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石井アナ 特別高度救助隊の訓練に密着

熊本地震の教訓を生かせ! 消防の救助技術も継承へ
  • 2023年04月18日

4月14日は熊本地震の最初の震度7の揺れが起きた日。 
この日、益城西原消防署で行われた災害救助訓練を取材しました。
訓練を行ったのは、熊本市消防局の中央特別高度救助小隊と益城西原特別救助小隊。 
7年前の熊本地震でも日夜救出活動にあたりました。

益城西原消防署の敷地内には訓練用のコンクリートブロックなどがずらり。
訓練の想定は、地震で倒壊した建物の中に要救助者がいるというもの。
実際に熊本地震でも多くの建物が倒壊し、救出活動が行われました。
今回の訓練では、熊本地震当時のことを知らない救助隊員も増えていることから、技術の継承も狙いの一つです。 

朝、10時半。訓練開始です。
今回の想定は地震発生から6時間後の災害現場。
崩れた建物の中に要救助者が取り残されている状況です。

建物の中に取り残された要救助者(想定)

隊員たちはまず、要救助者のもとへ向かうため、入り口を確保しようと動きます。
入り口の確保の方法、今回は2パターンでした。
まずは、コンクリートを持ち上げて入り口を確保する方法。
災害時は専用の車両や資機材が不足することから、レスキュー用のバールと木材のみを使っての訓練です。
複数の隊員がバールを使い、テコの原理でコンクリートを持ち上げて、木材を差し込みます。
これを繰り返して、入り口の隙間を徐々に大きくしていきます。
木材は災害現場でも調達できる可能性が高いので、レスキュー用のバールさえあればこうした作業ができると言います。

バールで持ち上げ、木材を差し込む
少しずつ高さを出していく

コンクリートを持ち上げて、40cmほどの入り口を作りました。これは人が通れる高さとのことです。
 (救助犬を入れたい場合は30cmほどを確保するそう) 
そして、隊員が中に入っていきました。

入り口を作って要救助者のところへ向かう

そして、もう一つの入り口の確保の方法は、「削岩機」を使うもの。機械を使ってコンクリートに穴を開けていきます。

機械を使って穴を開けていく
開けた穴から隊員が入る

こちらも人が入れるほどの大きさの穴が20~30分で完成。
直径は60センチほどでした。

そして、隊員たちが要救助者のところまで到達すると、すぐに話しかけながら状況を確認していきます。

「聞こえますか?」 「名前は言えますか?」 
「どこか痛いところはありますか?」 「何人暮らしですか?」
「今から助けますね」 「頑張りましょうね」 「もう少しですよ」 

要救助者に絶えず話しかける隊員たち

そして、トランシーバーを使って、建物の外にいる隊員に要救助者や現場の状況を伝えます。
その後、要救助者の頭にヘルメットを被せ、体をブルーシートで巻き、少しずつ外に運び出していきました。

訓練は1時間半ほどで終了。こんなに近くで救助訓練を見たのは初めてでした。
緊迫感のある訓練に思わず息をのんで見入りました。

4月に救助隊に入ったばかりという川道隆征さんに訓練後に話を聞きました。

当時は高校3年生だったという川道さんは「当時は周りの被害が大きく、不安や恐怖心が大きかった。命を守る仕事につき、自分たちがしっかり守っていかなければいけない」と決意を口にしていました。

いざという時のために日々たゆまぬ努力を続けている隊員の皆さんを頼もしく思うとともに、私自身も自宅の避難経路を想定したり、家具を固定したりするなど地震対策を引き続きしっかり行おうと心に刻みました。

  • 石井隆広

    熊本放送局 アナウンサー

    石井隆広

    宇城市出身
    熊本勤務は2度目

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