2016年1月24日放送

再放送
  • 1月25日(月) 午前 11:05
  • 1月30日(土) 午前 5:15
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織りなす宝
~福島県 川俣町~

福島県北部にある川俣町は、古くから絹織物の産地として知られてきました。原発事故後も、周辺の自治体が避難する中、途絶えることなく、町にははたを織る音があふれます。町の南東部にある山木屋(やまきや)地区では、4月に避難指示解除が予定され、地元の人たちの手によって、名物の天然スケートリンクを復活させようという取り組みが進みます。ふるさとの暮らしを取り戻そうとする人々の思いに触れる旅です。

川俣町の特産である川俣羽二重は、薄さと軽さが特徴です。薄さは通常の絹織物の3分の2。肌触りの良さから欧米で人気を博し、KAWAMATAの名で知られました。しかし昭和40年代以降、海外産の織物などに押されて工場の数は10分の1以下に。さらに、震災が町を襲います。建物などが被害を受ける中、地元の工場は逆境をはねのけ、川俣羽二重のさらに半分の薄さの織物を開発。欧州の有名ブランドにも採用され、再び世界に川俣の名が響いたのです。

昭和30年ごろには、3000人以上の女工さんたちが絹織物を作っていました。彼女たちが買い求めたのが和菓子。休憩時間や仕事が終わった後に、お気に入りのお店に通って仕事の疲れを癒したといいます。町には今もあちらこちらに和菓子屋が立ち並び、その名残を見て取ることができます。中でも今川焼は、もっちりとした生地と甘いあんこで人気でした。当時を知る女工さんたちは高齢になりましたが、お気に入りのお店に今も通い、昔をしのんでいます。

町の中心から南東へ10キロほどの山木屋地区では、原発事故の影響で避難指示が続き、今も住むことは認められていません。町は今春に避難指示の解除を目指していて、国と話し合いを進めています。そんな中、住民が進めているのがスケートリンクの再開です。標高500メートルの寒さを活かし、田んぼに水を入れて作る天然のリンク。冬の間は子どもたちが毎日のように訪れていた山木屋地区の象徴です。離れて暮らす住民を励ますことになると、今月末の再開を目指し、地区の大人たちが通いながら準備を続けています。

旅人 山田敦子から

川俣町山木屋地区。5年前の原発事故の影響で、人々はそこに暮らすことが出来ません。無人の町、寒風が身にしみます。が、静まり返った田んぼからブルドーザーの音が聞こえてきました。この春の避難指示解除を目指し準備が進む山木屋。それに先駆けて名物の「田んぼスケートリンク」を再開しようと取り組む地元の大人たちです。厳しい自然の中、子どもたちに遊べる場所をと30年前に手作りで開いたリンク。今、再び立ち上がるために、黙々と土をならし草を抜き、水を撒きます。頑張れ、負けじ魂!頑張れ、山木屋!

川俣町へのアクセス

<電車>
東北新幹線「福島」駅からJRバスなどで45分

<車>
東北自動車道「福島松川」ICから50分

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問い合わせ先

川俣羽二重について
齋栄(さいえい)織物
024-565-2331

※NHKサイトを離れます