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答申第4号 平成14年4月11日
NHK情報公開審議委員会の諮問第5号に対する意見

1. 審議委員会の結論
  (1) 都道府県別(単身世帯・2人以上世帯と事業所を含む)の契約率、未契約数、契約拒否世帯数
NHKが文書不存在を理由に不開示としたことは、妥当である。
  (2) 都道府県別(単身世帯・2人以上世帯と事業所を含む)の滞納数
NHKが内訳を把握していない単身世帯・2人以上世帯の別を除き、開示すべきである。

2. 再検討の求めに係る経緯
   受信料について、都道府県別の契約率、滞納数、未契約数(全国含む)、単身世帯、2人以上世帯と事業所の契約率、滞納数、未契約数(全国)、契約拒否世帯数、を開示するよう求めが出された。
 これに対し、全国の契約率、滞納数、未契約数、契約拒否世帯数、及び単身世帯・2人以上世帯と事業所(全国)の契約率、未契約数を開示。都道府県別(単身世帯・2人以上世帯と事業所を含む)の契約率、未契約数、契約拒否世帯数は、該当する文書が存在しないため不開示とした。また、都道府県別(同上)の滞納数は、NHK情報公開規程第8条第1項第1号に該当するため不開示とした。この判断に対し、開示の求めを行った視聴者から再検討の求めが出された。

3. 不開示としたNHKの見解の要旨
  (1) 都道府県別の契約率、未契約数、契約拒否世帯数
 算出には、有料契約の対象となるテレビ所有世帯数、事業所のテレビ設置台数が必要だが、それらを推計するための都道府県別の実態調査は、経費や時間等がかかるため実施しておらず、当該データを保有していない。
  (2) 都道府県別の滞納数
 開示すると、滞納数が多い、あるいは少ないといった都道府県が明確になり、不公平感の惹起から滞納者や契約拒否者の増加につながる、また、効果的・効率的な滞納対策を推進する上で支障を来たすなど、受信料の契約収納活動に支障を及ぼすおそれがある。このため、NHK情報公開規程第8条第1項第1号に規定する不開示情報に該当する。

4. 審議委員会の判断
  (1) 都道府県別の契約率、未契約数、契約拒否世帯数
 NHKが文書不存在を理由に不開示としたことは、妥当である。
 NHKの営業活動では、全国単位の世帯契約率、事業所契約率の向上が、受信料の公平負担を一層徹底していくための活動指標となっており、それらを推計するために全国レベルの実態調査が行われている。都道府県別の世帯契約率等を推計するための実態調査は、信頼性や精度の高い数値を得るために膨大なサンプル数が必要になるなど、調査に莫大な経費、時間、労力を要し、費用対効果の点からメリットが少なく、実施されていない。このことは、NHKの業務遂行のあり方として、現状では特に不合理なものとは考えられない。
  (2) 都道府県別の滞納数
 NHKが、都道府県別の滞納数を開示すると、受信料収納や受信契約業務に支障を来たすおそれがあると強く主張したことは、この問題が受信料制度の基本的な部分に関するものであり、現在の社会的風潮やNHKの営業実態を考慮すると、当審議委員会としても理解できる。
 しかし、都道府県別の滞納数が規程第8条第1項第1号に該当するかどうかは、NHKが自主的に新たな情報公開の仕組みをスタートさせた趣旨を踏まえ、「NHKの権利利益、地位もしくは事業活動に支障を及ぼすおそれがあるもの」を直ちに不開示情報とするのではなく、NHKが視聴者に対して果たすべき説明責務、NHKが持つ社会的責任等を合わせて検討しなくてはならない。
 また、「事業活動に支障を及ぼすおそれ」も単なる危惧だけでは十分でなく、具体性が求められる。これは単に危惧があれば不開示と認めてしまうと、すべて不開示が正当化され、情報公開の趣旨に沿わなくなるからである。
 これらの点を踏まえた上で、今回の「事業活動への支障」を検討すると、以下のように考えられる。
 既に全国の滞納数は公表されており、都道府県別のデータが加わることで、受信料収入が減少するといったような影響は、ほとんどないものと想定される。
 仮に業務支障への危惧が現実のものになった場合でも、公共放送の根幹である受信料制度の維持を目的とする、さらなる営業体制の強化に向けたNHK全体としての内部努力が、まだ可能と考えられる。
 受信料を効果的・効率的に運用することは当然だが、受信料制度への理解促進活動や滞納解消努力の強化に伴い、それらに要する経費がある程度増えることとなっても、やむを得ないところである。
 契約収納活動への影響を重視して不開示とする考えは、営業現場の論理を優先したものであり、必ずしも視聴者の理解を得られない。
 その上で、NHKが自主的に新たな情報公開の仕組みをスタートさせた趣旨とNHKが視聴者に対して果たすべき説明責務を合わせ考えると、都道府県別の滞納数については、冒頭の結論に述べたように、開示することが妥当である。なお、開示に当たっては、NHKがデータを保有していない単身世帯・2人以上世帯の別は除くものとする。
 沖縄県については、戦後20年以上にわたって受信料制度がなかったことから、その営業実態に合わせ、滞納とは別の形で管理されている。しかし、今回の審議の趣旨を踏まえ、NHKとして関連するデータの提供を行うべきである。

5. 審議の経過
 
平成13年 11月 8日   第5号諮問  
  12月 6日   (第6回審議委員会)  審議
平成14年  1月10日   (第7回審議委員会)  審議
   2月 8日   (第8回審議委員会)  審議
   3月14日   (第9回審議委員会)  審議
   4月11日   (第10回審議委員会)  審議・答申


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