2016年2月14日放送

再放送
  • 2月22日(月) 午前 11:05
  • 2月27日(土) 午前 5:15
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しばれの浜で
~北海道 積丹町~

北海道の西部・日本海に突き出た積丹半島。その先端に位置する積丹町の余別地区は、約150人が暮らす漁師町です。寒風と高波が続く冬、漁師たちは、漁に出られるわずかななぎの日を待ち続けています。定置網にかかるのは、ホッケにヒラメ、ミズダコ。北の海の幸があふれます。男たちを支えるのは、浜の女たち。小正月の伝統行事「川下さん」で日頃の労をねぎらいます。北の海でたくましく生きる人たちに出会う旅です。

積丹半島周辺の海は、国内有数のホッケの漁場として知られます。厳冬期、吹雪や時化が続き、漁に出られるのは月に数回。余別地区の漁師たちは、風や波がおさまるわずかな時間を選んで沖に出て、底建網を引き上げます。浜の女たちが作る家庭料理は、さまざま。フライに揚げかまぼこ、すり身汁など、食卓はホッケづくしとなります。浜に嫁いだ女性たちは、姑さんから伝統の家庭料理を受け継ぎます。

小正月の1月16日。余別地区の女性たちは、女性を守る神様「川下(かわしも)さん」の祭りで一同に会します。100年ほど前、北陸地方から積丹半島に伝わったと言われるこの祭り。川下さんを新しい着物で着飾り、地区の女性たちが、一年の感謝をこめてお参りします。お参りが終わると、神楽や余興。女性たちの1年の労をねぎらい、絆を深める大切な場にもなっています。

余別の人々の厳冬期の楽しみ、岩のり採りです。波しぶきのかかる波打ち際の石などに自生する岩のりは、寒さが強まる1月中旬から3月にかけて採れます。採れた岩のりは、家庭で、お汁や麺の具、雑煮などで楽しみます。岩のり採りの名人、佐藤正樹さんは、採れた岩のりをすだれに打ち、乾かして板のりを作っています。長い繊維をからませて出来た天然の岩のりは、歯ごたえがあり、かむたびに味わいが深まります。しばれの海の恵みです。

旅人 山田敦子から

小樽から路線バスで2時間強。途中から乗客は私だけ。白い景色の中をひたすら進みます。窓外は荒れた冬の海。神威岬の断崖がはるかに見えてきました。余別は漁師の町。夏はウニ漁などが盛んなこの町も、冬は我慢の日が続きます。わずかな凪(なぎ)を待ちわびてホッケや岩のり漁に精を出すのです。都会にいると、自然に合わせて暮らす習慣がありません。予定が立たない、ということが苦痛に思えるのです。ここの人たちは違います。凪を待ってどこか超然と日を過ごし、チャンスが来ると爆発的に立ち働く、その繰り返し。冬の漁師町の暮らしは、くっきりしたメリハリを刻んでいました。

余別地区へのアクセス

<バス>
北海道中央バス・積丹線「小樽駅前ターミナル」→「積丹余別」(約2時間15分)

<車>
小樽方面から国道5号線→国道229号線(約1時間40分)

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問い合わせ先

積丹町の観光や宿泊施設について
積丹観光協会
0135-44-3715
岩のりについて
(※採取は漁業権を持つ人のみ)
東しゃこたん漁協 直売所
0135-42-2518
伝統行事「川下さん」について
地区の女性講組織による行事で公開はされていません。

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