小さな旅のしおり

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松並木 とわに心に ~埼玉県 草加市~

投稿時間:2018年9月30日 08:24 | 投稿者: | 

sokamain.jpg埼玉県東部のベッドタウン、草加市。旧日光街道沿いには、松尾芭蕉も訪れたという松並木「草加松原」があります。生命力あふれる松を俳句に詠むことで、息子を失った悲しみを乗り越えた女性。高度成長期、排ガスの影響で枯れてゆく松を仲間と救った草加煎餅店の職人。並木の横を流れる川では、先人が残した絶景を人々に伝えようと和船を漕ぐ若き船頭の姿がありました。松並木に魅せられ、思いを寄せる人々に出会う旅です。


今回の放送内容

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松尾芭蕉も訪れた草加松原は、俳句を愛好する人にとって特別な場所。松並木では句会が行われていました。参加者の一人、萩原喜代江さんが初めてこの句会に参加したのは、息子を亡くした悲しみから立ち直れないでいるときでした。季節は春、冬の寒さを乗り越え必死に生きようとする松の姿に心を打たれたといいます。「伸び伸びと 真青の空へ 松の芯」。青空へ伸びる松の新芽のように力強く生きていこう。松に救われた萩原さんは、83歳になった今も松原での句会には必ず参加しています。


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ご存じ草加名物「草加煎餅」。市内には50軒を超える専門店があります。なかでも池田國雄さんのお店は、昔ながらの天日干しと手焼きにこだわる創業150年の老舗。79歳になった池田さんですが、今も干した煎餅の乾き具合を自らチェックします。そんな池田さんが店を継いで最初に作った煎餅の型抜き鋳型は、松をかたどったものでした。幼い頃、毎日のように友達と出かけて遊んだという松原。「草加といえば、なんといっても松並木」。池田さんは胸を張ります。


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高度経済成長期、排ガスによる被害が深刻化し、800本以上あった松が100本余りにまで激減した時期がありました。このピンチに立ち上がったのが、池田さんはじめ地元の青年会議所のメンバーです。当時30~40代、子供を持つ父親だった池田さんたち。「子供らに故郷の松並木を残したい」とお金を出し合って苗木を買い、手弁当で300本の松を植樹しました。あれから40年。当時2m足らずだった松は立派に成長しました。子供たちに誇れる草加松原です。


旅人・山本哲也アナウンサーより

sokayamamoto.jpgそびえたつマンション群の間から、突然姿を現す草加松原。その松並木の高いこと、長いこと。地元の有志たちが、まさに我が子を育てるように、いかに大切にしてきたのかを肌で感じました。この松を鋳型にし、煎餅にしてしまった、草加煎餅店のご主人池田國雄さん。松を守るため、仕事の合間を縫っては草加松原に足を運ぶ日々が続いたとか。この話を聞くにつけ、草加煎餅をかじる私たちの気持ちも変わろうというものです。


草加松原(松並木)へのアクセス

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〈電車〉東武スカイツリーライン「北千住」駅→「獨協大学前<草加松原>」駅(12分)→徒歩5分

〈車〉 東京外環自動車道「草加」ICから約5分


問い合わせ先

▼草加松原の歴史などについて
 草加市教育委員会 048-922-2819

▼松並木や遊歩道の管理について
 草加市役所みどり公園課 048-922-0151

▼和舟および観光、草加せんべいなどの物産について
 草加市市役所文化観光課 048-922-2403


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