現状を打開しようと、合志市は3年前から新たなプロジェクトを始めました。民間企業と共同で行う、市の遊休地を使った太陽光」の発電事業です。
市ではこの発電事業で捻出した、年間およそ700万円から800万円の自主財源を農業振興に充てる仕組みを作ったのです。


合志市 濱田善也副市長

合志市の濱田善也副市長は、このプロジェクトについて「実際、自由に使える市の予算は本当に限られています。そうしたなかで知恵を出して、発電収益を還元して農業などにもうちょっと自由に使える財源にしたいという思いがきっかけでした」と話します。
※濱は旧字体のハマです。

自主財源で農家と新商品開発を

この発電事業を通じて生み出された新たな自主財源で合志市が始めたのが、新たな農家の収入につながる農産品の開発です。
市の担当職員は、無駄になっていた野菜も商品につなげようと、動き出しています。

市の担当職員が山本さんを訪れて提案したのは、規格外の野菜を使って、油で揚げない野菜チップスの商品化を目指すことでした。
畑で収穫したにんじんを吟味し、中心の部分も赤みの強いにんじんを使えば、乾燥させてもきれいな色合いとなるチップスができると判断し、実現を目指すことになりました。
山本さんは「やはり農家は野菜を作る専門なんで、正直売るのは得意ではないんです。市のほうから規格外野菜の有効活用を提案してもらい、全面的に商品化をバックアップしてもらえるのはありがたい話です」と期待しています。

クラフトビール開発も!?

さらに合志市は、発電による財源でビールの開発にも乗り出しました。
市がいま、民間企業と進めているのは、「クラフトビール」の醸造です。
実はこのビール造りでカギとなるのが合志市で栽培が行われている「甘草」(かんぞう)と呼ばれる植物。


【右】合志市で栽培される甘草、【左】醸造用に粉末化された甘草

リコリスとも呼ばれる甘草は、漢方薬の原料となる一方、ビールに独特の味や香りをつける性質もあります。新たな味わいのビールを売り出して、地元の甘草農家の生産の増加を狙おうというのです。
合志市がビールの醸造を依頼している熊本市の企業では、甘草が持つ独特の風味を生かせるよう、製法を工夫するなど試作を進めていて、本格発売はことし秋を目指しています。

合志市の挑戦“本当にもうかる仕組みを”

合志市では引き続き地元農家のため、商品の流通やPR活動などに、新たな財源を充てていくことにしているほか、老朽化した農業施設の改修や農地の改良などにも活用して、農家が生産量を増やせる環境づくりを進めることにしています。
濱田副市長は「農業をつくる、流通にのせる、売る、この一連の流れをずっと支援していき、合志市で本当にもうかるような仕組みをつくっていくのが必要。行政と農家、民間企業がいろんなアイデアを出し合い、農業振興を目指したい」と意気込んでいます。
※濱は旧字体のハマです。

地域振興につながる施策を打ち出したくても財源のやりくりに悩む自治体が多いのが現状です。発電事業で生み出した財源を基に、農業振興につながる事業を次々に打ち出していくという合志市のユニークな取り組みが実を結ぶか、期待がかかります。

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