【8月3日(日)放送】雷さまの慈雨 〜栃木県 下野市〜 2013年7月21日放送分 アンコール

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栃木県の南部、下野(しもつけ)市。
一帯は江戸時代から干瓢(かんぴょう)づくりが盛んで、生産量は全国の9割を占めます。6月下旬、農家では夕顔の実の収穫と皮むきが始まり、干された干瓢が揺れます。干瓢など農作物に欠かせないのが適度な雨です。栃木県は全国でも有数の雷が多発する地域で、地元では恵みの雨を呼ぶ雷を「雷(らい)さま」と呼んで恐れ敬い、信仰の対象として豊作を願ってきました。初夏、雷さまを待ちわびる人々に出会う旅です。

アクセス

市の中心部、下野市役所まで
<電車>
東北新幹線「宇都宮駅」→JR宇都宮線「小金井駅」(約20分)→下野市役所(徒歩20分) 
東北新幹線「小山駅」→JR宇都宮線「小金井駅」(約6分)→下野市役所(徒歩20分)
※小金井駅から市役所への路線バスは出ていません。タクシーで6〜7分です。

<車>
北関東自動車道「宇都宮上三川IC」または、「壬生IC」(約20分)
東北自動車道 「鹿沼IC」または、「栃木IC」(約30分)

再放送予定

8月4日(月) 午前11:05
8月9日(土) 午前 5:15

旅の見どころ

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栃木県下野市は、干瓢の生産量が全国で最も多い地域です。国内生産の97パーセントが栃木県産で、そのうち46パーセントが下野市で生産されています。干瓢は、ウリ科のユウガオの実の果肉を細長くむいて乾燥させたもの。6月下旬から8月まで、ユウガオの実の収穫が最盛期を迎えます。
この地域は、関東ローム層の黒色の火山灰土による土壌に覆われているため、水はけがよく、さらに夏の暑い時期に、日光や那須の山々で発生する雷雨が地面を冷やし、水分が実を太らせます。この土壌と気象条件がユウガオの生育に最も適していたため、干瓢づくりが盛んになったと言われています。

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下野市一帯で行われる干瓢づくりは、およそ300年前、壬生藩主の鳥居忠英が、滋賀から干瓢の種を取り寄せ、「下野の国」に広めたのが始まりといわれています。その後、明治時代に、手回し式干瓢むき機が発明され、果肉をむく作業の効率が上がると広く普及しました。さらに、東北本線が開通したこともあり、農家で生産された干瓢は、仲買人が買い付け、問屋を通じて、全国に出荷されるようになりました。
下野市北部の石橋地区には、いまも多くの干瓢問屋が軒を連ね、店には干瓢の商品やふくべ細工と呼ばれるユウガオの実から作る伝統工芸品が並びます。

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栃木県は、全国でも有数の雷の発生が多い地域です。7月から8月の真夏には、落雷や雷雨による集中豪雨、ひょうなどによって、人や農産物に大きな被害をもたらすため、自然の脅威として捉えられています。しかしその一方、稲作を始め特産の干瓢づくりにとっては、日照りの続く田畑に恵みの雨をもたらすありがたい存在でもあります。そうしたことから、この地域では昔から、雷を「ライサマ」と呼んで畏れ敬う雷神信仰が盛んです。市内には、雷神をまつる「雷電神社」が点在し、神社が出す雷除けのお札を家の出入り口や田畑などに立てて、その身の安全や豊作を祈願しています。

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※掲載情報は、放送当時のものです。情報が変わっている場合がありますが、ご了承ください。

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