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答申第40号

平成18年4月26日

NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の諮問第31号・第32号に対する意見


1. 再検討の求めに至る経緯
    視聴者から「2003年度の交際費執行額のうち国会議員(議員外の閣僚を含む)又は国家公務員で本省課長補佐級以上の者が同席している総ての食糧費、交際費等の接遇(ゴルフ等の接遇や物品の給付を含む)の支出伺い、請求書、領収書その他支出の内容が分かる文書」(諮問第31号)および「2003年度における国会議員又は本省の課長補佐級以上の職員並びに政治団体に対して金銭、物品等の交付がある場合は、その内容が分かる文書」(諮問第32号)という開示の求めがあった。
 これに対してNHKは「交際行為は相手方との信頼関係の維持増進を目的として行っているものである。行政機関と異なり、受信契約を除いて、法令に基づく権限や強制力がないことから、事業活動にあたっては外部の協力を任意に得なくてはならず、これらに係る個々の支出伺い等を開示すると、今後の信頼関係や友好関係を損ない、事業活動に支障が出るおそれがある。」として、不開示とした。
  これに対してこの視聴者から、「@行政も公営企業も原則公開している。ANHKは法律で設置され、予算について国会の議決を要するほど国民の合意と説明責任がある団体である。B『交際行為は相手方との信頼関係の維持増進を目的として行っている』からこそ、実態開示が必要だ。C氏名など最小限の墨塗りさえもせず、全部非開示としたことなどから、個別具体的に開示、非開示の検討をしていない。」として、再検討の求めがあった。

2. 不開示としたNHKの見解の要旨
    再検討の求めの理由として挙げられている「1行政も公営企業も原則公開している。」については、NHKは、特殊法人だが、国の出資を受けず、政府や地方自治体から独立した言論・報道に係る自主的・自立的な放送事業体であり、業務遂行におけるNHKの立場は行政機関や公営企業とは根本的に異なる。
 「2NHKは法律で設置され、予算について国会の議決を要するほど国民の合意と説明責任がある団体である。」については、NHKはその会計について、会計検査院の検査に加え、監査法人による会計監査を導入し、こうした外部によるチェックを通じて、受信料の使途の適正性、透明性を確保している。
 「3『交際行為は相手方との信頼関係の維持増進を目的として行っている』からこそ、実態開示が必要だ。」については、新聞や放送等のマスメディアは、自由な環境の下で互いに競争し、国民の負託に応える努力をしており、NHKも自由な競争者としての立場が確保されなくてはならない。事業運営のために行っている交際費等の記録を開示することは、いわば事業遂行に当たっての手の内を一方的に明らかにすることであり、自由な競争者としての立場が確保されなくなる。
 「4氏名など最小限の墨塗りさえもせず、全部非開示としたことなどから、個別具体的に開示、非開示の検討をしていない。」については、「相手の氏名さえ分からなければいい」というものではなく、NHKが交際費に関する情報を公にすることで、相手方との信頼関係の基盤が崩れ、事業活動に著しい支障が生じる。また、交際費に係る経費関係の請求書または領収書等は、全国の放送局の経理担当部署が保管している年間およそ100万件の経理伝票の中から抽出しなければならず、膨大な労力が必要となる。
  以上の理由から、NHK情報公開規程第8条第1項第1号の「開示することにより、NHKの事業活動に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当し、開示すべきでないと考える。

3. 審議委員会の判断
    開示が求められているのは、2003年度の国会議員または本省課長補佐級以上の国家公務員に対する接遇の内容が分かる文書および2003年度の国会議員、本省課長補佐級以上の国家公務員および政治団体に対する金銭、物品等の供与の内容が分かる文書である。
 この求めの対象となる文書として、まず、接遇については、飲食をともなう懇談に際して作成された打合せ実施伺票があり、そこには懇談の相手方の名前や役職名が記載されている。また、金銭、物品の供与については、謝礼(贈答)を供与した際の経理伝票の添付文書があり、そこには相手方の名前や役職名が記載されている。
 これらの対象となる文書のうち、打合せ実施伺票は、懇談を実施した部署が保管することになっており、全国の放送局の数百か所に分散して保管されている。また、経理伝票はNHK全体で年間およそ100万件にのぼり、それらは全国の放送局や倉庫に保管されている。これらの打合せ実施伺票や経理伝票は相手方ごとには管理されていない。
 これらの文書の中から、開示の求めに該当する文書を特定するためには、数百か所に分散保管されている打合せ実施伺票と、100万件にのぼる経理伝票の添付文書をすべて調査し、懇談や謝礼の相手方が国会議員や本省課長補佐級以上の国家公務員であるものを抽出する必要があるが、NHKの通常業務に支障を及ぼさずに、このような作業を行うことは、不可能であると認められる。すなわち、開示の求めに該当する文書は抽出可能な状態ではないので、文書不存在に準じ、開示することはできない。したがって、不開示としたNHKの判断は、結果において妥当である。

4. 審議の経過
 
平成17年
 9月22日
 (第49回審議委員会)  第31・32号諮問、審議
 
10月13日
 (第50回審議委員会)  審議
 
11月10日
 (第51回審議委員会)  審議
 
11月24日
 (第52回審議委員会)  審議
平成18年
 1月12日
 (第55回審議委員会)  審議
 
 2月10日
 (第57回審議委員会)  審議
 
 3月 9日
 (第59回審議委員会)  審議
 
 3月23日
 (第60回審議委員会)  審議
 
 4月13日
 (第61回審議委員会)  審議
 
 4月26日
 (第62回審議委員会)  審議、答申

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