高校野球九州大会開幕!熊本代表4校に法性アナ迫る【熊本商】
- 2023年04月20日
春の高校野球九州大会に出場する県大会4強の有明、文徳、熊本商、城北に迫る企画。今回は「熊本商業」です。
【72季ぶりの九州大会 カギは「投手陣」】
熊本市電の線路沿いに学校がある熊本商業高校。実は、熊本県で最初に甲子園に出場した高校です。これまで甲子園には、春4回・夏3回の出場経験があります。ただ、九州大会はなんと72季ぶりの出場です。率いる古川監督、そしてチームの目標は「とにかく1勝」。最もカギとなるのが「投手陣」だと言います。
春の県大会、準決勝、3位決定戦と、エース宮崎は、疲労もあり登板を回避した。その中で、左投手の浅野、安部がよく投げ、良い経験ができた。今大会は、宮崎を中心に、投手陣全員でどれだけ抑えられるか。今春のセンバツに出場した他県のチームとも当たる可能性があるので、勝ち負けはもちろん、いまの力で自分たちがどれくらい通用するのかを純粋に見てみたい。
今大会は、主にこの4人の投手で戦います。 中心での活躍が期待されるのが、エースの宮崎投手です。
小柄ですが、なめらかな投球フォームから、伸びのある130キロ中盤のストレート、そして多彩な変化球を投げ込む右投手です。宮崎投手には、この九州大会で手ごたえを掴みたい球があります。それが、打者の手元でシュート軌道で変化する球「ツーシーム」です。
昔から投げられた球ではあったが、コントロールがどうしてもつかなかった。この冬一番練習したのがツーシーム。右バッターのインコースには食い込む軌道、左バッターのアウトコースには逃げていく軌道。スライダーは各打者見慣れていることもあり、あまり苦にせず合わせてくる。スライダーを生かすためにも、逆へ曲がる球を習得する必要があると思っていた。冬の間は投球練習中も、バッターを打席に立たせて投げたことで、コントロールもつくようになったし、だいぶ自信も出てきた。今大会では、バッター1人に対して、少なくとも1球は使っていきたい。
現役時代は投手として活躍した古川監督は、強打者と対戦する機会が多い九州大会だからこそ、宮崎投手には「観察力」を身につけてほしいと考えています。
一つ一つのボールは、冬を超え、本当に成長していると思う。ただ、今のままでは「夏は通用しない」。その一つは、宮崎は常に全力投球型であるということ。秋、春は体力がもっても、夏の酷暑では、5回を投げるのが限界。バッターはいま何を狙っているのか、立ち位置はどこなのか、この構えはどこが弱そうなのか。「バッターとの駆け引き」を、今大会で少しでも養ってくれたら、夏は楽にピッチングができると思うし、良い結果に繋がると思う。
【打撃のテーマは「直球」に差し込まれない】
ここ数年バッティングでも力を見せている熊本商業。テーマにしているのが「直球に差し込まれないこと」です。
この冬、自信を持って力を入れてきたと言えるのが「スイング量」。パワーもついてきた。今大会、打撃では、試合で何点とるという結果ではなく「ファーストコンタクトで、直球にアジャストすること」を大切にしていきたい。これができないと先につながらない。「スライダーをどう打つか」などは、もう一段上の話だと思う。
【パワーの源は「〇〇バット」と「お手製の〇〇」!?】
練習にお邪魔したこの日、高校野球特有の甲高い金属バットの音はしませんでした。皆握っているのは「木製バット」。しかもよく見ると・・・明らかに太いんです!
普通のバットと比べると一目瞭然。太いだけでなく重さもあり、普通のバットがだいたい900gくらいですが、これは1.2kg。「パワーをつけるためですよね?」と古川監督に聞くと、返ってきたのは意外な答えで・・・
レフトのネットまでは100mくらいあるけど、金属バットだと超えちゃう。レフトの奥はすぐ熊本市電が通る道なので仕方なく・・・。ただ、そのおかげで力はかなりついてきたと思う。
もう一つ、パワーがついた理由があります。それが「おにぎり1日10個」です。 去年冬から、食の専門家に指導を仰いでいる熊本商業。それ以降行っているのが、頻繁におにぎりを食べることです。
昼休み、練習中も、おにぎりを食べます。(おいしそう・・・)
その多くを作っているのは・・・マネージャーの皆さんです。
野球部員は2、3年生合わせて38人。1日に炊くご飯の量は、なんと20合!マネージャーの皆さんは、始発で学校に来て、ご飯を炊いておにぎりを作り、昼休みにまた炊き、練習中にまた握り・・・。そのおかげで、チームの平均体重は去年と比べ8kg増えたということです。選手の努力はもちろん、影で支える人たちの頑張りで、この成果が出ているんだと感じました。
体も一回り大きくなった熊本商業。久々の出場で旋風を巻き起こせるか!注目の初戦は、23日(日)、藤崎台球場で午前10時~。相手は、2007年“がばい旋風”を巻き起こし、夏の甲子園優勝を果たした「佐賀北」です。