子どもの居場所を作りたい
- 2023年07月12日

熊本の皆さんの小さな挑戦、小さな一歩を紹介するコーナー
「Step~未来への道しるべ~」
人吉市で学童保育や交流会など、子どもたちの居場所を作るための挑戦を続ける、
岡本麻美さん。その日々を、見つめました。
学校を終えた子どもたちが、勢いよく駆け込んできたのは…ある自宅の一室。

岡本さんが週6日行っている、学童保育です。
お気に入りのおもちゃで遊んだり、宿題をしたり。
子どもたちはお迎えが来るまで、思い思いの時間を過ごします。
地域の子どもたちにとって、欠かせない場所です。


ここの学童さんが大好き。
毎日学校より楽しみで来ている。

もう5年生なんですよ。もうやめていい。
学童という年齢ではないんだけど、「ずっと行きたい」と言っているので。
家でも学校でもない“三つめの居場所”

「あそこ(学童)に行けば別の友達がいる、気を遣わなくていい。」
そういう居場所になれたらなと思って。
子どもの居場所を作りたい
岡本さんが活動を始めた背景には、 かつてわが子をあずけるのに苦労した過去がありました。


私の子どもが難病を患っていて、
保育園・学童保育に入る際にとても苦労したので、
同じような大変さを抱えているお母さんもいるんじゃないかと思って。
さらに身近におきた“虐待の問題”も、活動を始める原動力になっていました。

人吉でも虐待の事例があった。
亡くなった子どもがいて、同じ町内に住んでいた。
子ども心にとても残っていて、
大人になって、虐待を受ける子どもが一人でも減るといいと思ったし、
つらい思いをする子どもを減らしたいというのが、根底にあります。
そんな思いから、5年前に学童保育を始めた岡本さん。
その挑戦を、家族も応援していました。
子どもたちがすぐ来られるように、学校のそばに土地を見つけ、家を新築。
学童保育専用の部屋を作りました。

子ども同士が交流することで、“生きる力”を育んでほしいと考えています。

お互いの問題解決や、コミュニケーション能力を育むためには
仲良くなって何でも話せる、
けんかをしても仲直りできるという体験を積むことが
生きる力につながると思う。
踏み出した一歩
岡本さんはいま、“新たな一歩”を 踏み出しています。
自宅近くのお寺に幅広い世代の子どもたちを集め、交流会を始めたのです。

この日は小学生から高校生まで50人ほどが集い、学習会を開催。
勉強を頑張った後は、みんなでおにぎり作りを楽しみました。

子どもが楽しめるから喜んで来ています。
ついでに勉強もさせてもらえるし、
あと、高校生・中学生と触れ合える機会は普段ないから
そういうところもありがたいですね。


この取り組みの背景には、3年前の豪雨で子どもたちの間に生まれた“溝”があったといいます。

人吉市内で被災した人としてない人がいる。
被災した子どもはもちろん大変だけど、
被災していない子どもも「自分の家だけ大丈夫だった」という負い目がある。
みんな被災に関係する子どもたちなのに、そこで分断がおきた。
もっと子どもたちがお互い一緒に、力を合わせる場があったらいいな。
そういう場を提供して、子どもたちに一緒になってほしいと思っています。
子ども同士がつながりあうことで、困難を乗り越え、健やかに成長してほしい。
岡本さんはこれからも子どもの居場所を途切れることなく、作り続けたいと考えています。

細々ながらもずっと続けて、例えば
「交流会があるから行ってみようかな」
「お姉ちゃんに会えたから良かった」といつでも思ってもらえるような。
子どもも地域の人も元気になって、「また来月会おうね」って
それが繰り返されていくといいかなって思う。