高校野球九州大会開幕!熊本代表4校に法性アナ迫る【文徳】
- 2023年04月20日
春の高校野球九州大会に出場する県大会4強の有明、文徳、熊本商、城北に迫る企画。今回は準優勝の「文徳」です。
【初戦の相手は、去年秋の九州大会覇者“沖縄尚学”】
熊本市にある文徳高校のグラウンド。両翼100m近くあるメイングラウンド、その横には室内練習場、非常に充実した施設で練習を行っていました。
お邪魔したこの日は、ちょうど九州大会の組み合わせ抽選の日。抽選を終えてグラウンドに戻ってきた森田監督が「沖縄尚学引いちゃいました(笑)」と一言。初戦の相手は、去年秋の九州大会覇者、センバツでも投打ともにハイレベルな印象を残した「沖縄尚学」に決まりました。
九州大会は、夏に向けたステップアップ、秋から自分たちがどれくらい成長できたかを確認する場所。その中で、今年の九州では一番の力がある沖縄尚学とできるのはとても嬉しいこと。試合に勝ちに行くのは大前提で、試合を終えたときに、力を入れてきたことに手ごたえを感じられるのが最高。ただ、おそらく反省がたくさん出ると思うので、センバツ出場校と自分たちと何が違うのか、足りていないのか、それを掴める大会にしたい。
【勝利のカギは、今年のチームテーマ「守り」】
特に今大会ポイントにあげているのが、新チーム結成当時から掲げてきた「投手を中心とした守備」です。就任5年目の森田監督。「守備」で勝負するというのは初めてのことだと言います。
就任してからは、基本的に「打ち勝つ」を軸にチームを作ってきた。勝てる試合もあるが、負けた試合を振り返ると、やはりここ一番、肝心なところで、バッテリー含め守備でミスが出ることが多いと改めて感じた。新チーム結成時に「今年は守備でいくぞ」と決め、秋、冬とやってきた。県大会ではその手ごたえを感じながら、決勝ではエラーも絡み負けてしまった。もしあのエラーがなかったら、1点を争う接戦になっていたと感じている。改めて、その重要性を実感した県大会でもあった。九州大会は「大会通してノーエラー」を目標にやっていく。また「ピッチャーが“自分のピッチングをして”どれだけ投げられるか」も、夏を見据える中で見ていきたい。
この日の練習も、バントシフトなど、守備の動きを入念に確認した選手たち。 冬の期間は「基礎・基本を徹底的に練習してきた」と、セカンドを守る西村選手は話します。
ノックを打ってもらって捕球するのではなく、2人1組で、近い距離で球を転がし合い、足の動き、捕球姿勢、グラブの動き、ステップ、送球への流れ、一つ一つを意識しながら、徹底的に反復した。県大会では、自分のエラーが大事な場面で出てしまった。今大会、個人としては「球際」を一つのテーマに守っていきたい。チームでノーエラーを目指します!
【今大会、投手陣に求める「自分のピッチング」】
投手に関して、森田監督は、県大会で「制球力」の重要性、そして手ごたえを感じたと言います。
単純に打ち取る上でも制球力は必要。それ以上に「守備」に重きを置いている私たちの場合は、投手の配球や球種によって、微妙に守備位置も変えている。つまり、投手が、投げるべきところに投げるということが、守備位置などの前提になるので、そこにうまく制球できないと、前提が崩れてくる。春の県大会、主戦として登板した福山投手、古川投手はそこができていたので、守備が全体として安定していた部分もあった。九州大会でも発揮してほしい。
加えて、森田監督が九州大会で投手陣に求めていることがあります。それは、自分の投球をすることです。「自分の持ち味を100%出して打たれたら反省ができるが、やってきたことと違うことをして打たれても反省ができない。思い切り、いまの力をぶつけてほしい」話します。
春の県大会エースナンバーをつけた古川投手。制球力が持ち味の右投手です。内野手としても活躍しています。
持ち味は打たせて取るピッチング。冬は、左バッターに対するツーシーム、右バッターに対するスライダー、カットボールなどの逃げていく変化球に力を入れてきた。強いチームだが、ビビらずに、楽しむ気持ちで向かっていきたい。
180㎝の長身サウスポー福山投手。滑らかな腕の振り、制球力が持ち味の投手です。
この冬は体格アップに取り組み、5kgほど体重が増えた。それに伴い球速、球威も成長していると感じる。九州大会では「打たせて取る」自分の持ち味である投球で勝ちにつなげることが一番だが、それ以上に、いまの自分の実力、やり方でどれくらい通用するのかを知りたい。良い意味で、夏へステップアップできるきっかけにできたら嬉しい。
そして、去年夏は2年生ながら背番号1を付けノーヒットノーランも達成した、ストレートが持ち味の森平投手。春の県大会はコンディション不良でベンチを外れましたが、今大会は万全な状態で迎えます。
県大会は外から見ていて投げたくてムズムズしていた(笑)。投手陣は練習通りしっかり投げていて客観的に良かったと思った。沖縄尚学は、正直、自分たちよりレベルが高いと思う。ただ、弱気にならず、緩急を生かしながら、持ち味のストレートで押すピッチングをしたい。冬にスタミナアップとストレート強化のために鍛えてきた下半身の筋力アップにも手ごたえがある。9回完封するくらいの気持ちでいきたいが、一方で、後ろにも投手が控えているので、1イニング1イニングを全力でいきたい。
森田監督が就任してから大事にしている言葉が、バックネットに張られている「一生懸命」。 「常に挑戦してほしい。決して安全にはやらないでほしい。試合は、絶対練習より安全になってしまう。練習ではどんどん失敗していい」という思いが込められています。
「ロースコアで終盤までいければ、ビハインドの展開でも勝機はある」と話す森田監督。冬に鍛えたバッテリーを中心とした守備で、去年秋の九州大会覇者・沖縄尚学にぶつかります。文徳の初戦は、23日(日)午前10時~、県営八代球場で行われます。