― 熊本でカーリング!? 夢は五輪選手誕生! ―

ピョンチャンオリンピックで盛り上がる冬のスポーツ。雪国だけではなく、実はここ熊本でも楽しめる競技があります。それが”氷上のチェス”と呼ばれるカーリングです。
熊本では日本最南端の団体として県カーリング協会が活動していますが、選手登録メンバーは8人にとどまり、普及が進んでいません。一方、最多の北海道では1200人近く。
この差を少しでも埋めるため考えられた秘策とは?
(平成30年2月7日放送)

― “日本最南端 カーリング団体”熊本に ―

熊本県カーリング協会の練習拠点、それは、スケートリンク・・・ではなく、
事務所も兼ねている熊本市中央区のマンションの1室です。


”手作り”スケートリンク

県内には、1年間通して利用できるスケートリンクがなく、
練習環境に大きなハンデがあるなか、工夫を凝らして練習を積み重ねています。

ヨガマットやベニヤ板、それに、滑りやすい素材の白いシートを組み合わせて室内に手作りのリンクをつくり、ストーンを送り出す練習を繰り返しています。
「ハック」という、ストーンを送り出す人が足をかける台のまわりはガムテープで補強。


ブラシでこする練習も・・・

また、ブラシでこする練習も水色のプラスチックの板を使います。
これらはすべて、ホームセンターなどで購入したものです。
さらに、最近は市販されているカーリング場に見立てた全長約3メートルのマットも使っています。
協会のメンバーはこうしたさまざまな工夫を凝らし、週1回集まって練習をしています。

― “若い力”を普及の起爆剤に! ―

熱い情熱を持ってカーリングに取り組む協会のメンバーですが、
頭を悩ましているのが、競技の普及です。
去年7月に全国組織に加盟した後も競技人口は増えず、協会メンバー14人に加え他県からの愛好家の人たちなど、約20人ほどにとどまっています。
どうすれば、カーリングをする人が増えるのか。
そこで、協会が目をつけたのが「若い力」です。

高校生を勧誘し、チームの結成を目指そうというのです。
高校生チームが誕生すれば九州では初。
目指す舞台は、高校生の全国大会だそうです。
県カーリング協会の後藤浩史理事長は「高校生の柔軟な吸収力があるうちにチームを作ることで将来のオリンピック選手を育てることもできる」と熱く話していました。

― どうする? 選手の勧誘方法 ―

では、どのようにして選手を勧誘するのか?
現在、県内にカーリングをしている高校生は1人もいません。
そこで、協会が協力を依頼したのが、協会関係者の母校である「熊本農業高校」です。
話を持ちかけると、学校側も快く了承し、連携して生徒を勧誘していくことが決まりました。


選手勧誘に地元高校が協力(熊本農業高)

学校の窓口となるのはアルペンスキー経験者の教諭。
カーリングは未経験ですが、「冬のスポーツ」という共通点から抜擢されたそうです。
学校としては、校内に競技を紹介する写真を貼ったり、協会主催のカーリング体験会などを計画したりしているということです。
チームの結成を後押しする熊本農業高校の森山大介校長は、「とくに女子生徒の活躍の場になればいいなと思います」と話していました。
また学校の窓口となる、マツ本一弥教諭(※1)は「熊本でもできるんだということを伝えていきたい」と話していました。
(※1)マツは木へんにつくりが「八」と「口」

― “九州初”チーム結成に向けて ―

県協会や、マツ本教諭が集めなければならない人数は、最低4人。
4人そろえばチームを結成し、試合に出場できます。
その前提条件として、協会への選手登録が必要となります。
では、熊本農業高校で4人そろわなければ試合に出場できないのか?
実は、協会に選手登録をしていれば違う高校の生徒が入ってもかまいません。
4人それぞれが別々の高校でも選手登録さえしていれば、熊本代表として大会に出場できます。

― 全国大会出場への道は ―

県協会が目標とする全国大会が行われているのは、毎年2月。
全国大会には、「北海道」「東北」「関東・中部」「西日本」の4ブロックそれぞれで行われる地方大会を勝ち抜いた4チームに、「開催地推薦」を加えた5チームが出場します。
しかし、競技人口の少ない地域ではチームを派遣できず、ブロックとして棄権するケースもあります。
たとえば、去年の全国大会。 男子の出場チームの場合、東北ブロックと西日本ブロックは選手が足りず、棄権となりました。

そこで、空いた2つの出場枠を補完するため調整が行われ、北海道の2チームが選ばれました。このため、北海道ブロックからは3チームの出場となり、メンバーのそろわなかった青森県、西日本ブロックの広島県、福岡県の選手は、連合チームを作って「開催地推薦」として出場しました。

つまり、熊本県のチームができたら、「西日本ブロックの代表」として、
全国大会に出場できるチャンスが十分にある
と考えられるのです。

― 熊本“カーリング王国”への夢 ―


(NHK熊本・中村秋季乃)

高校生に限らず1人でも多くの人に魅力を知ってほしいと、協会では一般向けにも体験会を実施するなど、普及に向けて取り組んでいます。
マンションでさまざまな工夫を凝らして練習するくらい、協会メンバーのカーリングへの愛情や情熱は、どの地域にも負けないものがあると、取材を通じて感じました。
カーリングは熊本では、ほとんどの人たちが初心者だと思うので、経験の差を気にせず挑戦できるのもいいところだと思います。
ピョンチャンオリンピックにあわせて熊本でも、“カーリングへの熱”が高まっていってほしいと感じています。

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