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答申第83号

平成21年7月15日
NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の諮問第90号に対する意見

1. 再検討の求めに至る経緯
 

 視聴者から「2008年4月1日時点で、NHK(渋谷)放送センター敷地内にある、1.NHK本体以外の企業、団体名。2.その団体が使用しているスペース。3.その団体が放送センター内に事務所を開設した年月日。4.その団体からNHKが貰っている家賃(賃貸料)。5.家賃の計上費目。」について開示の求めがあった。これに対しNHKは、固定資産の貸借に関する資料のうち外国放送局の占有スペースおよび賃貸料以外の該当部分を開示したが、開示の求めのうち3.については文書が存在しない、4.については、NHK情報公開規程(以下、規程という。)8条1項1号および4号の不開示情報に該当するとして不開示とした。また、5.については「日本放送協会平成19年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書」の該当部分を開示した。さらに、放送センター内にある外国放送局の事務所については、開示の求めの対象外とした上で放送局名および契約年月を情報提供した。これに対しこの視聴者から「団体の賃借料および外国放送局の占有スペース・賃借料を不開示とするNHKの理由は、国民から見ると不開示の理由とは考えられない。」「開示された団体で全てとは思えない。美容・理容院・メーク、売店、社員食堂等は無いのか。外部の清掃業者が場所を借りているのではないか。サフラン電機株式会社の求人案内には、NHK内に当社事務所を持っている、と書かれている。」などとして再検討の求めがあった。


2. NHKの見解の要旨
 

 開示の求めの対象文書をNHKと賃貸借契約または使用貸借契約を締結している企業、団体等の名称等を記した文書と解し、固定資産の貸借に関する資料の一部を開示した。このうち使用貸借契約は職員の福利厚生のための事業を行っている日本放送協会健康保険組合および日本放送協会共済会で、それ以外はすべて賃貸借契約である。
 開示および再検討の求めのうち賃貸料については、貸与先であるNHK以外の法人等に関する情報であって、個別、具体的な賃貸料は通常明らかにされない法人等の内部情報で営業上の秘密情報にあたり、これを公にすると、経営内容の一端が知られることになるなど当該法人等の権利、競争上の地位その他事業の遂行を害するおそれがあり、規程8条1項4号の不開示情報に該当する。さらに、賃貸借契約を結ぶにあたってNHKは、相手方と賃貸料や広さなど個別に交渉して決めており、賃貸料を開示することにより今後の契約・改定などの契約交渉に支障をおよぼすおそれがあり、規程8条1項1号の不開示情報に該当する。
 再検討を求める理由にある「開示された団体で全てとは思えない」との指摘については、以下のとおりである。まず、放送センター内に理・美容院はない。メークについては、スタジオの周辺に化粧室や着付け室はあるが、NHKの設備である。売店、食堂は開示した文書にある日本放送協会共済会が管理しており、そのスペースに含まれている。清掃業者やサフラン電機株式会社のような施設・設備の管理業者など放送センター内でNHKが委託する業務に従事する業者に対しては、委託業務をする場所を指定することはあるが、スペースの貸借はしていない。
 また、NHKは外国放送局との間で、放送や報道に関する協力協定や覚書を締結しており、これに基づき外国放送局4局と賃貸借契約を締結し、スペースを賃貸している。この協力協定や覚書には相互の守秘義務が課せられているので、賃貸借契約の内容は規程8条1項6号の「守秘義務が課せられているもの」に該当し、不開示情報である。そもそも報道機関がどのような場所にどの位の経費をかけてどの位のスペースの取材拠点を置くかの判断は、その報道機関の編集権に包含され、外国放送局の占有スペース・賃貸料を明らかにすることは、協力協定の相互主義の観点からNHK自身の編集権を侵害するおそれにつながるものである。したがってNHK内にある外国放送局の占有スペースとその賃貸料は規程3条1号に定める放送番組および放送番組の編集に関する情報を記録したものであり、開示の対象外である。


3. 審議委員会の判断
 

 NHKは放送センター内で企業、団体等が業務を行う場合、NHKと企業、団体等が締結した賃貸借契約または使用貸借契約により、放送センター内で一定のスペースを使用させているが、賃貸借契約における賃貸料については、NHK以外の法人等に関する情報であり、規程8条1項4号の不開示情報に該当すると認められる。
 外国放送局の占有スペースおよび賃貸料については、守秘義務が課せられていると認められ、規程8条1項6号の不開示情報に該当する。
 したがって、一部開示としたNHKの取り扱いは妥当である。


4. 審議の経過
 
平成20年 10月29日 (第108回審議委員会)  諮問、審議
  11月27日 (第109回審議委員会)  審議
  12月18日 (第110回審議委員会)  審議
平成21年  1月22日 (第111回審議委員会)  審議
   2月19日 (第112回審議委員会)  審議
   3月16日 (第113回審議委員会)  審議
   4月16日 (第114回審議委員会)  審議
   5月28日 (第115回審議委員会)  審議
   6月25日 (第116回審議委員会)  審議
   7月15日 (第117回審議委員会)  審議、答申

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