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すいかの“名産地”守るために

  • 2024年05月31日

本格的な夏が近づき、食べる機会が増えてきた人も多いのではないでしょうか。
私は幼少の頃、親に「3食ともすいかがいい」とせがんだこともあるほどのすいか好きです(後になって聞きました)。
そのすいかの名産地といえば熊本ですが、後継者不足が進んでいます。
おいしいすいかづくりのノウハウを将来へつないでいくため、熊本県とすいか農家がタッグを組みました。

熊本といえばすいか だけど…

いま、旬を迎えている熊本のすいか。名産地として知られる旧植木町の「道の駅 すいかの里植木」は、平日でも県内外から訪れる買い物客でにぎわっています。

こちらの女性は、すいかを6箱購入していました。
なんと10箱以上買うこともあるそうです。

熊本市内の女性
ほとんどは親せきにあげますね。みんなすいか大好きなので。熊本といえばいまはくまモンだけど、その前はすいかでしたよね。熊本と言えばすいか。熊本イコールすいか。

その熊本に誕生したのがこちらのすいかの栽培マニュアルです。
3年をかけてことし3月に完成したもので、土作りから収穫までの流れについて詳しく書かれています。

農林水産省のデータをもとに作成

熊本県は、作付面積と生産量がともに全国1位の“すいかの名産地”ですが、生産量は減り続けています。
県内の作付面積はおととしには1260ヘクタールと、およそ20年前と比べて40%減少しています。

県とすいか農家がタッグ

名産地の地位を守るためにも、このままではいけない。
県は危機感を募らせていました。

熊本県農産園芸課 坂本豊房主幹
植木とか、県北の大きな産地でも空いている農業用ハウスが出ている状況は寂しく思っています。すいかの栽培は経験や勘に基づいて行われるケースが多く、担い手への技術継承が課題になっていました。

そこで県は、マニュアルを作成することに。
新たに始める人でも取り組みやすいよう、経験と勘による匠の技で行われてきたすいかづくりの“見える化”に乗り出しました。

マニュアルづくりに協力した農家の1人、小佐井智昭さん(48)です。
27年前、父の背中を追って始めたすいかづくりでしたが、最初のころは苦労が多かったといいます。

すいか農家 小佐井智昭さん
大変でしたね。教科書はないので、親とか先輩農家さん、農協の指導員さんと試行錯誤しながら体に叩き込んでいった感じです。

経験と勘の“見える化”

特に苦労したのが温度管理です。
苗植えから収穫までの工程の中で、保つべき温度はそれぞれ違っているのですが・・・?

すいか農家 小佐井智昭さん
肌感覚で、温度管理も身につけましたね。
(温度計とかも見ないんですか?)
はい、見たことないです。

写真提供:熊本県

マニュアルの作成にあたって県は、小佐井さんをはじめ、すぐれた栽培技術を持つ農家から聞き取りを行いました。また、温度計も設置してデータを収集。
肌感覚で管理されていた温度をマニュアルに記しました。

すいかを手際よくひっくり返していく

緑色でまん丸としたすいかをつくるのにも、実はひと工夫必要です。
黄色くなっている部分は日照不足によって生じたもので、このようにひっくり返すことによって、緑色になるのだといいます。

これは、すいかの色を均一にさせるための「玉なおし」という作業ですが、マニュアルには期間を空けて90度ずつ回転させるよう書かれています。

ささいな作業に見えても一つでも欠けてはならず、こうしたポイントもしっかりと盛り込まれています。

また、所々に掲載されているQRコードを読み込むと、その工程の解説の動画を見ることができます。
スマホやタブレットを扱う機会の多い若い世代でもわかりやすいようにと、現代風のマニュアルになっています。

小佐井さんは、すいかづくりに若い力がさらに加わることを期待しています。

すいか農家 小佐井智昭さん
全国1位なので、すいかは熊本が一番だと思っているので。マニュアルができたことで、現在すいかづくりをされている方は自分に足りないものとか改善できることを見つけられますし、“すいかをやってみようかな、始めてみようかな”という人が少しでも増えて、すいかづくりが盛り上がればいいかなと思います。

熊本のすいかづくりの「匠の技」と、関係者の思いが詰まったマニュアルですが、県内の農家などに限って配布され、生産現場で役立てられるということです。

  • 矢野裕一朗

    NHK熊本放送局 記者

    矢野裕一朗

    2018年入局 福岡県出身
    盛岡局を経て熊本局
    すいかは大好物です。

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