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桜に寄せる思い 益城町のシダレザクラ

  • 2023年03月30日

桜の名所と、桜に寄せる人々の思いを描くシリーズ

益城町の農園では、ことし初めて小さな花見会が開かれました。桜を植えた男性と地域の人々の笑顔あふれる交流です。

農園で初めての花見会

益城町の平田地区の農園では、17本のベニシダレザクラが見ごろを迎え、地元の人が集まって小さな花見会が開かれました。この桜は、農園主の光永幸弘さんが、2010年に福島県三春町を訪れた時に、国指定の天然記念物で樹齢1000年を超えるといわれる「三春滝桜」(みはるたきざくら)を見て感動し、その子孫の苗を譲り受けて農園に植えたものです。

地域の人が集まっての花見会
満開のベニシダレザクラ

熊本地震で自宅全壊 桜も裂ける

7年前の熊本地震では2度の震度7に見舞われた益城町。光永さんの自宅は全壊する被害を受けました。農園の桜も、幹の根元が1メートルにわたって縦に裂ける被害を受けたものもありました。当初、光永さんは、自宅の被害の大きさに意気消沈し、桜の手入れをする余裕も気力もなくなったと言います。

全壊した自宅
裂けた桜の幹

桜の生命力に励まされ

それでも桜は少しずつ背丈を伸ばし、幹が裂けた桜も3年後には花を咲かせるようになりました。光永さんは桜の生命力に励まされ、地震の翌年には自宅の再建を果たしました。いまでは、幹の裂け目もふさがり、高さも6メートルほどまで成長し、小ぶりで薄いピンクの花をたくさん咲かせるようになりました。光永さんは「桜の木の生命力、そして人間の力というのはすごいですね」と語ってくれました。

ふさがった裂け目
光永幸弘さん

地域の桜の名所に

3月19日には、新型コロナの制限も緩和されたことから、地元の人々を招いての初めての花見会が催されました。訪れた地元の住民からは「桜もきれいになりましたけど、地元のみんなもだいぶん元のように元気になりました」と話す人や、「やっと地域の方や、大事な家族と心おきなく笑える日が来たのかなと思います」と話す人もいました。農園の桜は、人間で言えばまだ子どもということで、光永さんは5年後、10年後、さらにその先の成長が楽しみだと話していました。

新たな桜の名所に

動画はこちら

 

  • 小川耕平

    熊本局・カメラマン

    小川耕平

    平成26年入局
    学生時代の野球と国内外の1人旅がいまの原点

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