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熊本出身 巨人ドラフト2位の萩尾匡也選手に法性アナが聞く!

  • 2023年02月01日

【“人生が決まる” 運命のドラフト会議】

令和初の三冠王、村神様こと村上宗隆選手。“打撃の神様”川上哲治さん、秋山幸二さん、伊東勤さん、松中信彦さん・・・。野球界の歴史は、熊本出身の名選手たちの活躍で彩られてきました。その始まりは、毎年10月に行われる「プロ野球ドラフト会議」です。

大学4年生の私

いま文章を書いている私も、大学まで野球部。現役時代は同期がドラフトで指名されるその瞬間を、寮の食堂で一緒に祈ったことを昨日のことのように覚えています。その時は3人がプロ志望届を出し、2人が指名受けました。夢のスタート地点に立つ嬉しさ、そして難しさ、厳しさも感じた経験でした。

2022年のドラフトで指名を受けたのは126人。熊本県関係者は5人が、プロとしての第一歩を踏み出します。

【巨人2位指名 熊本出身 慶應大・萩尾匡也選手】

萩尾匡也選手(慶應大4年時)

その1人が、巨人に2位指名された、大津町生まれ、熊本市の文徳高校から慶應大学に進んだ萩尾匡也選手(はぎお・まさや)です。東京六大学野球のリーグ戦で“三冠王”を獲得する打撃力、さらに50m6.0秒の俊足の持ち主で、大学日本代表では4番を務めた世代を代表する外野手です。

巨人に指名された時の気持ちは?

嬉しさというより「ホッとした」「よかった」という、この2つの気持ちだけでした。家族をはじめ、多くの方が期待してくれていたので、その期待の1歩目には、応えられたかなと思います。そして、たくさんの方からの連絡がありましたが、内容を見て、熊本の方は「巨人ファンが多い」と感じることが多かったので、そういった方々の期待に応えたいとも強く思いました。

私の喜びもひとしおでした。
実は、萩尾選手は「大学野球部の後輩」。大学では被っていませんが、ドラフト候補と呼ばれる2年前から一OBとして期待していた“推しの”選手だったんです。

熊本に赴任したころの私

2020年に熊本に赴任した私。いつものように母校の試合を映像で見ていると、ものすごいホームランを打つ選手がいました。それが萩尾選手だったんです。「どこの高校出身だろう」と調べてみると、なんと熊本の文徳高校。NHKでは、自分の赴任地と関わりのある人の取材をするのがルール。この瞬間に「絶対取材しよう」と、心に決めました。

それから2年。最終学年になった萩尾選手は、慶應の4番、そして大学日本代表4番を務めるまでに成長。プロを本気で目指していると聞き、念願の取材が叶いました。

【“勝負の原点”「絶対に打たせない」村上宗隆選手のことば】

まず教えてくれたのは、萩尾選手自身が成長する上で、欠かかすことのできなかった試合について。

高校2年の夏の熊本大会、萩尾選手の文徳高校対九州学院の準決勝。相手チームでキャッチャーをしていたのが、令和の三冠王・現ヤクルトの村上宗隆選手でした。

試合は、8回終わって7―10。3点のリードを許す展開でした。しかし、文徳は9回に1点を返し、8―10、その差を縮めます。逆転への期待が高まる中、4番の萩尾選手に打席が回りました。

9回2アウトで打席が回ってきて、そこで村上さんが「絶対打たせない」とポロっと言って。いまでも鮮明に覚えています。独り言で言ったのか、自分に向けて言ったのかはわからないのですが、自分が言われた感覚になって。そのことばを聞いて「ここ打たなければ終わりか」と思ってしまって、悪い意味で冷静になってしまった。これが勝負の世界かと感じた瞬間でした。

その打席の結果はショートゴロ。最後のバッターとして試合が終わりました。

高校時代の萩尾選手

間違いなく心の部分はベストではなかったですし、打てる、打てない、どちらかと言ったら打てないのかなと思います。自分の弱さにはなかなか気づけないですし、見たくない部分が強いと思いますが、それを突き付けられた感覚でした。
あの経験があって、当たり前なんですけど、弱い気持ち、弱音は絶対に駄目だなと思っています。いまはむしろ感謝してます。そう思えたことが、ここまでの成長に繋がっていると思うので。

【素顔は“愛されキャラのお笑い担当” 好きな女優は・・・!】

取材はこの1年だいぶ来てくれたので、多少は慣れました。

そう話す通り、とにかくわかりやすく、流暢で、論理的な受け答えをしてくれる萩尾選手。

部員たちの中でも、優等生タイプなのかと聞いてみると・・・。

後輩(左)と萩尾選手(右)

部員「お笑いキャラ、スマートな笑いというよりガッツある笑い(笑)」

後輩「モテます。プレイボーイ・・・(笑)」「怖いっす(笑)」

先輩としての威厳は完全になくなっています・・・(笑)

そして、寮の勉強机の横には、女優・永野芽郁さんの写真が所狭しと!!!

ばれましたか。ついに。親もまだ知らないんですけど。めっちゃ好きっすね。

一番好きですか?

間違いなくダントツトップです。まさかこういう形で世間の方々に知ってもらうとは・・・

なんでここに貼っているの?

勉強机に座るとき、目に入るじゃないですか。高まりますね(笑)やる気が出てくるというか。見られているみたいな(笑)

オンとオフがとてもしっかりしている、意外な一面も垣間見えました(笑)

【夢への原動力 “両親への感謝”】

この勉強机の横にある萩尾選手のベッドの天井には、1年前に貼った1枚の紙があります。

きっかけは、巨人の吉川尚輝さんが、目標を天井に貼っていると知ったことです。毎日目に入ることで、覚悟を確認できるようにはなったかなと思います。

なぜこの言葉を?

ここまで野球を真剣にやれているのは、間違いなく、両親のおかげなのかなと。高校のときは野球に集中できるように学校の近くにアパートを借りて住んでくれて、毎朝4時半に起きてお弁当も作ってくれて、試合の時はグランドにちゃんと来てくれて応援をしてくれて、大学は東京まで行くチャンスをくれて・・・。これって当たり前じゃないなって高校の時から思い始めて、大学に行って両親と離れてからより思って・・・。この人たちに恩返ししないと野球をやっている意味がないなと。

母・朱美さん 萩尾選手 父・秀二さん

巨人に2位指名されたあとは一番に報告した?

指名されたあとは、一番に連絡しました。どういう風に伝えようか迷って、照れながら「なんとか指名されました」と母に電話をかけて伝えました。母親からは「よかったね」ということと「これからが勝負だね」という言葉がありました。最後に「これからも迷惑をかけるけどよろしく」と伝えました。まず、恩返しの1つ目はできたかなと思っています。

【『トリプルスリー』を目指して】

萩尾選手は、ルーキーイヤーの春季キャンプでいきなり1軍に帯同。大きな期待がかかっています。

そんな萩尾選手のプロでの目標は「トリプルスリー」。
トリプルスリーとは、打率3割、ホームラン30本、盗塁30個を達成することを意味する偉大な記録です。

僕の武器はバッティングと足の速さだと思っているので、そこを生かしたプレーをしっかりやっていきたい。その中でトリプルスリーは、足と打撃を大事にしている数字なので、これを目標にしています。2022年、村上さんが三冠王取ったので、僕もこれくらいやらないと熊本の人の期待に応えられないかなと(笑)村上さんには、まず「同郷の先輩としてよろしくお願いします」ということと「負けずに僕もやっていくのでよろしくお願いします」と伝えたいです。

萩尾選手と私

偉大な同郷の先輩と一緒に、頑張れ萩尾選手!

 

  • 法性亮太

    熊本局・アナウンサー

    法性亮太

    野球歴15年

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