2015年11月15日放送

再放送
  • 11月16日(月) 午前 11:05
  • 11月21日(土) 午前 5:15
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山の歌 秋 赤いうさぎに誘われて
~福井・石川 赤兎山~

福井県と石川県にまたがる標高1,629メートルの赤兎山(あかうさぎやま)。うさぎの背を連想させる丸みを帯びた山の形が、この名の由来とされています。紅葉の季節、山は赤く色づき、その名のとおり「赤いうさぎ」のような姿を現します。紅葉の名所として知られるこの山は、ハイキング気分でやってくる家族連れや、水面に映る紅葉に魅せられた写真愛好家などでにぎわいます。「赤いうさぎ」に会いに来る人たちに出会う旅です。

紅葉の名所として名高い、赤兎山の周辺。山の中は、黄色く紅葉したブナの原生林が生い茂り、登山者を魅了します。その林を抜けると現れるのが、「刈込池」です。赤や黄色の色とりどりの紅葉が、静かな水面に映る絶景。日の加減や風の強さによって、池は刻々と表情を変える刈込池。その自然が生み出す美しさをひと目みようと、県内外から大勢の登山客や行楽客が訪れます。

刈込池を進むと、「鳩ヶ湯温泉」にたどり着きます。紅葉を楽しんだ後の温泉は、地元の人たちの秋の楽しみです。明治時代から続くこの温泉、一時は後継者が見つからず、廃業の危機にありました。その話を聞きつけやってきたのが、中澤敬之さんと妻の正子さんです。山里の温泉を支えたいと、県外で営んでいた料理店を休業して移住しました。廃業以前から温泉とともに鳩ヶ湯の名物だった、そばの提供も復活させた中澤さん夫婦。地元の人たちの喜びの声に、温泉を守りたいという思いが募る毎日です。

赤兎山のなだらかな山道には、小さな子どもを連れた登山客が多く訪れます。ふもとに住む栃木源之さんは、妻と息子、そして母とともに、3世代で赤兎山に登り続けています。源之さんが、8歳の息子の源次郎君に教えるのは、ブナの実やホオノキの葉など、ふるさとの山にある自然の恵み。幼い頃、母に連れられて赤兎山を訪れていた源之さん。父になり、ふるさとの自然や風景を息子に伝えたいと、源次郎君が1歳のころから、背中におぶり赤兎山に登ってきました。親から子へ、赤兎山が親子の思いをつなぎます。

旅人 長野亮から

紅葉の名所、福井と石川の県境にある赤兎山を訪ねました。標高1000メートルを越える高地にたたずむ湖「刈込池」の水面に映る、幻想的な紅葉。廃業の危機から一転ことし9月に復活した、秘湯といわれる「鳩ヶ湯」には、身も心も癒やされました。そして赤兎山の頂からの絶景は、言葉も出ないぐらいでした。青空に映える白山連峰の神々しさ、さらに紅葉の向こうに広がる両白山地の奥行きの壮大さ。わずか2時間足らずの登山で味わえる魅力に、登山客が絶えない理由がわかりました。最もいい季節に登り、天気に恵まれたことに感謝しています。

赤兎山登山口駐車場へのアクセス

<車>
福井市内から、国道157号線、林道小原線などを経て約2時間

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問い合わせ先

赤兎山の登山、観光について
福井県勝山市 商工観光部 観光政策課
0779-88-8117
刈込池の登山、観光について
福井県大野市 商工観光振興課
0779-66-1111
鳩ヶ湯温泉について
豊実精工株式会社(鳩ヶ湯温泉を経営する企業)
0574-55-0180
石川県側の登山口、観光について
石川県白山市 観光課
076-274-9544

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