|
答申第49号 |
平成18年11月21日 |
NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の諮問第55号に対する意見 |
1. |
再検討の求めに至る経緯 |
|
視聴者より「子会社へ委託している仕事を民間で行った場合どれくらいの差がでるかを検討した資料(見積もりを取っているようならその資料も含む)」との開示の求めがあった。これについてNHKでは「NHKが子会社へ委託している業務は、電波の送信業務や放送法とそれに基づく受信料制度、NHKのコンピューターシステム等の固有の知識を必要とする業務など、一般の企業では実施することが難しいものに限られ、子会社へ委託している仕事を民間で行った場合を想定することができないため、見積もりの徴収を含め、『どれくらいの差がでるかを検討した資料』は作成しておらず、求めのような文書を保有していない」として、文書不存在のため不開示とした。
これに対して視聴者からは「dvdやビデオ制作は『一般の企業では実施することが難しい物』には該当しない。」として、再検討の求めが出された。 |
2. |
不開示としたNHKの見解の要旨 |
|
NHKは、放送法第9条の3によって、本来はNHKが行うべき業務の一部を、NHKが定める基準に従う場合に限り、他に委託することができるとされている。
この規定に基づいてNHKが定めた業務委託基準によれば、業務を委託する際の要件としては、「放送番組の編集に関する自主性を堅持するとともに協会の公共放送としての目的達成に支障を来さないもの」であり、かつ、「委託することが自ら実施するよりも経済性等において有利であり、委託することによりすぐれた成果を得られることが十分に期待されるものでなければならない」としている。
そして、受託者の選定について、業務委託基準では、「業務の専門性、特殊性等から他に委託先がない場合等やむを得ない場合を除き、競争契約を原則とし」としていて、別に定めた業務委託契約要領で、競争契約によらない場合として、次の6項目を挙げている。
(1)公共放送サービスの質を確保するため、当該業者のノウハウを活用することが不可欠な場合
(2)効率化に伴い移行した要員が、当該業務に従事している場合
(3)著作権、特許権等の排他的権利の保護との関連で業者が限定される場合
(4)既設設備との関連で業者が一者に限定される場合
(5)緊急の必要により競争に付している時間がない場合
(6)その他特別な事由で業者が一者に限定される場合
開示の求めおよび再検討の求めの対象となっているのは、関連団体に業務を委託する際、関連団体以外の業者に委託した場合との差について検討した資料であるが、随意契約で関連団体に委託した業務は、上記の6項目のいずれかに該当し、その関連団体以外に業務の委託先がないとNHKが判断した場合であるため、関連団体以外の業者に委託した場合との差について検討した資料は作成していない。したがって求められている文書は作成していないため、開示することはできない。
再検討の求めの理由の中で、DVDやビデオなど、NHKが制作した番組等の二次使用について触れられているが、こうした二次使用は、関連団体や一般の企業がNHKに番組等の二次使用を申請し、許諾を得た上で、自らの事業としてDVD等の映像商品の制作、販売を行っているものであって、NHKが委託した業務ではない。 |
3. |
審議委員会の判断 |
|
開示および再検討が求められているのは「子会社へ委託している仕事を民間で行った場合どれくらいの差がでるかを検討した資料」であるが、NHKが子会社を含む関連団体に委託している業務は、NHKが定めた業務委託要領により、その関連団体以外に業務の委託先がないと判断された場合であるため、一般企業に委託した場合との差を比較検討した資料をNHKは作成していないことが認められる。したがって、文書不存在で不開示としたNHKの取り扱いは妥当である。 |
4. |
審議の経過 |
|
平成18年 |
9月14日 |
(第69回審議委員会) |
第55号諮問、審議 |
|
9月28日 |
(第70回審議委員会) |
審議 |
|
10月12日 |
(第71回審議委員会) |
審議 |
|
11月 9日 |
(第72回審議委員会) |
審議 |
|
11月21日 |
(第73回審議委員会) |
審議、答申 |
|
|