2015年6月28日放送

再放送
  • 6月29日(月) 午前 11:05
  • 7月4日(土) 午前 5:15
    ※一部地域は別番組
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牛飼いの夢 つないで
~栃木県 那須高原~

栃木県の那須高原は、本州一の生乳の産地。戦後に開拓されたこの地で、入植した人々は苦労を重ね、一大酪農地帯を築き上げました。近年は酪農の低迷、そして原発事故の影響など、大きな試練に見舞われています。そうしたなかでも、懸命に牛を育て、この土地ならではの牛乳作りに励む若い世代や、町の希望となる酪農家を目指す高校生たちなど、たくましく生きる那須の人たち。初夏の山麓(さんろく)に牛とともに暮らす人々を訪ねる旅です。

栃木県北部・那須高原は、全国有数の酪農の盛んな地域です。酪農が盛んになったのは、昭和20年代から。戦後、那須に入植した人々が始めました。千振地区もその一つ。旧満州から引き揚げ、仲間と共に入植した人々は、山林原野を苦労して開拓。今の酪農の礎を築き上げてきました。70年近く続く集落の農業協同組合は、生活必需品の販売や大型農機の共同利用など、今も千振の酪農や人々の暮らしを支えるよりどころとなっています。開拓当初からの助け合いの精神を守り伝えています。

東京から新幹線で一時間半ほどの所にありながら、豊かな自然いっぱいの那須。この地で新たな酪農を模索する人もいます。那須の山の中で牛を放牧し飼育している牧場で作られている牛乳は、コクがあり風味がよいと評判で多くの観光客が訪れます。こだわりは、那須の自然を最大限に生かした酪農です。牛たちは起伏が多い森の中を自由に歩き、四季折々に生育する草を食べます。4年前の原発事故後の放射性物質の影響を乗り越え、改めて那須の自然と景色の大切さを実感しながら、酪農を続ける姿がありました。

今年で創立70年になる栃木県立那須拓陽高校には“牛部”という部活動があります。牛の育成や飼育を行う全国でも珍しい部活動。男女21人の部員が、牛と向き合う日々を送っています。今、目指しているのは、秋に開催される乳牛の全国的な品評会。姿勢良く牛を歩かせるため、部員たちは、牛の調教に奮闘中です。数百キロもある牛たちをひくため、筋力トレーニングも欠かしません。将来、酪農家を目指す高校生たちは、牛と向き合う中で、成長していきます。

旅人 真下貴から

旧満州の開拓に従事した人たちが、戦後一緒に入植した那須町千振地区。出会った女性が隣の高齢の男性を指して話し始めた。「満州でこの人が生まれた時、とりあげたのが隣に住んでいた私のおばあちゃんだったんだって。今じゃ私がお世話になっているんだけどね」。こう言って二人は笑った。70年以上前の旧満洲から平成の那須へ。時間も空間も超えた絆が息づいていた。

那須高原へのアクセス

<電車>
東北新幹線「那須塩原駅」から車で約30分

<車>
東北自動車道「那須IC」から約40分、「那須高原SA(ETCのみの出入口)」からすぐ

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問い合わせ先

那須高原で訪問できる牧場などについて
那須町観光協会
0287-76-2619

※NHKサイトを離れます