2016年1月17日放送

再放送
  • 1月18日(月) 午前 11:05
  • 1月23日(土) 午前 5:15
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山里に水音響いて
~埼玉県 東秩父村~

外秩父山地に囲まれた埼玉県東秩父村。山間を流れる槻川の清流を利用して1300年前から作り続けられてきたのが、手すき和紙です。今も3軒の工房で和紙作りが行われています。伝統をつないできた熟練の職人と、そのもとで技術を学ぶ若手。村の伝統を支えようと、和紙の原料・こうぞの栽培を復活させた農家たち。地元の女性たちは、和紙で花を作り伝統に彩りを添えています。村が大切に守りつなぐ手すき和紙にふれる旅です。

この地域で、昔ながらの手作業で作られる和紙を「細川紙(ほそかわし)」といいます。繊維がしっかりと絡み合い、丈夫でつややかな光沢を持つのが特長です。細川紙をすく技術は、2014年、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。その技術を持つ職人は、今は村に3人しかいません。その一人、鷹野禎三さん、81歳。70年近く紙の世界で生きてきた熟練の職人です。技術を後世に受け継ぐべく、若い人たちとともに、和紙作りに勤しんでいます。

「細川紙」の原料となるのは、こうぞの木の皮に含まれる繊維です。かつて村ではこうぞが盛んに栽培されていましたが、戦後、和紙の需要が減ると、作る農家もいなくなりました。和紙作りの伝統をつなぐため、こうぞ栽培を復活させようと、13年前、村の農家たちが立ち上がりました。こうぞの収穫は冬。それぞれで収穫した後はみんなで集まって皮むきをするのが恒例行事となりました。山里によみがえった冬のにぎわいです。

この写真の花、実は、和紙でできています。色を染めた和紙を切ったり折ったりして、花の質感を見事に再現しています。作ったのは村の女性たち。村では10年ほど前から、和紙の花作りの教室が開かれています。講師の新井マサさんが「身近にある和紙で」と始めた花作りが、村の女性達に広がっていったのです。みんなに愛される和紙の花。今では商店や役場、観光施設など、村のいたるところに飾られ、和紙の里を彩っています。

旅人 国井雅比古から

今の世の中、女性たちは元気でグループ活動にも積極的だが、男性が群れて一緒に手作業したり会話を楽しんだりしている場面にはあまり出会わない。その珍しい光景に今回の旅で出会った。小高い山の中腹で、楮(こうぞ)の皮むきに勤しむ男たち。大釜で蒸した大量の楮の皮を、日がな会話を楽しみながらのんびりとむく。その車座に加わっていると、なにか懐かしいものに出会った気分になる。和紙作りという文化の裾野の広さ、それを支える人たちの遊び心や誇り。ゆったりとしたいい時間を過ごさせてもらった。

東秩父村へのアクセス

<電車>
東武東上線「小川町」駅からイーグルバスで約25分
東武東上線・JR八高線「寄居」駅から東秩父村営バスで約20分

<車>
関越自動車道「嵐山小川」ICから約20分、「花園」ICから約25分

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問い合わせ先

東秩父村について
東秩父村役場・産業建設課
0493-82-1221(代表)

※NHKサイトを離れます