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病気は “神様からのプレゼント”

~闘病の末につかんだ信念~
  • 2023年08月18日

熊本の皆さんの挑戦、小さな一歩を紹介するコーナー
「Step~未来への道しるべ~」
今回ご紹介するのは、満面の笑顔がトレードマークの横田久世(よこたひさよ)さん。
実は手足が少しずつ壊死(えし)する難病を患い、両足の膝から下を切断しました。

それでも義足をつけてフルマラソンに出場するなど、あくなき挑戦を続ける横田さん。
自らの病についてこう語ります。

病気は私が唯一もらった“神様からのプレゼント”

この言葉には、どんな思いが込められているのか。
横田さんの人生をかけたステップを見つめました。

いつも笑顔を絶やさず、 周囲を明るく照らす横田さん。
ふだんは夫が営む自動車整備工場で、週5日働いています。
病気の影響で両手の指を失いましたが、事務の仕事を続けています。

仕事だけでなく、車の運転も。日常生活のほとんどを、ひとりでこなします。


横田さんの人生が一変したのは、5年前のことでした。

横田さん

病名が『電撃性紫斑病(でんげきせいしはんびょう)』と言って、
体の先端から壊死(えし)していく病気に突然なってしまって…
初めて足を切断した時の痛みが想像を絶する。
出産も2回しているのに、もうそれどころじゃないみたいな。
主治医の先生に「どうしてあの時、私を死なせてくれなかったの」って泣きわめいて。
「どうやって生きればいいとね」みたいな感じで。

絶望にさいなまれる日々。
それを変えたのが、病室での夫とのささいな出来事でした。

泣きわめいてる時に、私の部屋にご飯が届く。
「死にたい」とか言いながらも、おにぎりを無意識に食べたんですよ。
無意識に、そのグルグル包帯を巻いた手で。
主人がびっくりして、 「え?おにぎりは食うったい」ってボソって言った。
その時私もハッとなって「食べるよ、お腹減ってるもん」って言った時に
2人で笑ったんですよ。「私、生きられるかも」みたいな。

1日2時間、2ヶ月にわたり、リハビリを続けた横田さん。
闘病を通して、人生への向き合い方が変わっていきました。

横田さん

五体満足の時は言い訳してチャレンジとかしない。
「明日からダイエットしよう」とか。
ほんとに挑戦なんかしてこなかったから。
結局、言い訳しているのは自分。
だけど、もう死ぬ目にあったわけじゃないですか。
だから“今できることを今やらないで、いつやるの” 
それをしっかり受け止めて行動しないと、
命を助けてもらった意味がない。

踏み出した一歩

その後、義足をつけて走れるまでに回復した横田さんは、“ある一歩”を踏み出します。
42.195キロの「熊本城マラソン」へ出場することを決意したのです。

ところがその挑戦に、当初家族は反対していました。

長女・花奈さん

やっぱり自分の中で母が障がい者になることを
受け入れられてないのが一番大きかったですし、
身内にそういう人がいなかったので、見られたくない。
注目されたくないし、「他の人と違う」というのを友達や人に思われるのが
嫌な気持ちが一番大きかったと思います。

しかし3年前、母親が初めて挑んだ熊本城マラソン。
義足で懸命に走る姿に、心を揺さぶられました。

長女・花奈さん

走っている姿を見てめちゃくちゃ涙が勝手に出てきて、
自分でも驚いたくらいなんですけど、本当に感動して。
それから母を応援してくれる人が本当に増えたし、
母を尊敬するひとつの出来事だったと思います。

横田さん一人で始まった挑戦は、いつしか家族の挑戦になっていました。

長女・花奈さん

母の挑戦を一番サポートできるのが私たちだと思うので、
サポートできるなら“一番大きな存在”でいたい


そして2023年、3年ぶりに開催された熊本城マラソン。
前回22キロでリタイアした横田さんは、30キロ走破を目指していました。 
過去の自分を超える、横田さんの挑戦が始まりました。

横田さん

もう常に敵は自分なんで。ライバルは自分なんで。
周りとか全然関係なくて、超えるのは常に自分です。

いよいよ目標の30キロが目の前に……。

きつかった…ありがとう。本当みんなのおかげでここまで来れました。

横田さんの人生を懸けたステップ。
そこには、闘病を通してつかんだ“揺るぎない信念”がありました。

横田さん

“最後に笑ったもん勝ち”っていうのを掲げている。
人生は最後に笑った人が一番幸せだって私は思っているので。
つらい経験があっても最後に笑えばいいんだって思ってるので。
だから、どんな壁が来ても最後は笑えばいいんだと思うと、失敗を恐れなくなる。
「ああしとけばよかった、こうしとけばよかった」とか、
それは絶対嫌だと思って。後悔は絶対持っていかない。
やりきって命を全うしようと思います。

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