貯蓄なしのシングルマザー 4割近くも


増淵千保美准教授

マキさんのような状況は実は、特殊なケースではないといいます。シングルマザーの貧困問題に詳しい尚絅大学短期大学部の増淵千保美准教授はこう話します。

「シングルマザーの中には収入がぎりぎりで貯蓄がない世帯も多く、被災して職を失うなどすると一気に貧困状態に陥る。親に頼れないなど、複雑なケースを抱え、行政などのセーフティーネットからこぼれ落ち、悪循環から抜け出せない人も少なくない」

実際、国の調査によると、貯蓄が全くないシングルマザーは37.6%。さらに熊本県の調査ではひとり親の16.4%が熊本地震後に収入が減少したことがわかっています。

救ったのは1件の”SOS”メッセージ

政の支援からはこぼれ落ち、助け合うはずの家族には足を引っ張られ・・・。
そんな絶望のふちにいたマキさんを救ったのは1件の”SOS”のメッセージ。

「助けて欲しい人がいます」

マキさんを心配した友人が支援団体に送ったものです。代表の佐藤さんはマキさんにすぐに連絡を入れ、米などの食料品をいっぱい詰め込んだスーツケースを抱えて駆けつけました。

さらに佐藤さんはマキさんの生活の立て直しにも着手。いったん生活保護を受給させ、最低限の生活を確保したうえで職業訓練校に通わせました。

マキさんは訓練校を無事卒業し先月、仮採用ながらも働き始めました。そして、生活保護から自立に向けての一歩を踏み出しました。

「最初は支援って聞いても本当かなって、不信感もありました。でも、すぐにこの人なら間違いないと。とにかくものすごい行動力で私と息子を救ってくれました。いまは佐藤さんみたいな人になるのが私の夢です」

「私は運がいいですよね」

今回の取材の中で心に引っかかったのは、マキさんがつぶやいた「私は運がいいですよね」というひと言です。

その言葉に、支援の手が届いていないたくさんの女性たちの存在が脳裏に浮かび、はっとさせられました。

父親を自殺で失い、母親の力だけでは大学への進学ができなかった私も、支援してくれたたくさんの人の存在があって、今、生きられています。

私たちは助けてくれる人に出会えて救われました。しかし、その一方でそうした人に出会えずに、いまだに多くのシングルマザーたちが苦しみ続けています。

彼女たちをどう支えていくか。どうすれば「運」に左右されない社会をつくれるのか。私に何が出来るか、考えていきたいです。

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